児童養護におけるGrowing Up in Communityの実現とNPOの役割

文献情報

文献番号
200801046A
報告書区分
総括
研究課題名
児童養護におけるGrowing Up in Communityの実現とNPOの役割
課題番号
H20-政策・若手-016
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
森 傑(北海道大学大学院工学研究科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
1,022,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
今日、児童養護における地域コミュニティにおける支援とNPOによる活動の重要性は既に認識されているにも関わらず、プロジェクトとしてどのように具体化するのかについての検討は必ずしも十分ではない。そこで本研究は、現代的な人権倫理の観点から、NPOによる児童養護の取り組みと生活環境の整備を支援する制度およびシステムが未だほとんど確立されていない我が国において、近い将来確実に必要となる非施設型の児童養護環境を整備する上での具体的な課題を、既に様々な児童養護関連問題を抱える米国でのNPOによる先進的取り組みと我が国の現状との比較分析を通じて、社会・経済・組織・建設等の複合的視点から理論的・事例的に検討することを目的とする。
研究方法
平成20年度は、“家庭・家族”の観点による児童養護関連施設の再評価に重点を置き、戦後以降の児童養護関連施設の目的・目標とその社会的背景および児童福祉法改正等の制度的変遷等についての文献調査を踏まえながら、特徴的な国内事例について、特に建築計画・居住環境整備手法についての調査研究を実施した。
(1)国内の児童養護関連施設の現状把握
戦後以降の児童養護関連施設の目的・目標とその社会的背景および児童福祉法改正等の制度的変遷等についての資料(文献および事例)収集を行い、現状を俯瞰的に把握した。
(2)国内最新施設のケーススタディ
(1)によって具体的情報が得られたいくつかの特徴的な事例の視察調査を通じて、特に“家庭・家族”の観点から、近年の小舎化やグループホーム化について、現在の施設が持つ課題を明らかにした。具体的には、「雀幸園」「さんあい」「神愛ホーム」「同仁学院」の4つの児童養護施設の事例分析を行った。
結果と考察
高齢者福祉施設と児童養護施設に関する一連の流れ比較してみると、我が国では、制度が先行して施設の運営や管理方法・形態が変化してきていることがわかった。このことはいわば制度が変わらないと施設状況も変わらないことを意味しており、現代の多種多様な問題の変化に対応できずに、支援策や受け皿の不足、不十分な施設環境という問題を招いたものと考えられる。
結論
本研究の成果を踏まえ、日本の児童養護関連施設のもつ課題を次の3つに整理した。
イ)制度による標準化が原則であること
ロ)小規模化・地域化の動きにみられる家庭代替機能としての役割
ハ)空間特性を生かした援助システムの構築

公開日・更新日

公開日
2009-04-02
更新日
-