文献情報
文献番号
200805021A
報告書区分
総括
研究課題名
特定不妊治療費助成事業の効果把握に係るシステム構築に関する研究
課題番号
H20-特別・指定-030
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
齊藤 英和(国立成育医療センター・周産期診療部)
研究分担者(所属機関)
- 苛原 稔(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部発生発達医学)
- 桑原 章(徳島大学医学部・歯学部附属病院発生発達医学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
6,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
特定不妊治療費助成事業は、高額な自費負担を余儀なくされるARTを受ける患者家族の経済的負担を軽減する目的で2004年から始まり、我が国におけるART治療のあり方にも影響を与える大きな社会的基盤となっている。ART登録システムから得られた助成制度関連の情報を解析し、今後の新たなART登録システムおよび助成制度の効果把握に必要なシステム要件に関して考察した。
研究方法
日本産科婦人科学会ARTオンライン登録は大学病院医療情報ネットワーク(UMIN)のサーバを利用して運用されており、Webを利用したデータ登録は「治療から妊娠まで」と「妊娠から出産後まで」の全ての情報が得られることに加え、「特定不妊治療費助成制度の利用の有無」と助成申請を行う自治体名を含む。このWeb登録を用いて解析した。
結果と考察
2007年オンライン登録は全登録数は161,069件、妊娠は29,137件、出産症例15,895件を含み、登録全件数の27.5%にあたる44,273件で助成制度の利用申請があり、申請件数の24.5%(10,867件)で妊娠が確認された。地域によって申請率は異なり、制度の普及程度を検討する指標になる可能性がある。現行のシステムは学術的に有用なだけでなく、今後の助成制度のあり方を考えていく上で有用な行政的基盤であることが示された。一方で、患者住所などの情報を含め情報把握のためにはもう少し詳細な情報を登録システムに盛り込むことが今後必要と思われる。また、円滑に正しい情報が入力されるためのシステム改変に関しても施設内データベースとの情報共有や、集まったデータの一部共有などを含め各自治体、医療施設、学会、関係省庁が一体となってデータベースを再利用していくことが求められ、そのためには抜本的なシステム再開発が必須となると考えられる。インターネットを介してART情報を集める試みは他の先進諸国の中でも極めて先進的であり、集積される治療成績は助成制度の効果把握の重要な基礎情報を提供しているだけでなく、患者にとっても有用な情報となり得る。
結論
助成制度そのものの影響を把握することも含め、治療技術の変化に合わせて正確に、そして円滑に情報を集めることができる新しいシステムを開発して効率的に情報を収集し、助成制度が国民にとってより良い制度として社会に還元されていくことが望まれる。
公開日・更新日
公開日
2009-09-16
更新日
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