新しいチーム医療体制確立のためのメディカルスタッフの現状と連携に関する包括的調査研究

文献情報

文献番号
200801045A
報告書区分
総括
研究課題名
新しいチーム医療体制確立のためのメディカルスタッフの現状と連携に関する包括的調査研究
課題番号
H20-政策・一般-015
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
田林 晄一(東北大学 大学院医学系研究科 心臓血管外科)
研究分担者(所属機関)
  • 兼松 隆之(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科 消化器外科)
  • 富永 隆治(九州大学 大学院医学研究院 心臓血管外科学)
  • 前原 正明(防衛医科大学校 心臓血管外科学)
  • 伊藤 雅治(全国社会保険協会連合会)
  • 遠藤 久夫(学習院大学 医療経済学)
  • 西田 博(東京女子医科大学 心臓血管外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
4,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療職種間の業務の乗り入れ、特に医師と看護師、および臨床工学技士間の日本型の協働関係を構築するための、対策を提言する事である。
研究方法
平成20年度は以下の点について行なった。
a.米国のチーム医療の現状調査。
b.日本看護協会、日本臨床工学技士会、日本麻酔学会、厚生労働省、日本外科学会との意見交換。
c.日本体外循環技術医学会会員を対象にしたアンケート調査。
d.「外科治療において看護師の業務範囲を拡大させる」ことに関する一般国民のアンケート調査。
e.「周術期管理における看護師の業務拡大に関する意識調査」の看護師を対象としたアンケート調査。
f.「周術期看護師あるいは上級臨床技術士」制度の導入に関する、日本外科学会代議員を対象にしたアンケート調査。
結果と考察
1.米国の医療の分業化について。
代表的な職種であるNP(nurse practioner)およびPA(physician assistant)の教育課程、仕事の内容、NPおよびPAに対する満足度、医師および看護師の仕事との棲み分け、問題点について視察を行ない、NPおよびPAという仕事に対し誇りを持って従事している感じが得られた。
2.日本体外循環技術医学会会員に対するアンケート調査。
裁量権の拡大、修士課程等の資格と教育を希望し、教育体制としては働きながら学べる制度で、期間としては2年とする人が多かった。
3.一般国民に対するアンケート調査。
特別に教育訓練を受けた看護師が手術中の助手、切開した皮膚や筋肉の縫合、手術中の麻酔管理に対して国民が賛同する傾向を示した。
4.看護師に対するアンケート調査。
アンケート結果では看護師の業務範囲が拡大することについては反対意見が多く、今後さらに意見交換が重要と考えられた。

医師不足、病院の生産性向上、および患者により安心・安全で質の高い医療を提供するには医療職種間の業務の乗り入れは重要とされている。
アンケート結果で特に驚いたのは体外循環技術医学会会員および一般国民の過半数以上の方が医療の分業化に対して賛同の意を示された事である。
現在、医療社会が抱えている大きな問題を解決する一方策として医療の分業化が成り得る可能性示された。
結論
米国のNPとPA制度と現状の視察、および医療関係者へのアンケート調査により、日本型NPとPAの構築における方向性と問題点が明らかとなった。

公開日・更新日

公開日
2009-04-16
更新日
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