文献情報
文献番号
200805005A
報告書区分
総括
研究課題名
病院勤務医等の勤務環境改善に関する研究
課題番号
H20-特別・指定-007
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
武林 亨(慶應義塾大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 種田 憲一郎(国立保健医療科学院 政策科学部安全科学室)
- 朝倉 敬子(慶應義塾大学 医学部)
- 安達 知子(母子愛育会総合母子保健センター 愛育病院産婦人科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
病院勤務医の勤務環境改善ならびに女性医師の離職防止に資するため、特に医師不足が深刻である産科・小児科医に焦点を絞り、勤務交代制や医療事務補佐員を導入した病院ならびに子育てと勤務を両立する女性医師やその女性が働く病院を対象として詳細な調査を行い、その内容を分析するとともに、体制整備のためのガイドを作成する。
研究方法
医師の勤務環境の改善に関する研究では、病院勤務医の勤務環境改善、改善事業として医療事務補助員や医師勤務交代制等を導入した病院に勤務する医師のタイムスタディ及び病院、医師、医療事務補助員、患者を対象にしたアンケート調査を実施した。女性医師の離職防止に関する研究では、女性医師が子育てと勤務を両立するための支援を積極的に行っている優良10施設に対するヒアリング調査を実施し、好支援策を収集・検討し、病院において女性医師がいきいきと診療できるための指針を作成した。
結果と考察
医療補助者の配置や交代勤務制・変則勤務制等の導入によって、医師の負担を軽減する傾向がみられた。しかしながら交代しうる医師の確保の難しさ、医療事務員の務内容や資格・トレーニング方法が施設間によって異なること、患者からは少数であるが診療内容の引き継ぎ不足に関する懸念、などの課題がみられた。タイムスタディの結果については、当直を含む医師の勤務状況を観察した結果を分析した。休憩を除く観察時間のうち、1-4割は患者の診療には直接の関わりのない業務であると推定された。また、女性医師支援が効果的に運用されている診療科では、①女性医師個別の背景を考慮した勤務体制・支援、②子育て中の女性医師を常勤とし、時間短縮制度の活用や、定時での帰宅などの工夫、③子育て中の女性医師と、男性医師・子育て中でない女性医師との間での不公平感がないような仕組み作りが、ほぼ共通してみとめられた。また、④女性医師支援に対する院長・診療科長の認識が強く、院長主導による、もしくは、診療科長による院長への個別交渉により女性医師支援策が活用されていることが明らかとなった。
結論
病院勤務医の勤務環境改善ならびに女性医師の離職防止のいずれにおいても、既に様々な先進的取組みを行っている医療機関の事例に基づいて作成したガイドを活用することにより、これらの対策に取り組む医療機関が増えると期待される。
公開日・更新日
公開日
2010-06-22
更新日
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