文献情報
文献番号
200806003A
報告書区分
総括
研究課題名
再生医療の研究振興のシステム構築および実施普及に向けた社会受容の在り方に関する研究
課題番号
H18-再生・若手-006
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
川上 浩司(京都大学 大学院医学研究科 薬剤疫学分野)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 再生医療実用化研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
わが国において細胞・組織・臓器を使用した再生医療を実現化する場合には、ドナーの理解、基礎研究を行っていく際の細胞供給バンクシステムの整備などに加えて、臨床研究を遂行する場合には薬事法の適応範囲内および適応外においても認可行政側の対応を整備し、またその対応のためにも安全性の評価基準を設置しなければならない。再生医療を受ける患者の立場としては、国家としての行政対応、患者保護(臨床試験の段階においては被験者保護)、場合によっては細胞・組織の流通由来の明示、製造における安全性の担保が懸念事項となる。以上のような現状と事実を踏まえて、我が国において再生医療の普及に向けて研究を進めていく。
研究方法
平成20年度には、日本国内で再生医療に関係する研究者、企業、臨床試験や医療を行う医療施設・医師、審査当局からのヒアリング結果から、再生医療を推進するにあたっての科学的懸念事項、医療現場での懸念事項、倫理的・社会的懸念事項、および行政側としての諸問題についてまとめ、さらに、産学連携の諸問題や産業化の障壁についても研究し、とりまとめをおこなった。また、一般市民への啓発活動として、名城大学(愛知県名古屋市)の学園祭にて、一般市民、大学生、大学教員を対象とした再生医療の現状や将来を紹介するためのシンポジウムをおこなった。
結果と考察
ヒアリング結果について、産学連携、産業の観点をまとめた。再生医療の多くは薬事法外の臨床試験で実施されていることから、大学は科学的審査とアドバイスのための申請をすることができない。日本の再生医療分野では大学から技術移転されベンチャー企業で製品開発されることが多いことから、産学連携やその後の製品開発を順調に進めていくためにも、ベンチャー企業のような規模の小さい企業が申請しやすい環境を整えることが重要である。再生医療の現状および普及のためのシンポジウムの開催については、再生医療の現状紹介、参加者からの質問や質疑応答を行い、活発な意見交換がなされ、成果を挙げた。将来再生医療の恩恵を享受したいかという観点においても、肯定的な意見が多かった。
結論
本邦における再生医療の発展と社会への受容の実現のための、科学的懸念事項、医療現場での懸念事項、倫理的・社会的懸念事項、および行政側としての諸問題についてまとめ、さらに、産学連携の諸問題や産業化の障壁についても研究した。また、市民シンポジウムを開催し、再生医療への理解を深めるための啓発活動をおこなった。
公開日・更新日
公開日
2011-05-27
更新日
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