文献情報
文献番号
200805013A
報告書区分
総括
研究課題名
ネット世代の自殺関連行動と予防のあり方に関する研究
課題番号
H20-特別・指定-018
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
竹島 正(国立精神・神経センター 精神保健研究所 精神保健計画部)
研究分担者(所属機関)
- 福永 龍繁(東京都監察医務院)
- 松本 俊彦(国立精神・神経センター精神保健研究所 自殺予防総合対策センター)
- 川野 健治(国立精神・神経センター精神保健研究所 自殺予防総合対策センター)
- 岡本 真(ヤフー株式会社)
- 稲垣 正俊(国立精神・神経センター精神保健研究所 自殺予防総合対策センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
硫化水素による自殺者の実態分析を踏まえ、その背景にある自殺リスクの高い若年者の特徴の把握およびインターネット上の自殺予防についての情報発信の分析を行うことを目的とした。また、ネット世代と言われる若年者の自殺予防の方策について考察することを目的とした。
研究方法
①平成20年1月から12月までの間の東京都監察医務院の死体検案調書のうち硫化水素中毒死を抽出・分析した。②中高生におけるインターネット上の自殺関連情報へのアクセス経験について自記式質問票による調査を行った。③自殺念慮のある人などを対象に運営されていたあるメールマガジンの内容を分析した。④Yahoo! JAPAN の検索履歴データを解析する計画案、「自殺」および「硫化水素」関連検索の解析の計画案の技術的、倫理的、法的問題を検討した。
結果と考察
①死亡例は76 例(男性56 例、女性20 例)であった。平均年齢は31.3 歳で、20 歳代が38 例と半数を占めた。発生数の変化はマスコミ報道の影響を強く受け、インターネット上の硫化水素ガスの発生に関する記載に忠実に従う変遷を示した。②自殺関連情報にアクセスした経験のある者は、中高生全体の6.2%にのぼった。また、自殺関連情報へのアクセス経験と自殺関連行動の経験には有意な関連性が認められた。③掲載された投稿の54%に「死にたいという気持ち」が吐露され、それに対する自助グループ的な支援関係が成立している可能性が示唆された。④解析を実施するには、大規模データを扱うためのインフラ整備、法的倫理的問題への対応についての議論が必要と考えられた。予備的な検討の結果、硫化水素自殺の検索が増えた時期に一致して、バナー表示が増加していた。「自殺」を含む用語による検索のほとんどが「硫化水素、他(製造材料名など)」または「有名人、タレント」と組み合わせて行われた検索であった。
結論
ネット世代の自殺予防にはインターネットの活用は不可欠と考えられた。本研究の成果をわかりやすいパンフレットにまとめるなど、研究成果の社会への発信を進めるとともに、インターネットを自殺予防に活用していくための方策についての研究協議の場を設けることが必要と考えられた。
公開日・更新日
公開日
2009-04-16
更新日
-