実証研究に基づく訪問看護・介護に関連する事故および感染症予防のガイドライン策定のための研究

文献情報

文献番号
202016010A
報告書区分
総括
研究課題名
実証研究に基づく訪問看護・介護に関連する事故および感染症予防のガイドライン策定のための研究
課題番号
19GA1006
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
柏木 聖代(国立大学法人東京医科歯科大学 大学院保健衛生学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 緒方 泰子(東京医科歯科大学 大学院保健衛生学研究科)
  • 橋本 廸生(公益財団法人日本医療機能評価機構)
  • 齋藤 良一(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 浜野 淳(筑波大学 医学医療系)
  • 大河原 知嘉子(東京医科歯科大学大学院保健衛生学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学政策研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
5,785,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
2年目である2021年度は、1)前年度に実施した訪問看護事業所を対象とした全国調査データを用い、訪問看護事業所における有害事象(Adverse event、以下AE)の発生状況ならびに関連要因の検討、訪問看護事業所における感染症予防管理対策の実施状況について検討、事故やヒヤリ・ハット事例の定性分析に基づく訪問看護に関連する事故等の実態把握、2)訪問介護事業所を対象とした全国調査による訪問介護に関連した事故等再発予防策の実態把握、3)国内外の有害事象に関する用語の定義の把握を目的とした。
研究方法
1)訪問看護事業所における有害事象(Adverse event、以下AE)の発生状況および関連要因の検討: 2020年3月に実施した全国の訪問看護事業所を対象とした郵送法による自記式質問紙調査(横断調査)データを使用した。AEの発生の関連要因を検証するためZero-inflated native binomial regression modelを用いた単変量解析および多変量解析を実施した。2)訪問看護事業所における感染予防・管理(infection prevention and control、以下IPC)対策の実施状況:2020年3月に実施した全国の訪問看護事業所を対象とした郵送法による自記式質問紙調査(横断調査)データを使用し、IPC実施状況を記述するとともに、四分位で区分した事業所規模別にカイ二乗検定にて比較した。また、感染症の発生有無とIPC実施状況の関連を検討するため、ロジスティック回帰分析を実施した。3)事故やヒヤリ・ハット事例の定性分析に基づく訪問看護に関連する事故等の実態把握:全国調査において収集した訪問看護サービス提供中の事象について報告していた事故事例107件、ヒヤリ・ハット事例141件を分析対象とし、テキストマイニングの手法を用いて分析した。4)国内外の有害事象に関する用語の定義の検討:海外における有害事象に関連する用語として”patient safety”、”adverse event”、”error”、”hazard”、”incident”、”near-miss”を、WHO(World Health Organization)、AHRQ(Agency for Healthcare Research and Quality)等の専門機関等でどのように定義されているか検索した。5)訪問介護に関連する事故・感染症の実態および再発予防策の全国調査:2021年1月に「介護サービス情報公表システム」に事業所の情報を掲載していた全国の訪問介護事業所を都道府県別に層化無作為抽出した2,000訪問介護事業所の管理者を対象に訪問介護に関連する事故・感染症の実態および再発予防策に関するWeb調査を実施した。
結果と考察
訪問看護事業所を対象とした全国調査の結果、3か月間のAEの発生は、非常に稀であり、かつ事業所間によるばらつきが大きいことが分かった。AE発生の関連要因としては、患者の要介護度が関連していることが示唆された。さらに、訪問看護事業所における感染予防・管理(infection prevention and control、以下IPC)対策の実施状況を明らかにし、管理体制やスタンダードプリコーションの遵守における課題を示した。その結果、よりIPC対策が進んでいる事業所ほど感染症の発生がみられていたが、感染症を検出しやすい仕組みづくりを行っていることが影響していると考えられる。訪問看護に関連する事故やヒヤリ・ハット報告事例の分析により、事故やヒヤリ・ハットの内容や要因、対処方法の実態が明らかになった。また、国内外におけるAEに関連する用語の定義が明らかになった。日本で使用されている用語との範囲や内容に違いがみられ、日本において、これらの用語を使用する際には留意が必要である。最後に全国調査により、訪問介護に関連する事故等(感染症を含む)の発生状況ならびに安全管理体制の実態が明らかになった。
結論
訪問看護事業所を対象とした全国調査、事故等事例を用い、訪問看護事業所におけるAEの発生状況ならびに関連要因、訪問看護事業所における感染症予防管理対策の実施状況が明らかになった。国内外のAEに関する用語の定義を把握した。訪問介護事業所を対象とした全国調査による訪問介護に関連した事故等再発予防策の実態が明らかになった。

公開日・更新日

公開日
2021-06-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

総括研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2021-06-02
更新日
2021-10-08

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202016010Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
7,520,000円
(2)補助金確定額
7,520,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,621,023円
人件費・謝金 787,828円
旅費 0円
その他 3,376,149円
間接経費 1,735,000円
合計 7,520,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2021-06-02
更新日
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