ポリオウイルスの病原体バイオリスク管理の標準化を推進するための研究

文献情報

文献番号
202019023A
報告書区分
総括
研究課題名
ポリオウイルスの病原体バイオリスク管理の標準化を推進するための研究
課題番号
20HA1003
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
河合 康洋(国立感染症研究所 安全実験管理部 第一室)
研究分担者(所属機関)
  • 小池 智(財団法人東京都医学研究機構 東京都神経科学総合研究所)
  • 染谷 雄一(国立感染症研究所 ウイルス第二部)
  • 西村 順裕(国立感染症研究所 ウイルス第二部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
5,250,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
WHOは世界的行動計画(Global Action Plan)改訂第三版であるGAPIIIを公開し、ワクチン株を含む2型ポリオウイルス感染性材料管理の厳格化を求めている。これを取扱う施設(Poliovirus Essential Facility: PEF)では、GAPIIIに示された管理標準に準じてポリオウイルスを取扱う必要があり、我が国でも、来年度から実際の監査を伴った施設認証が始まる。現行の認証制度では段階的な認証となっており、最終的な施設認証を受けるまで、施設に応じたバイオリスク管理の標準化が必要とされる。上記の背景から実際の監査結果を受け、PEFにおける国内バイオリスク管理体制の標準化について進める必要がある。また、国内におけるポリオウイルス厳正な管理に向けた各種整備も必要である。
研究方法
国内外におけるポリオウイルス根絶計画に関連した情報を収集し、国内で関係者と対応を協議する。また、国内PEFにおけるバイオリスク管理体制の標準化を進めるために関係機関での情報共有を行い、課題の洗い出しを行う。
ポリオウイルスに関するバイオリスク管理の国内外の対応について、広範な医学生物学施設に対する周知を進め、今後全型の野生株を対象とした厳格な管理を実施するための準備として、ポリオウイルス含有サンプルのリスクを低下しうるマテリアルの開発を行う。また、病原体管理の厳格化に伴って病原体を利用しない新たな検査方法の構築も試みる。
新規ワクチン株の情報収集、および国内での検査系構築が必要である。
結果と考察
国内PEF予定施設におけるポリオウイルスのバイオリスク管理の国内標準化を進めるため、他候補機関との情報共有を実施し課題の洗い出しを行なった。また、課題についてはNACと協議し、対応を検討した。
ポリオウイルス含有サンプルのリスクを低下しうるマテリアルとして人ポリオウイルス受容体欠損細胞を樹立した。また、生ウイルスを用いない代替え検査方法についてもおおむね良好な結果を得られた。
新規ワクチンについて情報収拾を行うとともに検査系確立に向けた検討を行った。
結論
今後も国内におけるGAPIIIに対応したポリオウイルスの適切な管理を実施するため、以下の点を継続して実施する。
・次年度から再開されるPEF施設認証を経て更にポリオウイルスについてのバイオリスク管理体制の標準化を進めていく。
・国内におけるポリオウイルを含む可能性のある検体の調査に有用な技術的知見を提供していく。
・国内に侵入しうる新型ワクチンへの対応を整備するための準備を行った。また、生ポリオウイルスを用いない検定方法の開発を進めていく。
また、上記計画を進めるとともにNACを技術的に支援し、計画の遂行を推し進めていく。
さらにポリオウイルス・バイオリスク管理の必要性について、解説論文や学会発表により周知を継続していく。

公開日・更新日

公開日
2022-03-29
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2022-03-29
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202019023Z