精神保健・福祉に関するエビデンスのプラットフォーム構築及び精神科長期入院患者の退院促進後の予後に関する検討のための研究

文献情報

文献番号
202018017A
報告書区分
総括
研究課題名
精神保健・福祉に関するエビデンスのプラットフォーム構築及び精神科長期入院患者の退院促進後の予後に関する検討のための研究
課題番号
19GC1010
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
佐藤 さやか(国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 地域・司法精神医療研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 中西 三春(公益財団法人東京都医学総合研究所)
  • 山口 創生(国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 地域・司法精神医療研究部)
  • 藤井 千代(国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
9,231,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は国内の実践家が効果的な実践を行うための支援として、1)精神保健福祉サービスの効果等についてのエビデンスの収集及び分類、専門的知見を介した信頼性等の評価、2) 国内外の調査・研究等のシステマティックレビュー(Systematic review:SR)の実施、3)1)2)の結果等を容易に入手可能な日本語プラットフォームの構築、を行うことであった。
研究方法
【中西分担班】システマティックレビューの最新のレポーティングガイドラインであるPRISMA 声明(2009)に従って、精神科長期入院患者の退院後の予後に関するシステマティックレビューを行った。論文検索について、英文はWeb of science、PsycINFO、CINAHL、MEDLINE、和文は医中誌を用いて行った。検索に用いるPE(C)OSは「P:Adults with SMI」「E:long-term(1年以上) for psychiatric hospitals/wards」「O:再入院の有無+入院日数/地域滞在日数+就労/学校等の社会参加」「S:observation+RCT」と定義した。
【藤井分担班】昨年度実施したグループインタビューを踏まえ、Webサイトのストラクチャおよびコンテンツの吟味を行い、名称等を検討した。
【山口分担班】今年度は藤井班と協働で特にコンテンツの検討を行った。英国Cochrane collaborationが運営するCochrane libraryに掲載されているCochrane reviewで取り上げられている支援技法について、わかりやすい伝え方を検討し、Webサイトに掲載可能な形の資料を作成した。
結果と考察
【中西分担班】論文検索の結果、Web of scienceで2,827編、PsycINFO で1,553編、CINAHLで967編、MEDLINE で3,983編、医中誌で762編の論文がヒットした。重複を除いた9,442編が一次および2次スクリーニングの対象となった。最終的に英文4編、和文2編がシステマティックレビューに組み入れとなった。組み入れとなった論文のreference checkを行ったところ和文1編が組み入れ基準を満たしたため、最終的に英文4編、和文3編が検討の対象となった。これらの文献についてROBINS-Iにもとづくrisk of bias評価およびデータ抽出を行った。
【藤井分担班】普段研究になじみのない人にとってもわかりやすいエビデンスの伝え方として、Webサイトの入り口を実践家を想定した「支援技法から探す」および当事者や家族を想定した「疑問や関心事から探す」の2系統に分け、それぞれに対応したストラクチャの設計を行った。また、山口班で実施するコンテンツ作成にあたりCochrane reviewのPlain language summary(PLS:平易な要約)の日本語翻訳を提示して終わりにするのではなく、支援技法の説明やシステマティックレビューの内容の解説も掲載するという枠組みを作成した。Webサイトは「こころとくらし-精神障害当事者の地域生活にかかわる研究結果紹介サイト(略称:ここくら)」と命名された。
【山口分担班】藤井班で検討されたコンテンツ作成の枠組みに沿って、Cochrane reviewのうち、重症精神障害(統合失調症、双極性障害、大うつ病)を対象とし、地域生活支援に関する心理社会的技法について検討しているレビューをハンドサーチによって選択し、これらのPLSの日本語翻訳、および支援技法に関する説明、Cochrane reviewの内容に関する解説ページを作成した。加えて、選択した支援技法やCochrane reviewを解説するにあたり必要と思われる、概念や専門用語についてQ&A方式のページを作成した。
結論
中西分担班について、PRISMA 声明(2009)に従ってシステマティックレビューのプロセスをほぼ完遂した。現在英文誌への投稿準備中である。藤井、山口分担班について、コンテンツ作成に当たっては、研究者になじみのある概念、用語、考え方など実践家をはじめとする、普段研究との接点がそれほど多くない人にいかにわかりやすく伝えるかということに工夫が必要であり、困難を感じる局面もあった。しかし、Webサイトβ版を2021年3月に実施したオンライン報告会にて、前年度にグループインタビューに参加したステークホルダーを中心に紹介したところ、終了後の参加者アンケートでは概ね好意的な評価を得た。完成したWebサイトの公開は2021年7月を予定している。

公開日・更新日

公開日
2021-09-14
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2021-09-14
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202018017Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
12,000,000円
(2)補助金確定額
11,556,000円
差引額 [(1)-(2)]
444,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,127,379円
人件費・謝金 5,850,334円
旅費 0円
その他 1,809,962円
間接経費 2,769,000円
合計 11,556,675円

備考

備考
自己資金:675円

公開日・更新日

公開日
2024-03-26
更新日
-