脳死下、心停止後の臓器・組織提供における効率的な連携体制の構築に資する研究

文献情報

文献番号
202014005A
報告書区分
総括
研究課題名
脳死下、心停止後の臓器・組織提供における効率的な連携体制の構築に資する研究
課題番号
20FF1001
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
横田 裕行(日本体育大学 大学院 保健医療学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 横堀 將司(日本医科大学 大学院医学研究科 救急医学分野)
  • 荒木 尚(埼玉医科大学総合医療センター 高度救命救急センター)
  • 織田 順(東京医科大学 救急・災害医学分野)
  • 久志本 成樹(東北大学大学院 医学系研究科 外科病態学講座 救急医学分野)
  • 朝居 朋子(藤田医科大学 保健衛生学部 看護学科)
  • 三宅 康史(帝京大学 医学部 救急医学講座)
  • 田中 秀治(国士舘大学 大学院 救急システム研究科)
  • 名取 良弘(飯塚病院 脳神経外科)
  • 山勢 博彰(山口大学 大学院医学系研究科)
  • 渥美 生弘(社会福祉法人聖隷福祉事業団総合病院聖隷浜松病院救命救急センター)
  • 加藤 庸子(藤田医科大学ばんたね病院 脳神経外科)
  • 江川 裕人(東京女子医科大学 消化器外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 移植医療基盤整備研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本邦における臓器提供数は脳死下での提供が徐々に増加しているものの、未だ他の先進諸国と比較すると極端に少ない。その理由の一つとして、救急や脳外科施設で脳死とされうる状態になった患者家族に対して臓器提供に関する情報提供(いわゆる選択肢提示)が十分になされていないことが指摘されている。したがって、脳死下臓器提供数を増加させるには、臓器提供の対象となる患者家族に対していわゆる選択肢提示の機会を増やして行かなければならない。本研究の目的は臓器提供する患者家族や提供施設の課題を踏まえ、それぞれを支援する視点と教育現場での教育をどのように展開すべきかを検討し、それらの解決策を提言することとした。
研究方法
 研究代表者である横田は研究分担者と協議の上、研究計画、スケジュール作成、研究の進行管理を行った。
①円滑な臓器提供に関する研究(横田)
 研究代表者として研究分担者と協議の上、研究の総括を行う。また、他班の研究協力者として役割を担うことも想定する。
②脳死判定の教育ツール開発に関する研究(横堀)
 脳死判定の際に3Dカメラを用いて撮影し脳死判定のVR教育ツールを作成する。
③ 小児臓器提供の諸問題に関する研究(荒木)
 小児特有の家族心理を考慮し、かつ虐待有無の確認手続き等を踏まえ、臓器提供への情報提供(いわゆる選択肢提示)の手法や普及啓発活動について検討する。
④医療機関における連携体制に関する研究(織田)
 臓器提供の経験が豊富な施設を中心に周囲の医療機関が連携体制を構築するための課題を検討し、最終的には実践する。
⑤地域の中核機関と周囲の医療機関との連携のあり方に関する研究(久志本)
 地域の中核医療機関と臓器提供に関わる情報の共有と相互支援について検討する。
⑥社会への啓発活動と社会への教育のあり方関する研究(朝居)
 新型コロナ感染症になかでコーディネーターの教育研修がどのような状況で課題があるかを検討する。また、学校教育の現状や課題も検討する。
⑦重症患者対応メディエーターのあり方関する研究(三宅)
 重症患者の家族に対して精神的支援の役割を担う重症患者対応メディエーター(仮称)を育成するための教育体制の検討を行う。
⑧組織提供に際しての選択肢提示に関する諸問題に関する研究(田中)
 組織提供、特に眼球角膜提供時で既に行われているroutine referral systemを他の組織や臓器提供に導入する際の課題について検討する。また、新型コロナウイルス感染拡大の状況も踏また教育ツールの検討も行った。
⑨選択肢提示に関する医療スタッフのあり方に関する研究(名取)
 重症患者の家族への介入がどれほど患者家族の満足が得られているかの検討を行った。
⑩看護師の視点からみた選択肢提示のあり方に関する研究(山勢)
 Webでのアンケートから看護師によるケア内容を検証し、その課題を明らかにした。
⑪選択肢提示における家族対応のあり方に関する研究(渥美)
 臓器提供症例発生時の支援依頼で施設間の連携を行い、脳損傷によりGCS3となった症例のレジストリを開始した。
⑫死体腎移植における選択肢提示の諸問題に関する研究(加藤)
臓器提供可能施設における臓器提供への選択肢提示と家族希望を踏まえた終末期対応の現状を講演会の形で検証し、解決策を検討した。
⑬移植医療の推進に関する研究(江川)
移植医の視点から提供施設と密接な連携を構築し、社会への啓発活動も視野から検討した。
結果と考察
 3つのポイントを中心に研究を行った。すなわち、一つは家族対応である。重症患者を抱える家族への精神的支援の役割を担う重症患者対応メディエーター(仮称)の育成や患者家族へのいわゆる選択肢提示の方法やタイミングの考察である。二つ目として臓器提供の経験が一定以上の施設を中心として、周囲の五類型医療機関の連携から、臓器提供に関わる様々な支援体制を構築で、いわゆる選択肢提示、法的脳死判定時には人的支援である。さらに、上記の取り組みの中で臓器版routine referral systemの構築を目指している。三つ目は普及啓発活動の中でも最も効果的、重要であると考える学校教育のあり方について検討を行い、実際の学校教育の中で脳死や臓器提供に関する講義を授業の一環として行うことである。このような視点から本邦の移植医療を推進するための検討を行った。
結論
 当研究班の3つのポイント①重症患者対応メディエーター(仮称)の育成、②臓器提供のための医療施設同士の連携体制構築、③社会への啓発活動のあり方について検討について、当初は新型コロナウイルス感染症拡大の影響から研究の進捗が影響されたが、予定を変更しつつも当初の目的を達成し、次年度への研究としてさらに継続してゆく予定である。

公開日・更新日

公開日
2021-06-14
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
その他
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2021-06-14
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202014005Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
10,400,000円
(2)補助金確定額
9,633,000円
差引額 [(1)-(2)]
767,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,913,665円
人件費・謝金 1,229,198円
旅費 198,370円
その他 1,892,363円
間接経費 2,400,000円
合計 9,633,596円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2021-12-14
更新日
-