一類感染症等の患者発生時に備えた臨床的対応に関する研究

文献情報

文献番号
202019022A
報告書区分
総括
研究課題名
一類感染症等の患者発生時に備えた臨床的対応に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
20HA2002
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 康幸(国際医療福祉大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 西條 政幸(国立感染症研究所 ウイルス第一部)
  • 徳田 浩一(東北大学病院 感染管理室)
  • 倭 正也(りんくう総合医療センター 感染症センター)
  • 忽那 賢志(国立国際医療研究センター 国際感染症センター)
  • 氏家 無限(国立国際医療研究センター 国際感染症センター)
  • 豊嶋 崇徳(北海道大学病院 輸血部)
  • 和田 耕治(国際医療福祉大学 大学院医学研究科 公衆衛生学)
  • 蜂矢 正彦(国立国際医療研究センター 国際医療協力局)
  • 藤本 嗣人(国立感染症研究所 感染症危機管理研究センター)
  • 中川 種昭(慶應義塾大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
205,676,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
一類感染症等の患者の医療を担当する特定及び第一種感染症指定医療機関を支援し,国の厚生行政に貢献する.最新の知見を情報収集し,研修会や診療の手引きの公表を通じて,国内の医療従事者に還元を図る.新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の臨床的課題について,迅速に解決を図る.
研究方法
それぞれの課題に応じた適切な研究方法により実施された.臨床研究は研究者の所属施設で倫理審査を受けた.
結果と考察
1. 診療の手引きの改訂
先行研究班が作成した診療の手引きを改訂した.関連学会から委員の推薦を受け,診療の手引き検討委員会を構成した.重症度分類を定義し治療の考え方を整理した第2版(5月),その後,第2.1版(6月),第2.2版(7月),第3版(9月),第4版(12月),第4.1版(12月),第4.2版(2月)と改訂した.なお,第2.2版は英訳され,世界保健機関西太平洋事務局等に提供された.改訂時には厚労省から事務連絡で周知されるようになり,全国の医療機関で利用されていると考えられる.患者の予後改善には,その時点における標準的な治療法を提供することが重要である.本手引きがその一助となることが期待される.
2. 第一種感染症指定医療機関に対する質問紙調査
先行研究班が作成した手順書に基づいた訓練がCOVID-19にも生かされたと評価を受けた.COVID-19対策はエボラ出血熱のそれと大きく異なるが,平常時の備えが重要であることが改めて認識された.
3. オンライン研修会の開催
第一種感染症指定医療機関の医療従事者や行政関係者を対象に医療体制整備を目的とした研修会と医師向けの輸入感染症や動物由来感染症に関する講習会をオンラインで開催した.いずれも1月19日から3月31日まで公開したところ,のべ2,400人の医療従事者が視聴した.
4. PCR検査が再陽性となったCOVID-19症例の検討
患者4例について,担当医等から情報収集し分析した.中和抗体検査や接触者調査の結果から,いずれも二次感染のリスクは低いと考えられた.
5. 診断における唾液検体の検討
患者41例でPCR検査陽性率は鼻咽頭81%,唾液90%でウイルス量もほぼ同等であった.無症状1,924例におけるPCR検査において鼻咽頭検体の感度は86%,唾液検体の感度は92%,特異度は両者とも99.9%以上であった.以上の結果から,有症状者および無症状者において,唾液は鼻咽頭拭い液とほぼ同等の精度であると結論づけられた.
また,103例の鼻咽頭検体と唾液の診療残余検体を検討し,発症から9日以内で結果がよく一致することを明らかにした.
唾液検体は抗原定量検査においても使用可能であるが,抗原定性検査には使用できないことを示した.
6. クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」から下船した外国籍患者の入院医療費の調査
患者を診療した91施設に質問紙を送付し,63施設から342名の医療費等について回答を得た.総医療費は288,439,649円であり,うち 96.4%が保険診療対象であった.この費用のうち97.9% は公費として請求されていた.海外旅行保険等の民間保険の加入状況は86.5% が不詳であった.
7. 渡航者の効率的な検疫方法に関する調査
検疫で診断された軽症の患者に対し,発症から1~7日目に鼻咽頭拭い液を用いたPCR検査と唾液の抗原定量検査を比較した.20例97検体のうち,陽性一致率は45~81%であり,Ct値<30では100% 近かった.
2020年8月から10月にかけて,入国者数は約1.5倍に増加していたが,陽性率はやや減少していた.低所得国や感染者数の多い国からの入国者ほど陽性率が高い傾向が認められた.世界の検疫要件を比較すると,アジアでは欧州と比較して厳格な傾向があった.
8. プール化検体の有用性の検討
臨床検体のプール化により作製した160検体について6種類の検査を適用し、性能(検出感度)への影響の評価(検体種・方法)を行った.その結果,5検体プールにおいて,個別検査とプール化検査の一致率は比較的良好であることが示された. 研究の成果は国の審議会の資料とされ標準検体の一つとして採用されることになった.

 
 
結論
COVID-19の臨床的課題の解決に努めた.診療の手引きの改訂や唾液検体の有用性を明らかにするなど,国の厚生行政に大きく寄与したものと考える.

公開日・更新日

公開日
2024-06-07
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2024-06-07
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研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202019022Z