角膜全層の再生医療技術の開発および臨床応用に関する研究

文献情報

文献番号
200806004A
報告書区分
総括
研究課題名
角膜全層の再生医療技術の開発および臨床応用に関する研究
課題番号
H19-再生・一般-001
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
西田 幸二(東北大学大学院医学系研究科 神経・感覚器病態学講座・眼科視覚科学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 仲野 徹(大阪大学大学院生命機能研究科、大阪大学大学院医学系研究科)
  • 明石 満(大阪大学大学院工学研究科)
  • 大和 雅之(東京女子医科大学先端生命研究所)
  • 田畑 泰彦(京都大学再生医科学研究所)
  • 竹花 一成(酪農学園大学獣医学部)
  • 上 昌広(東京大学医科学研究所)
  • 山口 拓洋(東京大学医学部付属病院)
  • 嶋澤 るみ子(東北大学未来医工学治療開発センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 再生医療実用化研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
32,026,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
重篤な角膜疾患に対して現在角膜移植が実施されているが、わが国では献眼数は絶対的に少なく、また他家組織による拒絶反応のため角膜移植が奏功しない。本研究では、自家細胞と人工材料を用いて全層性再生角膜を作製する技術を創出し、免疫抑制剤を必要としない安全性で有効な角膜再生治療法の開発を行い、臨床応用の実現化を目指している。3年計画の2年目に当たる本年は、角膜上皮、角膜実質、角膜内皮のパーツ毎に昨年度に得られた知見および技術の課題をふまえて、角膜全層の再生医療技術を発展させ、臨床研究の橋渡しにすることを目的とした。
研究方法
角膜上皮については、培養上皮細胞シートに対してGLP準拠の造腫瘍性試験を実施した。さらに、角膜上皮再生に関する臨床研究を先進医療として実施するために、臨床プロトコールの作成およびデータ評価等を行った。角膜実質については、基盤技術として初年度に独自に開発したコラーゲンゲルの移植試験を行った。また要素技術として添加物導入の網羅的検討、新規積層法を考案した。さらに、細胞導入のための培養技術を考案した。角膜内皮については、角膜内皮再生の細胞源の絞り込みを行い、未分化性および多分化能を検討した。さらに内皮細胞移植用キャリアについて検討した。
結果と考察
角膜上皮については、培養上皮細胞シートに対してGLP準拠の造腫瘍性試験を実施し安全性を確認した。さらに、過去の自家培養上皮細胞シート移植の成果に対する客観的評価を受け、角膜上皮再生に関する臨床研究を先進医療として実施するために、先進医療の申請を行った。角膜実質については、生体親和性や縫合可能であること等の有効性を動物実験にて確認した。線維配向積層ゲルは良好な生体親和性と力学特性を有することを確認した。ゲル化条件の最適化、添加物の導入、積層数を増やす新しい手法の開発、ヒト由来成分導入の検討を進めた。角膜内皮については、眼組織から未分化細胞を単離することに成功し、多分化能を有する神経堤幹細胞であることを確認した。また、移植に用いるキャリアについて、細胞培養等の検討の結果、細胞接着および透明性ともに優れたキャリアを見出した。
結論
本研究は、角膜三層毎に研究フェーズが異なるが、それぞれのフェーズで角膜全層の再生医療の基盤となる技術を開発した。今後は、これらの基盤技術の有効性および安全性を動物実験により検討し、角膜全層の再生医療の実用を目指す。

公開日・更新日

公開日
2011-05-27
更新日
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