医療ネグレクトにおける医療・福祉・司法が連携した対応のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
200801033A
報告書区分
総括
研究課題名
医療ネグレクトにおける医療・福祉・司法が連携した対応のあり方に関する研究
課題番号
H20-政策・一般-003
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
宮本 信也(筑波大学大学院 人間総合科学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 佐藤 拓代(東大阪市保健所)
  • 野見山 哲生(信州大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
7,785,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、虐待防止対策として新たな施策を講じる必要のある医療ネグレクトへの適切な対応を促進するために、①医療ネグレクトへの対応手引き、及び②家庭訪問事業推進のための支援プログラムを開発することである。
研究方法
研究目的に応じて、文献研究、質問紙による調査研究、エキスパート・コンセンサンスによる検討などの方法を適宜用いた。
結果と考察
医療ネグレクトに関する研究では、全国の小児科医療機関や児童相談所の35?40%の期間で最近2年間弱に医療ネグレクトを経験しており、決して少なくない実態が明らかとなった。どちらの専門機関も、医療ネグレクトを疾病の放置や治療の拒否だけでなく、ヘルスケア全体の問題と広くとらえている状況が明らかとなり、医療ネグレクトの定義、タイプ分けに関する議論が必要と思われた。さらに、わが国の現行の法制度における医療ネグレクトへの対応の可能性と問題点を整理し、医療行為の拒否以外に養育状況に問題がない場合における親権喪失宣告の必要性について検討が必要と思われた。
家庭訪問事業に関する研究では、自治体により活動状況に違いが見られたため、先進的取り組みを行っている自治体の状況を把握し、両事業のアセスメント指標、支援内容、支援評価指標などの検討を行い、その結果を基に、子育ての背景の変化、子育て支援に必要な視点、両事業の意義と連携、両事業の進め方、研修プログラムなどからなる「乳児家庭全戸訪問事業及び養育支援家庭訪問事業推進マニュアル」を作成し、全国の自治体に配布を行った。また、米国の家庭支援プログラムを参考に、要支援家庭スクリーニング用の15項目からなるチェックリストと訪問事業スタッフの研修のための養成プログラムを作成した。
結論
医療ネグレクトとしてとらえられる範囲は、明らかな虐待行為から生命倫理的問題と考えられるものまで幅広く、医療ネグレクトへの対応手引きにおいては、医療ネグレクトのタイプ分けとそれに応じた指針を示すことが現実的方向と思われた。家庭訪問事業に関しては、その活動レベルには自治体により違いがあり、推進のためのマニュアルと訪問スタッフ養成のための研修プログラム開発が必要と思われ、試案を作成できた。今後、作成したマニュアル・プログラムの妥当性を検証する必要があると思われた。

公開日・更新日

公開日
2009-04-07
更新日
-