補装具費支給制度等における適切なフォローアップ等のための研究

文献情報

文献番号
202018038A
報告書区分
総括
研究課題名
補装具費支給制度等における適切なフォローアップ等のための研究
課題番号
20GC1012
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
高岡 徹(社会福祉法人 横浜市リハビリテーション事業団 横浜市総合リハビリテーションセンター)
研究分担者(所属機関)
  • 樫本 修(宮城県リハビリテーション支援センター)
  • 菊地 尚久(千葉県千葉リハビリテーションセンター 診療部)
  • 芳賀 信彦(東京大学 医学部附属病院 リハビリテーション医学 )
  • 中村 隆(国立障害者リハビリテーションセンター(研究所) )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
12,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 令和2年度においては、障害者総合支援法による支給を行う身体障害者更生相談所(以下、更生相談所)、健康保険制度を用いて装具処方を行う病院、実際に補装具を提供する製作業者などにおける補装具や治療用装具の支給とフォローアップの現状を調査し、課題を明らかにすることを目的とする。
研究方法
1.補装具支給とフォローアップの実態把握
(1)更生相談所における現状調査:アンケート用紙を全国の更生相談所78か所にメールで送信し、回答を回収した。
(2)回復期病棟における装具処方とフォローアップ:千葉県内の回復期リハビリテーションを行っている施設(64施設)に対してメールによりアンケート調査を依頼した。
(3)補装具製作業者によるフォローアップ:全国270か所の義肢装具製作所が所属する一般社団法人日本義肢協会の正会員を対象に、郵送によるアンケート調査を実施した。
2.障害当事者による有効利用の促進:筋電義手の利用者が直接集って情報交換を行う場を設定する予定であったが、新型コロナ感染症の影響のため、オンラインでのミーティング形式に変更・開催した。
結果と考察
1.補装具支給とフォローアップの実態把握
(1)更生相談所における現状調査:回答は71か所であったが、複数の更生相談所がある県においてまとめて一つの回答を行った県があり、回収率は100%であった。補装具のフォローアップを現在、あるいは以前に実施している更生相談所は全国で18カ所(25%)であったが、そのほとんどが効果や今後の必要性を認識していた。フォローアップが困難な理由で最も多かったのが「マンパワーの不足」であった。いずれの更生相談所も地域の医療機関、社会資源等との連携の重要性は認識されながらも実際に連携が実現できている更生相談所は30%と少なかった。
(2)回復期病棟における装具処方とフォローアップ:38施設から回答があり、回収率は59.4%であった。下肢装具処方を行っている施設は92.1%、回復期リハビリテーション病棟退院後に外来診療を行っている施設は81.6%、装具の修理を行っているのは83.8%、再作製を行っているのは62.2%であり、当初の予測より高率で外来フォロー等が行われていた。
(3)補装具製作業者によるフォローアップ:162業者より回答があり、回収率は60.0%であった。義肢装具等のフォローアップ体制が製作業者により異なり、4分の1の製作業者ではフォローアップが行われていないこと、積極的に義肢装具等の状態を利用者に問いかけている製作業者が少ないこと、利用者から不具合の連絡があった場合の対応も一定でないこと、が明らかになった。
2.障害当事者による有効利用の促進:筋電義手利用者に対するアンケート調査の解析では、当事者同士の情報共有の場の設置が重要であることが明らかとなった。そのための試行として「義手オンラインミーティング」を2回開催した。参加者はそれぞれ135名、130名であった。
 補装具のフォローアップに関する必要性は、様々な機関で認識されていたが、どの機関が中心的役割を果たすべきかについては課題が多い。身体障害者更生相談所、地域の医療機関、補装具製作業者、市町村、リハ専門職等の地域の社会資源との連携、システム作りが今後の課題であるが、各地域の実情に応じた役割分担が必要である。
 令和3年度は、更生相談所、医療機関、製作業者、利用者本人と家族および日常的に関わる支援者それぞれが、どのような役割を果たせばよりよい補装具のフォローアップ体制が築けるのか具体的なモデルやツールの提案を行う予定とする。
結論
 更生相談所、医療機関、補装具製作業者のいずれも補装具のフォローアップの必要性と重要性を認識していた。しかし、システムとして十分なフォローアップの体制が確立しているとは言えない状況と考える。一方で、補装具の新規作製や修理のための制度は確立しているので、この補装具制度への情報アクセスや判定場所への交通アクセス等の問題を解決することが、フォローアップ体制の整備にもつながるものと考える。
 補装具のフォローアップに関しては、更生相談所、地域の医療機関、補装具製作業者、市町村、リハ専門職等の地域の社会資源との連携、システム作りが今後の課題であるが、各地域の実情に応じた役割分担が必要である。

公開日・更新日

公開日
2021-09-14
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2023-06-20
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202018038Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
15,000,000円
(2)補助金確定額
9,113,000円
差引額 [(1)-(2)]
5,887,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,452,114円
人件費・謝金 369,252円
旅費 730,812円
その他 4,024,705円
間接経費 1,536,815円
合計 9,113,698円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2023-06-20
更新日
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