文献情報
文献番号
202016015A
報告書区分
総括
研究課題名
介護及び医療レセプト分析による疾患並びに状態別の最適訪問看護提供パッケージの提案と自治体担当者向けの訪問看護実態可視化ツールの開発
課題番号
20GA1005
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
福井 小紀子( 国立大学法人 東京医科歯科大学 大学院保健衛生学研究科)
研究分担者(所属機関)
- 林田 賢史(産業医科大学病院 医療情報部)
- 五十嵐 歩(東京大学大学院 医学系研究科 健康科学・看護学専攻)
- 藤田 淳子(国立看護大学校 在宅看護学)
- 梅津 千香子(福井県立大学 看護福祉学部)
- 清水 準一(東京医療保健大学 千葉看護学部)
- 土屋 厚子(静岡県健康福祉部)
- 中谷 英仁(静岡県立総合病院 リサーチサポートセンター 統計解析室)
- 佐藤 洋子(静岡県立総合病院リサーチサポートセンター統計解析室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学政策研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
6,100,000円
研究者交替、所属機関変更
研究分担者が研究に従事した期間
・中谷英仁、佐藤洋子、土屋厚子
(令和2年4月1日~令和2年12月15日)
所属機関移動
・研究代表者 福井小紀子
大阪大学(令和2年4月1日~令和2年6月30日)
→東京医科歯科大学(令和2年7月1日以降)
・研究分担者 藤田淳子
順天堂大学(令和2年4月1日~令和3年3月31日)
→ 国立看護大学校(令和3年4月1日以降)
研究報告書(概要版)
研究目的
今年度は, 疾患並びに状態別の最適訪問看護提供パッケージの提案と自治体担当者向けの訪問看護実態可視化ツールの開発することを目指し, 以下の3つの研究を行うことを目的とした。
1)総医療介護サービス利用状況を考慮した最適訪問看護提供パッケージ提案のための評価枠組みの整理, 2)国保データベース(KDB)システムで取り扱う医療・介護情報と訪問看護に係わるレセプト(介護保険詳細情報を含む訪問看護費と医療保険による訪問看護療養費)をを用いた解析用データセットの作成, 3)疾患並びに状態別の特性に応じた介護保険での訪問看護利用の実態を把握すると共に訪問看護利用によるアウトカム効果の分析に向けたデータセットの作成
1)総医療介護サービス利用状況を考慮した最適訪問看護提供パッケージ提案のための評価枠組みの整理, 2)国保データベース(KDB)システムで取り扱う医療・介護情報と訪問看護に係わるレセプト(介護保険詳細情報を含む訪問看護費と医療保険による訪問看護療養費)をを用いた解析用データセットの作成, 3)疾患並びに状態別の特性に応じた介護保険での訪問看護利用の実態を把握すると共に訪問看護利用によるアウトカム効果の分析に向けたデータセットの作成
研究方法
1.最適訪問看護提供パッケージ提案のための評価枠組みの修正
海外主要国で在宅サービス提供時に採用しているアセスメントツールやサービスの質評価に向けた取り組みの概要を用いて検討した訪問看護評価指標の枠組みを基盤に, 文献検討や専門家パネル・自治体へのヒアリングを行い, 介護保険サービス利用者分析に用いる6疾患を検討した。
2.解析用データセットの集積・突合
静岡県の協力を得て, 国保データベース(以下, KDBとする)で取り扱う県下33市町の2012年4月~2018年9月の医療介護レセプトデータの全体像を把握した。レセプト項目の定義に関しては, 厚労省のホームページからの情報収集や, 県の関係機関から情報提供を受け, それぞれ整理を行った。さらに, それぞれ独立している国保・後期・介護保険の基礎データを, 重複処理を施した上で突合し, 今後個人を追跡するために必須となる識別IDを付与した。また, 市町村情報の整理を行い, データ構造を整えた。これらの大まかなクリーニング作業が完了したのち, 被保険者台帳による基礎情報, 市町村, 二次医療圏, 疾患, 訪問看護をはじめとする介護保険サービスのコードリストを作成した。
3. 介護保険訪問看護利用の実態の把握と訪問看護アウトカム評価分析
介護保険による訪問看護利用者特性の選定を修正し, アウトカムとなる医療・介護サービス利用状況やコストを検討しやすくするために, 介護サービスを再分類した。その後, 訪問看護提供実態可視化ツールの仕様書を作成しデータセット構築に向けた準備を行った。
(倫理面への配慮)本研究の実施について, 東京医科歯科大学医学部倫理審査委員会の承認を得た(承認番号 第2021004号)。
海外主要国で在宅サービス提供時に採用しているアセスメントツールやサービスの質評価に向けた取り組みの概要を用いて検討した訪問看護評価指標の枠組みを基盤に, 文献検討や専門家パネル・自治体へのヒアリングを行い, 介護保険サービス利用者分析に用いる6疾患を検討した。
2.解析用データセットの集積・突合
静岡県の協力を得て, 国保データベース(以下, KDBとする)で取り扱う県下33市町の2012年4月~2018年9月の医療介護レセプトデータの全体像を把握した。レセプト項目の定義に関しては, 厚労省のホームページからの情報収集や, 県の関係機関から情報提供を受け, それぞれ整理を行った。さらに, それぞれ独立している国保・後期・介護保険の基礎データを, 重複処理を施した上で突合し, 今後個人を追跡するために必須となる識別IDを付与した。また, 市町村情報の整理を行い, データ構造を整えた。これらの大まかなクリーニング作業が完了したのち, 被保険者台帳による基礎情報, 市町村, 二次医療圏, 疾患, 訪問看護をはじめとする介護保険サービスのコードリストを作成した。
3. 介護保険訪問看護利用の実態の把握と訪問看護アウトカム評価分析
介護保険による訪問看護利用者特性の選定を修正し, アウトカムとなる医療・介護サービス利用状況やコストを検討しやすくするために, 介護サービスを再分類した。その後, 訪問看護提供実態可視化ツールの仕様書を作成しデータセット構築に向けた準備を行った。
(倫理面への配慮)本研究の実施について, 東京医科歯科大学医学部倫理審査委員会の承認を得た(承認番号 第2021004号)。
結果と考察
利用者特性を勘案した最適訪問看護提供パッケージの提案を行うための分析準備として全データの把握を行った。国保, 後期, 介護保険それぞれの台帳の提供を受けたが, 国保から後期に移行した際, あらたな個人番号が付与されていることが明らかとなった。そのため, 個人を追跡するために必須となるID付与し, それぞれ独立している国保・後期医療保険・介護保険の基礎データの重複処理を施した上で突合した。さらに, データ加工を継続しながら, 加工済みデータの随時照合と自治体へのヒアリングを踏まえて, 訪問看護提供実態可視化ツールの作成に向けた準備を行った。まずは介護保険サービス利用者に焦点を当て利用者の疾患並びに状態別の特性に応じた介護保険サービスにおける訪問看護利用の実態を把握および訪問看護利用によるアウトカム効果の分析準備として, 介護保険訪問看護利用に多い6疾患を脳血管疾患, 心不全, 慢性呼吸疾患, 慢性腎疾患, 糖尿病, 認知症を本研究で用いることとした。さらに, アウトカムとなる医療・介護サービス利用状況やコストを検討しやすくするために, 制度上52種類に分けられている介護サービス種類を24種類に再分類し, 訪問看護提供実態可視化ツールの仕様書を作成した。本研究で対象とする介護保険サービス利用者は, 国保・後期加入者665,923人となる見込みである。医療介護サービスの最適提供に繋がる介護保険サービスの提供実態を市町別, 疾患別, 介護度別等で比較検討することで自治体としての効率的なケア提供体制の策定に寄与できると思われる。
結論
加工データの参照, 自治体ヒアリング, 文献検討によって最適訪問看護提供パッケージ提案のための評価枠組みを修正した。また, 解析用データセットの集積・突合, 訪問看護提供実態可視化ツールの作成に向け, 利用者の特性に応じた訪問看護利用の実態を把握および訪問看護利用によるアウトカム効果の分析の準備を進めた。令和3年度は, これら3つの取組をもとに, 最適訪問看護提供パッケージの提案と訪問看護提供実態可視化ツールを作成につなげる。
公開日・更新日
公開日
2021-07-14
更新日
2022-07-13