パネル調査(縦断調査)に関する統合的高度統計分析システムの開発研究

文献情報

文献番号
200802005A
報告書区分
総括
研究課題名
パネル調査(縦断調査)に関する統合的高度統計分析システムの開発研究
課題番号
H20-統計・一般-003
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
金子 隆一(国立社会保障・人口問題研究所 人口動向研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 北村 行伸(一橋大学経済研究所)
  • 釜野 さおり(国立社会保障・人口問題研究所 人口動向研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(統計情報総合研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
3,570,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、厚生労働省が実施しているパネル調査(21世紀縦断調査)に対し、それが目的とする国民生活上の諸事象に関する要因の特定、施策効果の測定、ならびに行政ニーズの把握等に結びつく総合的な統計分析システムを構築し、同省において年々蓄積されるデータの速やかで効率的な分析結果公表に資すると同時に手法開発・分析研究による学術的貢献を目指す。
研究方法
次の5項目について研究を進行中。 (1)データ管理・統計分析システムの開発:複数回の調査票を統合的にデータ管理、集計、統計分析することを支援するシステムを開発。(2)パネル調査に関する情報ベースの開発:世界のパネル調査の情報を日本語検索などによって情報提供するシステムの開発。(3)分析手法の確立・体系化:パネル調査特有の分析手法をレビューし体系化を図る。(4)データ特性の分析・把握:標本脱落等の問題点の分析・精査。(5)事例研究とその体系化:児童の生育状況と、子育て環境や家族形成等について個別テーマを分析し、結果の体系化を図る。
結果と考察
成果は(1)複数調査票マスターデータセット群から分析に必要な変数群を指定・抽出し、分析ソフトウェアへと受け渡すシステムの機能効率化。(2)コンテンツの充実。(3)シミュレーション・システムのモジュール開発。(4)脱落と地域移動の関係、継続回答者や脱落者の特性や出生児の保育者との関係等についての特徴の把握。(5)児童生育状況の問題と子育て環境の状況という二つの柱について、体重・身長変化の年齢による逓減傾向、出生時体重の軽いグループのキャッチアップ傾向、肥満・過体重児でのBMIリバウンド(AR)の欠如傾向などが見いだされ、子育て環境については、世帯収入、親の学歴など社会経済属性が児童の入通院や母親の負担感に現れること、結婚意欲等の意識に性別役割分業意識などのジェンダー意識が作用していること、また祖父母・父母としての中高年者の健康状態に上世代の介護が関与することなどを把握。
結論
高度統計分析を支援し、有用な結果を導くためのインフラとしての総合的システムの開発が進み、分析に必要なデータ特性の把握がなされた。またライフコース視点に沿った個別分析事例の体系化を図ることによって、分析事例の知見がより有効なものとして捉えられることが確認された。今後さらに体系化を進めることで、21世紀縦断調査の3調査をより有機的に連携させることができる。

公開日・更新日

公開日
2010-01-15
更新日
-