文献情報
文献番号
200804007A
報告書区分
総括
研究課題名
主にアジアに蔓延するウイルス性肝疾患の制御に資する為の日米合作的肝炎ウイルス基礎研究
課題番号
H20-国医・指定-007
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
三代 俊治(東芝病院 研究部)
研究分担者(所属機関)
- 溝上 雅史(名古屋市立大学大学院医学研究科 臨床分子情報医学)
- 小池 和彦(東京大学医学部 感染症内科)
- 脇田 隆字(国立感染症研究所 ウイルス第二部)
- 考藤 達哉(大阪大学大学院医学系研究科 樹状細胞制御治療学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 社会保障国際協力推進研究(国際医学協力研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
16,225,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
アジア諸国の肝炎・肝癌の制御。
研究方法
上記目的達成の為<1.班員夫々の専門領域の基礎研究>、<2.米国研究者との研究協力>、<3.アジア諸国研究者との共同研究>を実施した(詳細は次項)。
結果と考察
1. HCVの細胞培養: CD81が感染感受性に重要であり、Huh細胞の感染感受性は培養条件により変化することが明らかとなった。感染感受性に関わる宿主因子の同定に向けた研究を継続する必要がある。
2. HBVの分子疫學: 2種類の新たな組換え遺伝子型(r-HBV)を含む合計28種類のr-HBVの存在が明らかとなり、その世界分布には地域特異性が存在した。
3. HIV/HCV共感染の實態把握: HIV陽性C型肝炎は、HIV陰性例に比して若年で肝硬変や肝癌へと進行していた。リバビリン併用PegIFN療法の治療成績は、HIV陽性例がHIV陰性例に比してやや不良で、副作用は同等か同等以上に強かった。
4. HBV・HCV感染の免疫: C型、B型肝炎患者のミエロイドDC(MDC)をプロテアーゼ阻害剤や核酸アナログで処理するとサイトカイン産生能が回復した。ウイルス肝炎患者MDCにおけるTLR/RIG-Iの機能低下は、DCが病原体感染を十分に感知できず、効果的に免疫系を活性化できない可能性を示唆しているが、選択的抗ウイルス剤によるMDC機能の回復が期待できる。
5. アジアの疫學: (1) バングラデシュとの共同研究:出稼ぎ労働者の出國前檢診等により偶然發見された「無症状のHBV carrier」総計310名について、viral load, HBeAg, Serum ALTを測定し、且つ全例に肝生檢を施行したところ、有意の病理所見がHBeAg陽性者の91%、HBeAg陰性者の45%に認められ、要治療患者の夛數潜在が示唆された。市中の樂局で誰でも処方箋なしに抗ウイルス剤を購入し得るという同國の現状に鑑み、drug-resistant HBV mutantsのスプレッドが危惧される。(2) インドネシアとの共同研究:ロンボク島は夙にHBV高侵淫地域として知られていたが、近年HCVがHIVと共に同島に上陸し、以後急速にスプレッドしつつあり、HIVとHCVの遺伝子解析を試みたところ、HIV/HCV共感染群とHIV單獨感染群の間にHIV遺伝子型の明らかな相違がみられた。この相違が疫學的要因によるのかウイルス學的要因によるのか今後の追求が必要である。
2. HBVの分子疫學: 2種類の新たな組換え遺伝子型(r-HBV)を含む合計28種類のr-HBVの存在が明らかとなり、その世界分布には地域特異性が存在した。
3. HIV/HCV共感染の實態把握: HIV陽性C型肝炎は、HIV陰性例に比して若年で肝硬変や肝癌へと進行していた。リバビリン併用PegIFN療法の治療成績は、HIV陽性例がHIV陰性例に比してやや不良で、副作用は同等か同等以上に強かった。
4. HBV・HCV感染の免疫: C型、B型肝炎患者のミエロイドDC(MDC)をプロテアーゼ阻害剤や核酸アナログで処理するとサイトカイン産生能が回復した。ウイルス肝炎患者MDCにおけるTLR/RIG-Iの機能低下は、DCが病原体感染を十分に感知できず、効果的に免疫系を活性化できない可能性を示唆しているが、選択的抗ウイルス剤によるMDC機能の回復が期待できる。
5. アジアの疫學: (1) バングラデシュとの共同研究:出稼ぎ労働者の出國前檢診等により偶然發見された「無症状のHBV carrier」総計310名について、viral load, HBeAg, Serum ALTを測定し、且つ全例に肝生檢を施行したところ、有意の病理所見がHBeAg陽性者の91%、HBeAg陰性者の45%に認められ、要治療患者の夛數潜在が示唆された。市中の樂局で誰でも処方箋なしに抗ウイルス剤を購入し得るという同國の現状に鑑み、drug-resistant HBV mutantsのスプレッドが危惧される。(2) インドネシアとの共同研究:ロンボク島は夙にHBV高侵淫地域として知られていたが、近年HCVがHIVと共に同島に上陸し、以後急速にスプレッドしつつあり、HIVとHCVの遺伝子解析を試みたところ、HIV/HCV共感染群とHIV單獨感染群の間にHIV遺伝子型の明らかな相違がみられた。この相違が疫學的要因によるのかウイルス學的要因によるのか今後の追求が必要である。
結論
アジアに広く蔓延するHBVとHEVのみならず、今後はHIV/HCV coinfectionにも重點を置く必要がある。
公開日・更新日
公開日
2009-03-16
更新日
-