文献情報
文献番号
200805011A
報告書区分
総括
研究課題名
副作用症例の生体試料バイオバンクシステム構築に向けた基盤整備研究
課題番号
H20-特別・指定-016
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
佐藤 信範(千葉大学大学院薬学研究院 臨床教育)
研究分担者(所属機関)
- 水澤 博((独)医薬基盤研究所 生物資源学)
- 長谷川 隆一(国立医薬品食品衛生研究所 医薬品安全性評価)
- 神崎 哲人(千葉科学大学薬学部臨床医学研究室)
- 本間 真人(筑波大学大学院人間総合化学研究科(筑波大学附属病院薬剤部))
- 小林 江梨子(千葉大学大学院薬学研究院医薬品情報)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
7,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
副作用の発生機序の解明には、患者の生体試料を収集し、比較解析していくことが不可欠であるが、生体試料の収集に当たっては、副作用の患者が治療を受けた医療機関を把握することは困難であることから、多くの医療機関の協力と多大な手間、コスト、倫理面など多くの課題がある。そこで、これら問題に関して調査した。
研究方法
一般消費者、患者、医療関係者の、副作用症例の生体試料バイオバンクシステムに関しての意識調査と生体試料収集・保管、IC、倫理などの問題点に関する調査、生体試料バンク機能、あり方に関しての調査、副作用症例の生体試料収集方法の評価と生体試料のバイオバンクを構築するための必要条件に関する検討を実施した。
結果と考察
一般消費者及び患者では、 “個人情報の適切な管理”、”研究結果の使われ方“、”自分の遺伝子情報が研究に使われること“及び”自分の遺伝子と副作用の関係が明らかになること“などの問題点が、医療関係者では、結果が判明した場合の不安“、”結果のフィードバックの有無“、”患者さんへの説明(研究目的範囲、個人情報の取扱い、フィードバックの方法等)“、“医療機関内の研究体制の充実“、”研究の戦略性(研究目的の絞り込み)“、個人情報の適切な管理、目的外利用の禁止、医療関係者の研究体制の充実と、研究目的の絞り込みが、インフォームドコンセント(IC)の問題点やあり方に関しては、研究・倫理審査などの手続きのサポートの重要性などが、さらに、院内情報の持ち出しの困難さ、試料採取のための公的機関の充実、米国のNCIや英国の事例を参考に国際的な基準に照らしての妥当性のさらなる検討、全国の医療機関において患者の生体試料と診療情報を取得できる制度の確立などが指摘された。
結論
副作用症例の生体試料バイオバンクの基盤整備に関して、患者あるいは一般消費者の理解不足が認められ、その一因として啓蒙不足が考えられた。また、医師や研究者からは、患者情報や生体試料の管理体制、結果のフィードバックとサポート体制などの課題について、医療関係者や患者、一般消費者を巻き込んでの政府主導の議論を行い、世の中のコンセンサスづくりを進めていくことが不可欠であるも指摘された。さらに、米国のNCIや英国の事例を参考に国際的な基準に照らしての妥当性を検討する必要性があると考えられる。
公開日・更新日
公開日
2010-06-22
更新日
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