健康危機情報の積極的収集と分析および健康危機管理行政への情報提供のためのシステム開発と運用に関する研究

文献情報

文献番号
200805025A
報告書区分
総括
研究課題名
健康危機情報の積極的収集と分析および健康危機管理行政への情報提供のためのシステム開発と運用に関する研究
課題番号
H20-特別・指定-004
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
ナイジェル コリアー(国立情報学研究所 情報学プリンシプル研究系)
研究分担者(所属機関)
  • 竹内 孔一(岡山大学大学院 自然科学研究科)
  • 谷口 清州(国立感染症研究所 感染症情報センター)
  • 重松 美加(国立感染症研究所 感染症情報センター)
  • ソン ドアン(Department of Biomedical Informatics, Vanderbilt University Medical Center)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
グローバル化した社会の中で、インフルエンザ・パンデミックなどの世界的な公衆衛生リスクの評価を行うには、健康危機情報を積極的に収集・分析することが必要である。本研究班の目的は、重大な健康被害あるいは、重大になりそうな健康被害を最小限に抑えるリスク管理のひとつとして、危機の発生情報をリアルタイムに世界中から入手し、できるだけ早く正確に危機を知り、1分でも早く行政的対応につながる対策の実施を可能にするシステムの構築に、デザインの面から寄与することである。
研究方法
公開情報、文献、直接訪問によるシステム保有機関の担当者からの情報収集などを通じ、世界各国の既存のWeb情報監視と収集・分析システムの情報を集め、システムのデザインの視点から分析した。また、入手可能な文書や資料や各分担者らのこれまでの研究活動から抽出できる経験的知識から日本国内の現状をまとめ、健康危機管理として将来的に目指している方向性、世界における日本の役割、日本として必要としている情報の入手方法などを考察した。さらに、オントロジーをはじめとした利用可能な言語学の技術、既存のソフトウエアについても入手可能なものは集め、資料等も収集し、分析および活用法の検討を行った。
結果と考察
日本が国家として国際的な健康危機管理情報の収集を検討する際のシステムのデザインの参考となる技術的提案をした。本研究では、システムデザインの提案とそれに必要な技術的等について提言として提供し、膨大な調査検証の時間をかけた大量の情報を、比較対照させる等できるだけ分かりやすく報告書にまとめた。今後、国や公的研究機関等が中心となり、事業として継続的に経済的、人的な保証のある形で公共の利益となるシステム構築への活用を可能とした。
また、各項目それぞれの収集情報と分析結果として、欧州のMedISys、カナダ公衆衛生局のGPHIN、アメリカ合衆国のArgus等、あまり知られていなかった健康危機やバイオテロ対策としての各国の保有システムの構成、機能、役割について、また、情報処理における言語学分野の技術について最新の知見をまとめた。公衆衛生対応者および研究者にとって重要な資料を提供することができた。しかし、今回提案した内容以上に、健康危機管理情報のためのシステムには、自動アラート発生機能や、注意喚起メカニズムなど、今後一層の研究が必要な領域も残っている。
結論
公開情報をはじめとした種々の情報源から情報収集と調査を行い、既存システム、最新の言語学技術、市販ソフトウエアについてのまとめ、日本が必要とする健康危機管理上の情報の視点から最適なシステムデザインの提案を行った。

公開日・更新日

公開日
2010-06-14
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200805025C

成果

専門的・学術的観点からの成果
健康危機情報を収集するシステムについては、カナダのGPHINが有名ではあるものの、評価や概説はほとんど発表されていない。これは、システム運用上の機密がある様な、国家が保有するものが主流であったためとも考えられる。今回の提言にあたり実施した調査と分析は、既知のシステムを同じ基準で評価検討したもので、系統的レビューとしての価値が高い。今後、同分野で研究開発を試みる研究者にとっても、実用のシステム開発者にとっても、多くの情報源となる成果である。
臨床的観点からの成果
本研究は開発研究であり、国家システムの開発にあたっての具体的なシステムデザインへの提言を提供する。したがって、臨床分野における成果は無いが、実用性の点からは、本研究成果の提言に基づき、システムを組み上げれば、世界最先端の技術を利用した国際的にも評価の高い健康危機対策に資するシステムを作成することができる。
ガイドライン等の開発
本研究は調査と分析から、実用に際しての提言をまとめるもので、ガイドラインの作成等は予定されていない。
その他行政的観点からの成果
国内での実用はまだないが、研究の過程で概要を口頭で先進国保健相のもとで開催されているGlobal Health Security Initiativeのワーキンググループの下部会議で報告し、参考資料としての提供を求められている。本研究班の成果として、英語版の報告書を作成しており、これを次回会議に先駆けて参考資料として提供予定である。ワーキンググループで検討している共同プロジェクトへの参照資料として活用される。
その他のインパクト
特になし。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2016-06-01
更新日
-