文献情報
文献番号
202018037A
報告書区分
総括
研究課題名
療育手帳に係る統一的な判定基準の検討ならびに児童相談所等における適切な判定業務を推進させるための研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
20GC1011
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
辻井 正次(中京大学 現代社会学部)
研究分担者(所属機関)
- 内山 登紀夫(大正大学 心理社会学部 臨床心理学科)
- 大塚 晃(上智大学 総合人間科学部)
- 日詰 正文(独立行政法人 国立重度知的障害者総合施設 のぞみの園 総務企画局 研究部)
- 小林 真理子(山梨英和大学)
- 村山 恭朗(神戸学院大学 心理学部)
- 伊藤 大幸(中部大学現代教育学部)
- 浜田 恵(名古屋学芸大学ヒューマンケア学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
療育手帳制度は、昭和48年(1973年)に都道府県知事および指定都市長宛になされた厚生事務次官通知(厚生省発児第156号)に基づき、現在運用されている。そのため、療育手帳の判定方法および障害等級の基準は都道府県及び指定都市ごとに定められている。このような療育手帳に関する基準のばらつきによる弊害(転居に伴う療育手帳の交付再判定など)は、これまでに複数の研究調査において指摘されている(例えば、櫻井,2000)。しかし、未だ療育手帳の判定方法や知的障害の程度に関する統一基準は確立されていない。そこで、本研究は、6つの分研究を通じて、療育手帳の判定業務および障害等級の基準の統一化に向けた基礎資料を作成することを目的とする。
研究方法
文献調査、療育手帳の判定・交付業務を行う全国の児童相談所および知的障害者更生相談所へのアンケート調査を通じて、6つの分担研究を行った。
結果と考察
文献調査からは、都道府県および政令指定都市間で療育手帳の判定基準が異なる背景、近年における知的障害の定義および診断基準、国内で標準化されている知能・発達・適応行動に関するアセスメントツールの現状が明らかになった。アンケート調査からは、都道府県および政令指定都市の療育手帳の判定で行われる心理診断の現状、知的障害の国際的診断基準に合致する療育手帳の判定のあり方に関する都道府県・政令指定都市の意見が示された。
結論
本研究が行った6つの分担研究の結果から、療育手帳の判定の基準の統一化を図るためには、1:知的障害者福祉法における知的障害の定義の明確化に関する整備、2:国際的な診断基準であるICD-11の知的障害の診断基準に沿った判定を行うため、偏差IQおよび標準偏差の算出が可能な適応行動の評価尺度を実施できるなど、知的障害の診断・評価ができるトレーニングを受けた専門家の養成、3:ICD-11に基づいた療育手帳の判定の方法・基準・重症度(障害区分)の整備、4:現在の療育手帳の業務のあり方に関する全国規模での再検討が必要であることが示唆される。
公開日・更新日
公開日
2021-09-21
更新日
-