北海道洞爺湖サミット後の保健システム指標開発に関する研究

文献情報

文献番号
200805001A
報告書区分
総括
研究課題名
北海道洞爺湖サミット後の保健システム指標開発に関する研究
課題番号
H20-特別・指定-001
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
神馬 征峰(東京大学大学院医学系研究科・国際地域保健学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 勝間 靖(早稲田大学大学院アジア太平洋研究所)
  • 仲佐 保(国立国際医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
2,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
2008年に開催されたG8北海道洞爺湖サミット後、平成20年11月3・4日に国際保健のオピニオンリーダーが世界から東京に集まり、世界諸国の保健システム強化のあり方に関するシンポジウムが開催された。本研究は、「武見研究会」が中心になってシンポジウムの準備を進めていく上でなされた、世界の保健システムに関する人材、財政、情報システム強化に関する研究である。さらに、日本が今後とるべき方向性として、国際保健情報分野での評価・モニタリング指標に注目し、この情報分野における検討も行うことを目的とした。


研究方法
保健システム強化研究の手法は文献レビュー、政策レビューと途上国の現場従事者や各種専門家からの聞き取りの組み合わせによるものとした。保健人材、財政、情報分野の研究グループの代表者が素案を作り、政府・民間・市民社会からの代表者による武見研究会メンバー、特別アドバイザー、レビューワーのコメントを受けながら、数回に渡って書き直し、添付資料に示すような最終ドラフトを作り上げた。次いで、11月3・4日のセミナー後は、「武見研究会」の中で今後の日本の国際保健活動の焦点を「保健情報」に絞るという点で合意し、内外の各種関連機関や専門家との意見交換を武見研究会全体で行いながら、今後の具体的な計画策定を行った。
結果と考察
研究成果として、3つの政策論文を作成した。G8への具体的な提言は以下の通りである。第1に、資源の有効活用である。追加資源の確保は重要であるが、同時に、現在入手可能な資源をいかに効率的に使うかについてより力を入れるべきである。第2に途上国のキャパシティ(実行能力)を高めることである。十分な資源が途上国に行き届いたとしても、それを十分に活かす力がなければ、資源は有効に使われないからである。第3にG8サミットのコミットメントの内容をモニタリング・評価することである。それによって、コミットした資源がいかに有効に使われたかをよりよく知ることができ、今後のコミットメントのあり方に好ましい影響力をもたらし得るからである。
結論
まずは保健システム強化のための人材、財政、情報に関してG8がとるべき提言をまとめた。引き続き、G8終了後に日本が国際保健の分野でリーダーシップととっていくべき分野として、保健情報を特定した。その成果として、国際保健分野における共通評価指標を提言し、今後さまざまな国際会議の場でその内容を検討していく準備が整えられたところである。

公開日・更新日

公開日
2015-06-04
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200805001C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究の成果は国際保健政策に関しては世界で最も評価が高いランセット誌に掲載されており、国際保健の今後のあるべき方向性を示すことができた。またその成果は、英語から日本語、イタリア語、フランス語にも訳され、幅広く世界にも示された。
臨床的観点からの成果
特になし。
ガイドライン等の開発
2009年1月に開催されたWHO執行理事会において、日本を中心とした協力国が「プライマリヘルスケアと保健システム強化」に関するWHO決議案を提出した。その作成にあたり、今回の研究活動成果は有効活用された。この決議案は5月にWHO本部にて正式に採択される見込みである
その他行政的観点からの成果
この研究成果は、その後、タイ国で紹介された他、特に情報に関する企画内容は武見研究会並びにワシントンDCのBrookings Institutionなどで議論された。今後日米関係を強化しながら、この内容がより具体化されていく予定である。さらに2009年4月にはケニアでも報告会が開催され、アフリカで、この内容が具体的にどう活かされるかを検討する予定である。
その他のインパクト
この研究成果はWHO本部でも評価され、また国際保健人材の中枢センターとしての役割を果たしているGlobal Health Workforce Allianceのホームページにも掲載されている。また2009年4月7日には日本記者クラブにて、「国家戦略としてのグローバル・ヘルス」というテーマで神馬と渋谷がブリーフィングを行う予定になっている。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
2件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
1件
学会発表(国際学会等)
7件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
その他成果(普及・啓発活動)
3件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Jimba M, Ready M
Opportunities for overcoming the health workforce crisis
Lancet , 373 (9662) , 508-515  (2009)

公開日・更新日

公開日
2015-06-04
更新日
-