ユーザー視点での保健医療の質に関する指標の妥当性と国際比較可能性に関する研究

文献情報

文献番号
200802004A
報告書区分
総括
研究課題名
ユーザー視点での保健医療の質に関する指標の妥当性と国際比較可能性に関する研究
課題番号
H20-統計・一般-002
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
児玉 知子(国立保健医療科学院 人材育成部 国際保健人材室)
研究分担者(所属機関)
  • 種田 憲一郎(国立保健医療科学院 政策科学部 安全科学室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(統計情報総合研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
2,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、近年課題となっている保健医療の質評価について、ユーザー視点を重視し、医療供給側のみでなく医療の受給者である患者・住民の立場としての保健医療の質評価を検討する。「受療行動調査」等を有効に活用し、疾病別のインフォームドコンセントのあり方や外来・入院医療における患者または家族の体験、今後改善されるべき具体的事項など、国際比較においても妥当性のある客観的な指標と情報発信のあり方を検討する。
研究方法
国内外における患者満足度に関連した文献について、研究目的、調査客体や調査方法を含む研究デザインなどの情報についてレビューした。また厚生労働統計「受療行動調査」個票データ及び関連集計データの目的外使用申請を実施し、経年変化の比較可能な項目を検討した。国際比較の妥当性については「受療行動調査」質問票を英訳し、海外専門家との意見交換を実施した。
結果と考察
海外で政府が長期にわたり受療行動を調査している例は少なく、カナダ、デンマーク、ノルウェー、イギリス、米国等が全国規模で患者経験調査を実施していた。カナダ政府によるCanadian Community Health Survey(CCHS)は日本の受療行動調査に近く、患者満足等について14項目を調査していた。WHOの患者応需性(Responsiveness)調査では60カ国が対象とされており、回答率は48-93%とばらつきがみられた。
国内文献では原著論文は2,625件のうち、スクリーニング条件に合致した論文は574、ユーザー視点の満足度調査は2000年から増加傾向にあった。調査客対数は100未満が過半数を占め、1万を超えるものは2つであった。質的研究は8論文、多くは3-5段階リッカート尺度を用いた質問紙表により満足度調査を行っていた。回答者の印象に基づいた主観的満足度のみを問う調査が多数であり、期待度についても調査されていたのは7論文であった。
 受療行動調査において経年変化が比較可能な項目は、全体的な満足度(入院・外来)の他、入院における診察・治療内容、看護師等の介助、プライバシー保護、病室・浴室・トイレ、食事、外来での診察前待ち時間、診察時間等であった。英国では、待ち時間、治療方針決定への参画、医療に関する情報、医師への信頼、等の改善の有無が調査されており、満足度項目が評点化されていた。
結論
患者の立場に立った医療の質評価は、現在WHOやOECD加盟諸国を中心に検討されていることが確認された。国内でも、引き続き受療行動調査等の有効な情報活用が期待される。

公開日・更新日

公開日
2010-01-15
更新日
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