文献情報
文献番号
202014002A
報告書区分
総括
研究課題名
効率的な臍帯血確保とエビデンスに基づいた臍帯血ユニット選択基準の再評価による臍帯血資源の有効利用法の確立
課題番号
H30-難治等(免)-一般-102
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
高橋 聡(東京大学 医科学研究所 血液腫瘍内科)
研究分担者(所属機関)
- 高梨 美乃子(日本赤十字社血液事業本部)
- 森 毅彦(慶応義塾大学医学部血液内科)
- 熱田 由子(日本造血細胞移植データセンター)
- 鍬塚 八千代(名古屋大学医学部附属病院 先端医療・臨床研究支援センター)
- 山口 類(愛知県がんセンター研究所 システム解析学分野)
- 矢部 普正(東海大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 移植医療基盤整備研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
5,167,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
臍帯血バンクに保存されている臍帯血ユニット数を増すために、供給体制の強化につながる具体策を考案し、実行する。また、限られた臍帯血ユニットを効率的に利用するために、移植成績に基づいた選択基準について検討を行う。これらによって効率的な臍帯血確保とエビデンスに基づいた臍帯血ユニット選択基準の再評価による臍帯血資源の有効利用法の確立を目指す。
研究方法
確保すべき臍帯血ユニットの目標保存数算定の参考とすべく、日本骨髄バンクからの情報を用いて、その時点で臍帯血バンクに保存されている臍帯血で移植できる移植待機の患者割合を計算する。また、効率的な手技を見出すため臍帯血採取手技についてのアンケート調査を行う。本研究で作成した臍帯血提供への啓発ビデオを配布した採取医療機関における活用状態及び効果を調査する。
臍帯血ユニットの効率的な利用法については、登録テータについて体重当たりの有核細胞数とCD34陽性細胞数で群を分け、好中球、血小板の累積生着率と合併症頻度を解析する。さらには、生着に関する予測に有用な因子群を抽出するために機械学習モデルによる解析を進める。
臍帯血ユニットの効率的な利用法については、登録テータについて体重当たりの有核細胞数とCD34陽性細胞数で群を分け、好中球、血小板の累積生着率と合併症頻度を解析する。さらには、生着に関する予測に有用な因子群を抽出するために機械学習モデルによる解析を進める。
結果と考察
わが国における必要臍帯血ユニット数の算定を行った結果、最低1ユニット以上の有核細胞2x107/kg以上、かつCD34陽性細胞数0.5、1x105/kg以上の臍帯血が見つかる頻度は93%, 62%であった。CD34陽性細胞数のみを条件とすると0.5、0.75、1x105/kg以上では100%、99%、90%であった。また、至適採取法を確立・徹底するためのアンケート調査を集計し、凝集塊形成の回避を指標として統計解析を行った結果、多変量解析で有意な因子は「複数回穿刺の回避」であった。この内容を各採取施設へのフィードバックすることによって、現時点では7割以上にのぼる採取した臍帯血の廃棄率の減少を目指す。啓発ビデオ使用後の臍帯血提供同意率を調査したが、映像を活用できる環境のない施設が多いことが判明した。ビデオ使用後の妊婦さんの出産時期は2020年春以降と考えられ再調査が必要と考えられた。
また、体重当たりの有核細胞数と体重当たりのCD34陽性細胞数により分類した解析結果からは、0.75 x 105 CD34陽性細胞数/kg以上では生着率はプラトーに達し、これより多くのCD34陽性細胞数の輸注による追加効果は明らかでないことが判明した。一方で、患者体重にかかわりなくCD34陽性細胞数として40 x 105未満の臍帯血ユニットを受けた移植群の生着率は対照群に較べて有意に低下していた。CD34陽性細胞数として40 x 105以上の臍帯血ユニットは患者体重に関わらず、生着を期待できる可能性があることが示されたことから、これまで患者体重当たりの移植細胞数を中心に考えらえれてきた適正な移植細胞数について、新たな視点で考える契機となり得ることが明らかになった。さらには、機会学習モデルを用いた解析法によって新しい観点から臍帯血ユニットの選択基準の策定を目指した。
また、体重当たりの有核細胞数と体重当たりのCD34陽性細胞数により分類した解析結果からは、0.75 x 105 CD34陽性細胞数/kg以上では生着率はプラトーに達し、これより多くのCD34陽性細胞数の輸注による追加効果は明らかでないことが判明した。一方で、患者体重にかかわりなくCD34陽性細胞数として40 x 105未満の臍帯血ユニットを受けた移植群の生着率は対照群に較べて有意に低下していた。CD34陽性細胞数として40 x 105以上の臍帯血ユニットは患者体重に関わらず、生着を期待できる可能性があることが示されたことから、これまで患者体重当たりの移植細胞数を中心に考えらえれてきた適正な移植細胞数について、新たな視点で考える契機となり得ることが明らかになった。さらには、機会学習モデルを用いた解析法によって新しい観点から臍帯血ユニットの選択基準の策定を目指した。
結論
本研究課題の遂行によって、臍帯血バンクに保存されている臍帯血ユニット数の増加を目指して供給体制の強化につながる具体策を考案し、さらには限られた臍帯血ユニットを効率的に利用するために移植成績に基づいた選択基準の検討を行うことによって、効率的な臍帯血確保とエビデンスに基づいた臍帯血ユニット選択基準の再評価による臍帯血資源の有効利用法の確立を目指した。
公開日・更新日
公開日
2021-07-26
更新日
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