文献情報
文献番号
200805009A
報告書区分
総括
研究課題名
臓器移植拡大に向けた医療施設の整備体制に関する研究
課題番号
H20-特別・指定-012
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
長谷川 友紀(東邦大学 医学部 社会医学講座 医療政策・経営科学分野)
研究分担者(所属機関)
- 篠崎 尚史(東京歯科大学市川総合病院角膜センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
3,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では、臓器提供医療施設となりうる急性期病院の臓器提供体制の実態を明らかにし、問題点を明らかにする。
研究方法
(1)DPC病院717施設を対象にアンケート調査を実施した。(2)1病院を対象にヒアリング調査を実施した。(3)米国、ヨーロッパの状況についてヒアリング調査を実施した。
結果と考察
(1)149(21%)より回答を得た。臓器提供にかかわる事項では、「脳死判定可能な医師2人以上あり」(95.0%、39.7%)(4類型施設、4類型外施設)、「意思表示カードの確認」(52.5%、19.7%)、同「患者全員に確認」(39.0%、58.3%)、「臓器提供のマニュアルあり」(97.5%、50.0%)、「臓器提供の研修の実施」(45.0%、24.6%)など、4類型施設外でもDPC病院では臓器提供が可能な体制を有する病院が少なくない。反面、全死亡を100%としたときに、「臨床的に脳死疑い」(2.74%、0.41%)、「臨床的脳死判定の実施」(0.84%、0.03%)、「移植コーディネーターへの連絡」(0.34%、0.07%)、「臓器提供(心停止後)」(0.08%、0.04%)と、脳死の可能性を疑い脳死判定を実施する段階に障壁が存在することが伺えた。4類型施設外の病院のうち76.5%が、診療報酬上の評価、院外コーディネーターによる支援、専門医の派遣など脳死判定の支援などの条件が満たされるならば、臓器提供に協力すると回答した。
(2)専任院内コーディネーターの配置を行った1特定機能病院を対象に事例調査を実施し、院内体制つくりの問題点を明らかにした。
(3)臓器提供施設を制度で限定している国は調査した範囲では認めなかった。ユーロトランスプラント、米国OPOでのヒアリング調査では、病院に神経内科医がいないなど、脳死の判定などで支障を認める場合には、臓器移植ネットワークなどの斡旋機関が積極的に支援を行い、臓器提供が円滑に実施できる体制がとられていることが明らかになった。
(2)専任院内コーディネーターの配置を行った1特定機能病院を対象に事例調査を実施し、院内体制つくりの問題点を明らかにした。
(3)臓器提供施設を制度で限定している国は調査した範囲では認めなかった。ユーロトランスプラント、米国OPOでのヒアリング調査では、病院に神経内科医がいないなど、脳死の判定などで支障を認める場合には、臓器移植ネットワークなどの斡旋機関が積極的に支援を行い、臓器提供が円滑に実施できる体制がとられていることが明らかになった。
結論
臓器提供施設を限定することは、世界的には一般的ではない。むしろ、1施設で必要な体制を取れない場合の支援体制構築を検討すべきである。また、4類型施設でも院内体制、活動に差異を認めることから、これらを明らかにする指標を開発し、個々の施設に応じた支援のあり方を検討すべきである。
公開日・更新日
公開日
2009-05-20
更新日
-