救急部門と周産期部門との連携強化に資する具体的手法に関する研究

文献情報

文献番号
200805016A
報告書区分
総括
研究課題名
救急部門と周産期部門との連携強化に資する具体的手法に関する研究
課題番号
H20-特別・指定-021
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
杉本 壽(大阪大学大学院 医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 岡井 崇(昭和大学医学部 産婦人科)
  • 海野 信也(北里大学医学部 産婦人科)
  • 池ノ上 克(宮崎大学医学部 産婦人科)
  • 山口 芳裕(杏林大学医学部 救急医学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
昨年10月に東京都内で起こった妊婦死亡事案などを受け、救急医療と周産期医療との連携・協力体制の整備が社会的にも強く求められている。本研究では、救急部門と周産期部門の連携・協力体制の現状を詳細に調査し、現在の問題点を把握して今後の連携改善策を具体的に提言することを目的とした。
研究方法
2009年1月から3月にかけて、全国救命救急センターにおける妊産褥婦入院症例に関するアンケート調査、総合周産期母子医療センター、日本産科婦人科学会卒後研修指導施設、東京都指定二次救急医療施設における母体救命対応体制に関するアンケート調査を施行し、救急部門と周産期部門の連携・協力体制の現状把握と問題点の抽出を行った。また、東京都で新たに創設された母体救命搬送システムに関して、本システムが創設された背景、システム内容、運用上の取り決め、今後の課題を整理した。さらに、宮崎県における母体救急症の発生状況とその対応に関する後方視的調査を施行し、地域における救急・周産期連携体制の現状と問題点を把握した。以上の研究を踏まえ、「周産期医療と救急医療の確保と連携のための緊急課題への提言」作成を進めた。 
結果と考察
 救急部門と周産期部門の連携体制に関する各アンケート結果では、いずれも救急部門と周産期部門の連携強化が重要であり、また十分可能であることが明らかとなった。また、東京都における新たな母体救命搬送システム創設に関する報告や宮崎県における母体救急症の調査結果から、それぞれの地域に応じた適切な救急部門と周産期部門の連携・協力体制の重要性が浮き彫りとなった。さらに、「周産期医療と救急医療の確保と連携のための緊急課題への提言」において、(1)周産期医療と救急医療の連携強化のために必要な施策、(2)周産期センターの機能表示とそれに基づく再指定、(3)産婦人科初期・二次救急医療システムの構築、(4)他の診療科・診療部門に対する妊婦受け入れ促進策、を厚労省に提言した。これらの研究結果に基づいて、救急部門と周産期部門の連携・協力体制が全国で改善すれば、妊婦救急患者の受け入れはより確実なものとなり、国民にとって安心な環境が整備される。
結論
 救急部門と周産期部門の連携・協力体制は未だ十分ではなく、連携強化による体制整備を早急に全国的に進める必要がある。

公開日・更新日

公開日
2010-06-22
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200805016C

成果

専門的・学術的観点からの成果
 本研究では、救急部門と周産期部門の連携・協力体制の現状を詳細に調査し、問題点を把握して今後の連携改善策を具体的に示した。「周産期医療と救急医療の確保と連携のための緊急課題への提言」において、(1)周産期医療と救急医療の連携強化のために必要な施策、(2)周産期センターの機能表示とそれに基づく再指定、(3)産婦人科初期、二次救急医療システムの構築、(4)他の診療科・診療部門に対する妊婦受け入れ促進策、を厚労省に提言した。
臨床的観点からの成果
 全国救命救急センター、総合周産期母子医療センター、日本産科婦人科学会卒後研修指導施設、東京都指定二次救急医療施設における各調査において、臨床現場では救急部門と周産期部門の連携強化が重要であり、また十分可能であることが明らかとなった。本研究成果に基づいて、救急部門と周産期部門の連携・協力体制が全国で改善すれば、妊婦救急患者の受け入れはより確実なものとなり、臨床的観点からも国民にとって安心な環境が整備される。
ガイドライン等の開発
 本研究では、「周産期医療と救急医療の確保と連携のための緊急課題への提言」を作成するにあたり、2009年3月1日、関連5学会(日本産科婦人科学会、日本救急医学会、日本小児科学会、日本周産期新生児医学会、日本麻酔学会)の共催を得て、周産期・救急医療専門家会議を開催した。提言に関する各課題について活発な意見交換が行われ、貴重な意見が最終案に集約された(2009年3月4日)。周産期・救急医療専門家会議でコンセンサスを得た提言としてその意義は大きい。
その他行政的観点からの成果
 本研究では、「周産期医療と救急医療の確保と連携に関する懇談会」(2008年11月から12月)の検討内容に基づき、「周産期医療と救急医療の確保と連携のための緊急課題への提言」を作成した。2009年3月1日には、関連5学会の共催を得て周産期・救急医療専門家会議を開催し、各課題に関して意見交換が行われ、最終提言に集約された。本提言に基づいて、救急部門と周産期部門の連携・協力体制の整備が今後進められる可能性が高く、行政的観点からも本研究の意義は大きい。
その他のインパクト
 本研究では、「周産期医療と救急医療の確保と連携に関する懇談会」(2008年11月から12月)の検討内容に基づき、提言を作成した。「周産期医療と救急医療の確保と連携に関する懇談会」の会議内容は、新聞、ホームページなどを通じて公表され、周産期・救急医療専門家だけでなく一般の国民の関心も高く、2009年3月1日の周産期・救急専門家会議においても各科医師、看護師、社会福祉士に加えて一般参加者、報道関係者(会議総参加者111名)の参加を得た。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-05-28
更新日
-