専門的な看護を提供できる実践家の育成に向けた体制構築の方策に関する研究

文献情報

文献番号
200805026A
報告書区分
総括
研究課題名
専門的な看護を提供できる実践家の育成に向けた体制構築の方策に関する研究
課題番号
H20-特別・指定-009
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
草間 朋子(大分県立看護科学大学)
研究分担者(所属機関)
  • 葉玉 哲生(大分岡病院)
  • 開原 成允(国際医療福祉大学)
  • 湯沢 八江(国際医療福祉大学)
  • 矢崎 義雄(国立病院機構)
  • 堀内 成子(聖路加看護大学 看護学部)
  • 野嶋 佐由美(高知女子大学 看護学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 チーム医療を遂行する上で、医療従事者間での適切な役割・業務分担が喫緊の課題である中、看護師の業務の現状を文献的調査およびインタビュー調査を行い、その結果の分析によって看護職教育を考慮した看護師の役割・業務の明確化を図る。
研究方法
 遠隔地にある医療・保健機関(老人保健施設、訪問看護ステーション、保健所、保健センターなど)で活躍している医療職(医師、看護師、保健師)を対象にして、現在の医療・保健・福祉において改善が必要と思われる点、および、改善に向けての具体的な方策等について、グループおよび個別のインタビューを行い、看護師の業務の明確化を図るための基礎資料とする。看護師の業務の明確化と看護教育のやり方についての検討するために、アメリカや韓国などの看護職とくに高度な専門的な実践を提供している看護師の業務・役割・責任の範囲などについて、諸外国の現状を文献的な調査と、関係者を招聘した国際会議を実施することで得た情報を分析する。
結果と考察
 現在の日本が抱える医療保健に関する社会問題を解決するためには、専門性の高い看護職が、医療の一定の部分に関して責任を持ってカバーすることができるようにすることが一案であると考えられる。諸外国で既に制度的に実施されている看護職の裁量範囲に従って具体的に裁量範囲を広げ、専門性の高い看護師を養成するためには、領域を限定して教育と連動して進める必要がある。領域の選定にあたっては、医療保健の現場のニーズと養成教育のフィージビリティーとの関連で考えていく必要があるが、可能性の高い領域としては以下の領域が考えられる。1)病院の外来で、慢性疾患の患者を対象にケアおよびキュアを提供する。2)救急外来で、患者のトリアージを行い、比較的軽度な症状の患者にケアおよびキュアを提供する。3)訪問看護ステーションあるいは在宅療養支援診療所等で、在宅患者のケアとキュアを提供する。
結論
 大学院修士課程で、実践を重視した系統的な教育を行うべきである。「看護モデル」と「医学モデル」を統合した、ケアとキュアを提供できるために必要とされる能力として、従来の看護で要求されていない包括的健康アセスメント能力(簡単な検査のアセスメントを含む)および医療処置管理的な実践能力(簡単な処方を含む)が挙げられる。

公開日・更新日

公開日
2010-06-22
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200805026C

成果

専門的・学術的観点からの成果
 我が国の看護教育における大学院修士課程の教育目標と実質化を考える上で、専門的な看護を提供できる実践家の育成をどのように構築するか、その方法と課題について考察した。大学院修士課程で、実践を重視した系統的な「看護モデル」と「医学モデル」を統合した教育を行う必要があることを論じた。ケアとキュアを提供できるために必要とされる能力として、従来の看護で要求されていない包括的健康アセスメント能力(簡単な検査のアセスメントを含む)および医療処置管理的な実践能力(簡単な処方を含む)が必要であることを示した。
臨床的観点からの成果
 専門的な看護を提供できる実践家の領域の選定にあたっては、医療保健の現場のニーズと養成教育のフィージビリティーとの関連で考えていく必要があるが、可能性の高い領域としては以下の領域が考えられる。1)病院の外来で、慢性疾患の患者を対象にケアおよびキュアを提供する。2)救急外来で、患者のトリアージを行い、比較的軽度な症状の患者にケアおよびキュアを提供する。3)訪問看護ステーションあるいは在宅療養支援診療所等で、在宅患者のケアとキュアを提供する。
ガイドライン等の開発
 とくになし
その他行政的観点からの成果
 看護職の裁量範囲の拡大について、「経済財政改革の基本方針2008」(平成20年6月27日閣議決定)、安心と希望の医療確保ビジョン(平成20年6月、厚生労働省)、5つの安心プラン「社会保障の機能強化のための緊急対策」(平成20年7月29日、内閣府)、規制改革会議「第3次答申」(平成20年12月22日、内閣府)、厚生労働省の検討会「新たな看護のあり方に関する検討会」などで検討されている行政的課題に対して、具体的な専門的な看護を提供できる実践家像とその育成方法について答えた。
その他のインパクト
 この研究組織を契機に、専門的な看護を提供できる実践家を大学院で育成することの大学連携を強くした。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-02
更新日
-