薬剤師の実務実習・研修における指導方策に関する研究

文献情報

文献番号
199700442A
報告書区分
総括
研究課題名
薬剤師の実務実習・研修における指導方策に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成9(1997)年度
研究代表者(所属機関)
全田 浩(信州大学医学部附属病院薬剤部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 薬物療法等有用性向上推進研究事業
研究開始年度
平成8(1996)年度
研究終了予定年度
平成9(1997)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年、人口の高齢化や医薬品の多様化により、医薬品の適正使用が薬物療法における大きな問題となってきた。その中で、患者の状態にあった薬の選択に際して医師に助言し、また投薬モニタリング及び服薬指導等を行う薬剤師の果たす役割はますます重要となってきている(改正薬剤師法第25条の2)。しかし、現在の薬剤師は大学で十分な実務実習を受けておらず、卒後の実地訓練や実務研修により、その点をカバーしているが指導体制は十分ではない。薬剤師を指導する指導者の役割は重要であることより、そのための薬学生及び薬剤師の指導方策の検討が急務である。
研究方法
薬剤師の実務実習・研修における指導方策に関し、病院(1か月)・薬局(1か月)における実習・研修の内容について検討し、その内容に沿って実際に実務実習・研修を行い、その結果を踏まえ「病院薬局実務研修指針」を作成する。
結果と考察
薬剤師の実務実習・研修における指導方策について検討した内容に基づいて、実際に病院における研修(1か月)を10施設にて18名(薬学系大学院生及び研修生)、薬局における実習(1か月)を5施設にて5名(薬学部学生)に対し行った。その結果、次の点を理解することが重要と考えた。1.病院薬剤師としての生命倫理感と責任を自覚し、病院薬剤部の組織・役割等を理解することにより研修生としての立場を認識する。2.各種薬剤調整法の根拠を理解し、技術を習得する。患者の薬歴作成及び服薬指導業務への関与(守秘義務を含む)を通じて、そのあり方を習得し、医薬品の適正使用における薬剤師の役割を理解する。3.院内製剤の特殊性、品質管理の重要性を理解し、技術を習得する。4.注射薬調剤の意義を理解し、適正使用の実践を図る。5.医薬品の品質管理の重要性を認識し、医薬品の在庫管理を含めて円滑な供給を図る方法を理解し、取扱い技術を習得する。また麻薬、向精神薬及び覚せい剤取扱いの重要性を理解する。6.医薬品適正使用のためのDI業務の重要性を認識し、特に薬歴管理、服薬指導、病棟業務との関連性を理解する。7.患者情報把握のため、診療録の内容を理解し、病棟における薬歴管理及び服薬指導業務への関与(守秘義務を含む)を通じて、薬剤管理指導業務を理解し、実践する。また、チーム医療の必要性を理解し、医療人としての自覚を高める。8.治療薬物モニタリング(TDM)を通して薬物療法への参画の意義を理解し、処方設計へのフィードバックを学ぶ。9.試験・研究に基礎をおくことにより、調剤、製剤、薬品管理学等の薬剤部における各種業務を科学的に理解する。10.薬剤部と病院内各部門及び関連医療機関との有機的連携などを理解する。
結論
病院薬局実務研修指針は次の項目を含んでいる。?.オリエンテーション-(1)研修生の心構え(2)患者心理と接遇(3)薬剤部の組織と業務(4)病院における薬剤部の役割と責任(5)業務上の過誤防止(6)医療チームの一員としての患者への対応(7)医療・保険診療関連法規 ?.調剤業務(服薬指導・薬歴管理を含む)(1)処方内容の確認・鑑査(2)薬袋作成(3)薬剤調製(4)調剤薬の鑑査方法(5)調剤薬交付の方法(6)薬歴管理(7)服薬指導(8)調剤用機器等の保守(9)上記に関する技術の習得 ?.製剤業務 ?.注射薬管理業務(TPNを含む) ?.医薬品管理業務(1)医薬品管理(2)麻薬等管理(3)治験薬等の調剤と管理(4)血液製剤の保管と管理 ?.医薬品情報(DI)業務 ?.病棟業務(薬剤管理指導業務) ?.治療薬物モニタリング(TDM) ?.医薬品試験・研究 ?.病院内、病院外施設見学 ??.その他-在宅医療への関与、救急医療と薬剤、院内感染予防対策等

公開日・更新日

公開日
-
更新日
-

研究報告書(紙媒体)