新型コロナウイルス感染症に対するNafamostat、Favipiravir併用特定臨床研究

文献情報

文献番号
202019031A
報告書区分
総括
研究課題名
新型コロナウイルス感染症に対するNafamostat、Favipiravir併用特定臨床研究
課題番号
20HA1007
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
森屋 恭爾(東京大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 四柳 宏(東京大学 医科学研究所先端医療研究センター感染症分野)
  • 長瀬 洋之(帝京大学 医学部 内科学講座 呼吸器・アレルギー学)
  • 荒岡 秀樹(国家公務員共済組合連合会 虎の門病院 臨床感染症科)
  • 宮崎 泰成(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 福永 興壱(慶應義塾大学 医学部 内科学(呼吸器))
  • 猪狩 英俊(国立大学法人 千葉大学 医学部附属病院感染制御部)
  • 吉田 正樹(東京慈恵会医科大学 感染制御部)
  • 奥川 周(東京大学 医学部附属病院)
  • 池田 麻穂子(東京大学医学部附属病院 感染症内科)
  • 瀬戸 泰之(東京大学 医学部附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
78,541,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は2019年12月の報告以後、世界および本邦において感染拡大を続けている。COVID-19の治療薬としては2020年5月に本邦で特例承認されたレムデシビルとデキサメサゾンが使用されるようになったが、以前として高齢者や基礎疾患を有する患者では高率に重篤化や死亡率が報告されている。現在、ワクチン接種が実施できるようになったが、変異ウイルスの出現により、感染性や病原性の変化や抗ウイルス薬への耐性化などが懸念され、引き続き高い効果のある治療法の開発が必要である。
DICや膵炎の治療薬として適応を持つナファモスタットは、東京大学井上らなどから基礎的研究でSARS-CoV-2を低濃度で感染を阻害することができることが報告されていることから重篤化を阻止する可能性がある。さらに、ナファモスタットは抗凝固作用を併せ持つため、COVID-19の重症例でみられることのある血栓症を予防することも期待され、新たな治療薬としての有効性を検証する意義と考えた。抗ウイルス作用と抗凝固作用を併せ持つナファモスタットを観察研究の枠組みで使用可能なファミピラビルとを併用することで、より強力な治療効果を得られ可能性を考え、ファミピラビルとナファモスタットの併用療法の有効性と安全性を検証することを本研究の目的とした。
研究方法
基本デザインは、新型コロナウイルス感染症に対するファミピラビルとナファモスタットの併用療法の有効性と安全性を検証するため多施設共同単盲検ランダム化比較試験で行う。対象は、20-74歳の入院患者で、SARS-CoV-2に対する検査陽性、胸部画像所見で肺病変あり、37.5℃以上の発熱を呈し、本人から文書同意取得でき、閉経前の女性患者を対象とする場合、試験薬投与前の妊娠検査で陰性が確認できた患者で、A、B群に1:1に年齢と合併症有無を割付調整因子として無作為割り付け、A群は標準治療+ファビピラビル(実薬)+ナファモスタット(実薬)、B群は標準治療+ファビピラビル(実薬)+ナファモスタット(非投与)とする。主要評価項目として、10ポイントスケールによる患者状態(スコア)のベースラインからDay7までの変化量を設定し、目標症例数は160例とした。主要評価項目に関するデータが収集された症例が80例以上となった時点でファビピラビルとナファモスタットの併用療法の有効性と安全性およびナファモスタットの有効性の検証を行う。
結果と考察
東京大学臨床研究審査委員会(CRB)で令和2年4月30日に承認をうけ、jRCTに令和2年5月1日に公表(jRCT番号:jRCTs031200026)された。第1症例は令和2年6月11日に登録された。交付申請時には8医療機関で開始したが、新型コロナウイルスの感染拡大による医療逼迫の影響などで、組み入れに難渋した。医療従事者への負担を軽減するため、試験薬の有効性と安全性を検証することに支障のない範囲で研究計画の変更や、さらなる医療機関への協力依頼を行った。2021年4月末現在、16医療機関にご参加いただき、組み入れ患者数は36例となった。引き続き継続して研究を実施する。
結論
参加医療機関には医療ひっ迫の中でも患者組み入れにご尽力いただいている。引き続き感染対策のもと安全に研究を遂行するとともに、組み入れ促進のため、参加医療機関との連携および新たな医療機関への協力依頼を継続的に行う。医療従事者の負担軽減のため、人材および資金の獲得も引き続き行い、早期の研究終了を目指す。

公開日・更新日

公開日
2022-03-29
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2022-03-29
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202019031C

収支報告書

文献番号
202019031Z