文献情報
文献番号
202015003A
報告書区分
総括
研究課題名
慢性疼痛患者に対する簡便かつ多面的な疼痛感作評価法の開発
課題番号
19FG1002
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
池内 昌彦(高知大学医学部 整形外科)
研究分担者(所属機関)
- 平田 仁(名古屋大学 医学系研究科 手の外科学)
- 寳珠山 稔(名古屋大学大学院医学系研究科 総合保健学専攻)
- 岩月 克之(名古屋大学 医学部)
- 松原 貴子(神戸学院大学 総合リハビリテーション学部)
- 泉 仁(高知大学 医学部 附属病院 リハビリテーション部)
- 牛田 享宏(愛知医科大学医学部 学際的痛みセンター/運動療育センター(兼任) )
- 福井 聖(滋賀医科大学・医学部)
- 西原 真理(愛知医科大学 医学部 学際的痛みセンター)
- 古谷 博和(高知大学医学部・脳神経内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 慢性の痛み政策研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
慢性の痛みは身体的な要因と精神心理や社会的な要因が相まって病態が発症・維持されており、集学的に多角的な分析と治療を行うことが必要なことが多い。中でも神経系や筋・骨格系の要因の評価と治療対応は、その障害が痛みやそれに伴うADLの低下などに直結する。そこで我々は厚生労働研究班として行ってきた評価法の開発研究と並行して、2年前から神経・理学所見のとり方から神経伝導検査、画像診断まで痛み外来の実臨床で必要とされる身体機能の評価法を他の痛みセンターグループに加えて神経内科医、臨床検査技師で連携し検討を進めてきている。
痛み外来で患者の治療方針を決めるにあたっては、脳神経や運動器の基本診察を基に痛みを分類(侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、末梢や中枢の神経感作による痛み)し、その程度などを分析したうえで薬物その他の治療法選択を行う必要がある。特に痛みセンターを受診する難治性の慢性疼痛患者では神経機能低下とともに神経障害性疼痛や末梢・中枢神経感作に伴う筋の痛覚過敏などが様々な機能障害の要因になっていることからその評価は必須となる。また、慢性疼痛では痛みの改善よりもADL改善が最終ゴールと考えることから痛みに伴う2次的な筋骨格系の廃用や心肺機能低下なども考慮したうえでの運動機能を含めた神経・筋の機能評価に基づいた治療方針決定が重要となる。
そこで本研究では脳神経診察や運動器診察、精神医学的診察に精通した医療者(脳神経内科医、整形外科医、精神科医、理学療法士および痛み専門医や麻酔科医)が共働して通常診療で用いることができる評価機器の開発と普及を第一の目的とする。また、新しいテクノロジーを慢性疼痛の評価に応用し、慢性疼痛患者を多面的にかつ客観的に評価する新規評価プロトコルを作成することを試みる。
痛み外来で患者の治療方針を決めるにあたっては、脳神経や運動器の基本診察を基に痛みを分類(侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、末梢や中枢の神経感作による痛み)し、その程度などを分析したうえで薬物その他の治療法選択を行う必要がある。特に痛みセンターを受診する難治性の慢性疼痛患者では神経機能低下とともに神経障害性疼痛や末梢・中枢神経感作に伴う筋の痛覚過敏などが様々な機能障害の要因になっていることからその評価は必須となる。また、慢性疼痛では痛みの改善よりもADL改善が最終ゴールと考えることから痛みに伴う2次的な筋骨格系の廃用や心肺機能低下なども考慮したうえでの運動機能を含めた神経・筋の機能評価に基づいた治療方針決定が重要となる。
そこで本研究では脳神経診察や運動器診察、精神医学的診察に精通した医療者(脳神経内科医、整形外科医、精神科医、理学療法士および痛み専門医や麻酔科医)が共働して通常診療で用いることができる評価機器の開発と普及を第一の目的とする。また、新しいテクノロジーを慢性疼痛の評価に応用し、慢性疼痛患者を多面的にかつ客観的に評価する新規評価プロトコルを作成することを試みる。
研究方法
本研究は以下の7つのフェーズで構成される。フェーズ①は令和元年度に終了。
フェーズ②は令和2年度に概ね終了した。
令和3年度は、引き続きフェーズ②で不足となった高齢層のデータ測定と、フェーズ③~⑦までを進めていく。
フェーズ③は、神経伝導・誘発電位検査プロトコルを作成しデータ分析、フェーズ④の行動・心理評価と感作の関係性についても調査していきながら、これら評価法の妥当性については、名古屋大学がAMED研究で開発した脳機能解析に関する研究成果を用いて検証していく。また、本年度は、HPや冊子等での広報活動、WEBを使用した会議や講習会など積極的に行っていく。
・フェーズ① 簡易式QST(pQST)の妥当性評価
健常者20例 (高知大学で20例)
・フェーズ② pQSTの標準値の確立
健常者200例(高知大学、愛知医科大学、神戸学院大学、名古屋大学、滋賀医科大学で各40例)
・フェーズ③Intra-epidermal electrical stimulation (IES)の手技と標準値の確立
健常者20例(愛知医科大学および名古屋大学で20例)
慢性疼痛患者30例(愛知医科大学および名古屋大学で30例)
・フェーズ④ Ecological Momentary Assessment(EMA)を使った疼痛感作の多面的客観的評価法の確立
慢性疼痛患者30例(滋賀医科大学で30例)
・フェーズ⑤ 慢性疼痛患者にみられる疼痛感作に関する疫学調査
慢性疼痛患者300例(高知大学、愛知医科大学、神戸学院大学、名古屋大学、滋賀医科大学で各60例)
・フェーズ⑥ 脳機能解析によるpQST /IESの妥当性検証
慢性疼痛患者 30例 (名古屋大学で30例)
・フェーズ⑦ 評価法の普及 (対象者は要しない)
フェーズ②は令和2年度に概ね終了した。
令和3年度は、引き続きフェーズ②で不足となった高齢層のデータ測定と、フェーズ③~⑦までを進めていく。
フェーズ③は、神経伝導・誘発電位検査プロトコルを作成しデータ分析、フェーズ④の行動・心理評価と感作の関係性についても調査していきながら、これら評価法の妥当性については、名古屋大学がAMED研究で開発した脳機能解析に関する研究成果を用いて検証していく。また、本年度は、HPや冊子等での広報活動、WEBを使用した会議や講習会など積極的に行っていく。
・フェーズ① 簡易式QST(pQST)の妥当性評価
健常者20例 (高知大学で20例)
・フェーズ② pQSTの標準値の確立
健常者200例(高知大学、愛知医科大学、神戸学院大学、名古屋大学、滋賀医科大学で各40例)
・フェーズ③Intra-epidermal electrical stimulation (IES)の手技と標準値の確立
健常者20例(愛知医科大学および名古屋大学で20例)
慢性疼痛患者30例(愛知医科大学および名古屋大学で30例)
・フェーズ④ Ecological Momentary Assessment(EMA)を使った疼痛感作の多面的客観的評価法の確立
慢性疼痛患者30例(滋賀医科大学で30例)
・フェーズ⑤ 慢性疼痛患者にみられる疼痛感作に関する疫学調査
慢性疼痛患者300例(高知大学、愛知医科大学、神戸学院大学、名古屋大学、滋賀医科大学で各60例)
・フェーズ⑥ 脳機能解析によるpQST /IESの妥当性検証
慢性疼痛患者 30例 (名古屋大学で30例)
・フェーズ⑦ 評価法の普及 (対象者は要しない)
結果と考察
令和2年度は、フェーズ②健常者239例に対し、pQSTの標準値設定を目的にPPT、TS、CPMの測定を行った。PPTは若年層で低い傾向を認め、性差はなかった。TSは連続刺激によって20mm程度のVAS増加がみられ、年齢、性別による影響は明らかでなかった。CPMは条件刺激によって約20〜25%のPPT増加がみられ、中高年層男性のPPT増加率が低い傾向を認めた。
結論
フェーズ②では、PPT、TS、CPMとも年齢差・性差はなさそうな印象であった。
課題となった不足の高齢層のデータを含めた、統計解析を行って標準値を設定し、それをもとにフェーズ⑤(慢性疼痛患者における疼痛感作の疫学調査)を進めていく。
課題となった不足の高齢層のデータを含めた、統計解析を行って標準値を設定し、それをもとにフェーズ⑤(慢性疼痛患者における疼痛感作の疫学調査)を進めていく。
公開日・更新日
公開日
2021-07-20
更新日
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