文献情報
文献番号
200805014A
報告書区分
総括
研究課題名
認知症の実態把握に向けた戦略立案及び予備的研究
課題番号
H20-特別・指定-019
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
朝田 隆(筑波大学 大学院人間総合科学研究科疾患制御医学専攻)
研究分担者(所属機関)
- 目黒 謙一(東北大学 大学院医学系研究科)
- 下方 浩史(国立長寿医療センター研究所)
- 角間 辰之(久留米大学バイオ統計センター)
- 斎藤 正彦(和光病院)
- 小阪 憲司(横浜ほうゆう病院)
- 松原 三郎(松原病院)
- 木之下 徹(こだまクリニック)
- 粟田 主一(仙台市立病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
32,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
1)認知症の有病率算出法の文献をレビューする。2)認知症の有病率および実態調査方法を新たに考案する。3)特色ある認知症医療を実践している医師会の活動状況を把握する。4)学会への調査と診療実態の調査を行い概要把握する。5) 21年度以降に予定されている認知症診療の実態に関するアンケート調査を行うための項目を策定する。
研究方法
1)先行研究における有病率算出方法(日本、国外)に関する文献をレビューする。2)レビューの結果と、調査予定地域の人口動態、認知症の有病率などを参考に、平成21年度からの地域調査の具体的な実施方法を考案する。3)全国の医師会レベルでの認知症医療活動について調査する。4)認知症に関連する学会に依頼して、学会専門医の分布と診療状況を調査する。5) 病院・診療所や福祉系施設における認知症診療の実態調査の準備として幾つかの機関に対して聞き取り調査を行う。
結果と考察
1)、2)調査は 2 段階もしくは3段階に行うのが適切である。第 1 相でスクリーニングを行い、第 2 相で第 1 相の陽性者や第 1 相での検査が不十分であった者や第 1 相の結果に疑問のある者を精査する。3) 認知症医療においてかかりつけ医の果たす役割についてのキーワードは、啓発、早期発見、連携、後方転送、医師のスキルアップなどである。これらのキーワードあるいは課題に対して多くの医師会が新たな試みを行いつつある。後の課題は、啓発、早期発見、連携、医師のスキルアップ、後方転送といった課題をどう有機的に結びつけてゆくかにあると考えられる。4) 人口10万対での機関数、専門医ともに全国平均では1に達していない。今日200万人ともいわれる認知症患者の数を考えるとあまりに少ない。地域医師会単位での試みも出てきているが、まず数の増加は喫緊の課題である。5) 外来、往診の組み合わせで認知症早期から終末期まで、在宅介護を支援することが可能である。診療所の機能には、バックアップする病床の有無、画像検査等の検査を受け容れる検査機関の有無など、周囲の環境要素が重要である。病院の調査では、大学病院には高い診断能力が期待できる一方で、長期的な支援に問題があること、認知症専門病院では、軽症から終末期までの患者がケアを受けており、一定の内科的合併症の入院治療までは可能であった。
結論
ここに示した本年度の成果をもとに、平成21年度から可及的速やかに調査を開始すべくさらなる準備を進める。
公開日・更新日
公開日
2009-05-25
更新日
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