ペアレントトレーニングの効果測定のための日本語版児童愛着面接/親子社会サポート評価面接/MRI信号評価の実用化と実施者養成研修カリキュラムの開発-オンライン提供を含めて

文献情報

文献番号
202018046A
報告書区分
総括
研究課題名
ペアレントトレーニングの効果測定のための日本語版児童愛着面接/親子社会サポート評価面接/MRI信号評価の実用化と実施者養成研修カリキュラムの開発-オンライン提供を含めて
課題番号
20GC1020
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
石井 礼花(東京大学医学部附属病院 こころの発達診療部)
研究分担者(所属機関)
  • 田中 恭子(国立成育医療研究センター)
  • 向井 隆代(聖心女子大学 現代教養学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
5,380,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、発達障害や慢性疾患を持つ児の親のペアレントトレーニングの効果を評価する為、愛着の安定性を測定する Child attachment interview(CAI)の日本語版、親子への社会サポートの量と質を評価する面接法、磁気共鳴画像(MRI)による客観的指標の開発実用化を行う。また、評価を行う人材育成、ぺアレントトレーニング(発達障害・慢性疾患の児を持つ親への)実施者養成研修の確立を目的とする。
研究方法
研究1:CAI面接実施要領を日本の文化・言語的特徴を踏まえ日本語に翻訳し、日本語版を作成。AFCで実施されている3日間の研修内容を参考に、日本での実施者養成プログラム案を作成した。臨床心理士3名に、定型発達児2例の面接実施を含むパイロット研修とフィードバックを行なった。
研究2:通常診療のみを受ける群をコントロール群(CL 群)としたランダム化比較試験(RCT)を既に開始している。介入群は、6 組程度の発達障害児と親で 1 グループとし、計 30 組 10 週間の PT に参加。
慢性疾患をもつ子どもの親へシングルアームのペアレントトレーニンング試験を行うためのプログラムを開発する。
研究3:PTの必要性と希望形態についての実態把握を行ない、6歳か ら14歳の ADHD 児23名とその親22名、また定型発達児36名とその親25名に対して、オンラインで面接を行なった。また、子供の問題行動 、ADHD症状、対人応答性、 さらに親の育児ストレス を評価した。
結果と考察
CAIの実施者養成プログラムのパイロット研修を行なった結果、事前課題、2例のCAI実施と個別フィードバック、および3日間の全体研修プログラムにより、定型発達児に対するCAI面接実施者を養成する目的はほぼ達せられることを確認した。社会サポートネットワーク面接をオンラインで行えるように整え、5名に研修を行った。MRI撮像をADHD母子21組、定型発達母子18組に対して行なった。ADHD母子については、PTの前後にMRIとCAIを施行した。発達障害児を持つ母への PT ランダム化比較試験(石井): PTを13名に施行した。(2021年5月までにRCTに登録は計24名)
2020年5月~11月、アタッチメントとトラウマインフォームドアプローチの要素を組み入れた、慢性疾患児をもつ保護者への支援プログラムの完成版を作成した。さらに「ストレスとコーピング」及び「子どものセルフアドボカシー」については、今後のプログラム実施や啓発活動に向けて、動画を制作した。社会サポートとPTの必要性についての実態把握調査では、ADHD児が定型発達児よりも優位に社会サポートネットワークが小さかった。また、ADHD児において、SRSのサブスケールである社会的動機づけが低いほどと社会サポートネット ワークが少ないという結果を得た。ADHD症状との相関はなかった。また、定型発達児において、子供のCOVID-19 によるサポートネットワークの減少が親のストレスの高さと関連しているという結果を得た。また、以前、ペアレントトレーニングなどのサポートを受けていた方に「新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、トレーニングを受けたことは、役に立ちましたか?」という質問を5択で行ったところ、以下のような回答を得た。非常に役に立ったが7%、役に立ったが43%、まあまあ役に立ったが29%、あまり役に立たないが21%、全く役に立たないが7%であった。日本ペアレントトレーニング研究会の会長 岩坂、副会長 井上、理事 庄司などの協力を得てPT 実施者等の意見を聴取し(2020年 7月14日、12月2日、12月15日)、東京大学および成育医療研究センターのペアレントトレーニングプログラムへの意見を得た。および研修プログラム作成への助言を得た。また、鳥取大学におけるオンラインペアレントトレーニングの見学の機会も得た。
結論
本課題の研究成果により、発達障害の患者とその親へのサポートを効果的に行なっていく方法として、発達障害を持つ児へ社会サポートについて、また、医療が提供できる社会サポートとしてのペアレントトレーニングの必要性について実態把握ができた。さらに、COVID-19流行による影響が心配される中、オンラインで行うというニーズにも応えられる成果が得られてきている。2021年度は、ペアレントトレーニングのRCTとMRI
による客観的指標の開発を進める。また、実施者用テキストと実施者養成プログラムを確立し、提供する。CAI実施者養成については、児童への面接実施とプログラムの提示順の再検討を行い、事前課題や研修中の課題の内容をさらに充実させるなどして、研修プログラムを改訂していく。



公開日・更新日

公開日
2021-09-14
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202018046Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,873円
(2)補助金確定額
3,873円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,962円
人件費・謝金 880円
旅費 0円
その他 137円
間接経費 894円
合計 3,873円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2024-03-26
更新日
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