文献情報
文献番号
200805022A
報告書区分
総括
研究課題名
居住環境と健やかな妊娠・育児に関する研究
課題番号
H20-特別・指定-031
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
山縣 然太朗(山梨大学 大学院医学工学総合研究部 社会医学講座)
研究分担者(所属機関)
- 鈴木 孝太(山梨大学 大学院医学工学総合研究部 社会医学講座)
- 藤原 武男(国立保健医療科学院 生涯保健部 行動科学室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
高層居住が妊産婦や乳幼児に与える影響を科学的に考察することにより、健やかな出産・育児のための安心・安全な居住空間の提案・提供につなげることを目的として、国内外の文献レビューを行うとともに、今後、この分野における疫学的研究を実施することを想定した場合の研究デザインの検討を行った。
研究方法
以下の3点について、国内文献については医中誌WEB、海外の文献についてはPubMedの両データベースを用いて、系統的な文献検索およびレビューを行った。
1.高層居住が、妊娠に与える影響
2.高層居住が、乳幼児の発達・発育に与える影響
3.高層居住が、学童期・思春期にある子どもの発達・発育に与える影響
1.高層居住が、妊娠に与える影響
2.高層居住が、乳幼児の発達・発育に与える影響
3.高層居住が、学童期・思春期にある子どもの発達・発育に与える影響
結果と考察
高層住宅に居住することが、妊娠に関してどのような影響を与えるかという原著論文は、国内、海外ともにほとんど存在していないことが明らかになった。
高層居住が子どもの発達について与える影響について、系統的レビューを行った結果、8件の論文があり、いずれも1960年―80年代の研究で、過去19年以内での同様のテーマに関する論文はなかった。
また、すべて横断研究であり、多変量解析等により社会経済的要因を調整しているものはなかった。さらに、アウトカムの計測も多くが母親の報告に頼ったものであった。
そのような限界があるにせよ、高層マンション居住している児に呼吸器系疾患が多いことや、問題行動を起こす児が多いことなど、児の健康・発達に有害であることを示唆する論文が6件あった。また、この関係は男児に特にみられ、また年齢とともにこの関係は薄くなることも示唆されていた。
高層居住が子どもの発達について与える影響について、系統的レビューを行った結果、8件の論文があり、いずれも1960年―80年代の研究で、過去19年以内での同様のテーマに関する論文はなかった。
また、すべて横断研究であり、多変量解析等により社会経済的要因を調整しているものはなかった。さらに、アウトカムの計測も多くが母親の報告に頼ったものであった。
そのような限界があるにせよ、高層マンション居住している児に呼吸器系疾患が多いことや、問題行動を起こす児が多いことなど、児の健康・発達に有害であることを示唆する論文が6件あった。また、この関係は男児に特にみられ、また年齢とともにこの関係は薄くなることも示唆されていた。
結論
高層居住が、妊娠や子どもの発達・発育に与える影響を検討するために、国内外の文献レビューを行ったところ、妊娠予後に関する文献はほとんどなかった。子どもの発達・発育に関する文献は海外を中心に10件ほど検索されたが、ほとんどが1960-1980年代に発表されたものであった。
以上より、高層居住が、妊産婦や子どもの健康に与える影響は、現時点では明らかなエビデンスによって示されているとは言えず、今後、高層居住の定義や、さまざまな交絡因子を考慮した上で、経年的に追跡していく前向き研究をデザインし、実行する必要性が明らかになった。
以上より、高層居住が、妊産婦や子どもの健康に与える影響は、現時点では明らかなエビデンスによって示されているとは言えず、今後、高層居住の定義や、さまざまな交絡因子を考慮した上で、経年的に追跡していく前向き研究をデザインし、実行する必要性が明らかになった。
公開日・更新日
公開日
2009-09-16
更新日
-