医療ナショナルデータベースに関する諸外国の整備状況および日本におけるデータベースのあり方研究

文献情報

文献番号
200801036A
報告書区分
総括
研究課題名
医療ナショナルデータベースに関する諸外国の整備状況および日本におけるデータベースのあり方研究
課題番号
H20-政策・一般-006
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
財団法人 医療経済研究 社会保険福祉協会((財)医療経済研究・社会保険福祉協会)
研究分担者(所属機関)
  • 本田 達郎((財)医療経済研究・社会保険福祉協会 )
  • 井伊 雅子(一橋大学大学院 経済学研究科)
  • 奥  真也(東京大学大学院 医学系研究科)
  • 鈴木 亘(学習院大学経済学部 経済学科)
  • 福田 敬((財)医療経済研究・社会保険福祉協会 )
  • 満武 巨裕((財)医療経済研究・社会保険福祉協会 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
4,827,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、諸外国のナショナルデータベースの構築、利活用、導入効果の現状について、文献および有識者へのヒアリング等により比較調査を行い、日本のナショナルデータベースの今後の円滑な運用と発展の基礎資料を提供することを目的とする。
研究方法
調査対象国は、アメリカ、韓国、ドイツ、フランス、イギリス、台湾の6カ国で、調査内容は、(1)データベース構築に関する項目として開発目的、データベースID、データ項目、開発費用・期間・体制等、(2)利活用および導入効果に関する項目として、蓄積されたデータの二次利用の可否、利用条件、導入による経済効果等、(3)具体的な利活用事例として、医療政策、医療費適正化、支払審査の効率化等の共通項目を設定し、結果の一覧表を作成して整理・評価した。また、ナショナルデータベースには、学術的(疫学的)利用も想定されているために、二次利用についての学術利用の観点からデータ提供方法に関しても調査する。
結果と考察
調査結果から、レセプトに基づいたデータベースを構築しており、且つ研究者へのデータ提供を行っている国は、アメリカ、韓国、台湾の3ヶ国であった。日本では、「医療サービスの質の向上等のためのレセプト情報等の活用に関する検討会」では体制、構築のありかたの検討が行われている。しかし、構築したデータベースをどのように活用すべきかに関する議論に関しては、いまだ具体的とはいえない。そのため、今後のデータベースの運用・活用にあたって、上記3ヶ国の特にデータ提供の機能は参考になると考えられる。
データ提供としては、3ヶ国の中ではデータ提供を1980年代から行ってきたアメリカの取り組み、台湾の取り組みが参考になると考えられた。アメリカは、データ提供支援サービスセンターの設置により研究利用をサポートしている。台湾は、研究内容によって提供するサービスを、1)集計データの提供、2) 研究者の要求に基づいたデータセット作成・提供サービス、3)匿名化したサンプリングデータの提供の3段階に分けている。韓国は、台湾の1)および2)は現在でも提供しているが、3)を新たに提供しようとしている。
結論
我が国も上記3ヶ国のように、ナショナルデータベースを利用してデータを提供することができれば、エビデンスに基づいた医療政策・制度の立案が期待でき、制度の導入効果の検証、疫学、医療経済領域の研究の発展も期待できると考える。

公開日・更新日

公開日
2009-06-09
更新日
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