文献情報
文献番号
202013007A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性・希少免疫疾患におけるアンメットニーズの把握とその解決に向けた研究
課題番号
20FE1001
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
宮前 多佳子(東京女子医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 森 雅亮(国立大学法人東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
- 山路 健(順天堂大学 医学部 膠原病内科)
- 吉藤 元(京都大学大学院医学研究科 内科学講座臨床免疫学)
- 西小森 隆太(久留米大学 医学部小児科)
- 井澤 和司(京都大学大学院医学研究科発達小児科学講座)
- 岸田 大(信州大学 医学部 脳神経内科、リウマチ・膠原病内科)
- 井上 永介(昭和大学統括研究推進センター)
- 平野 亨(大阪大学 大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫・アレルギー疾患政策研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
5,385,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
難治性・希少免疫疾患の患者代表を含めた各医療利害関係者におけるアンメットニーズ(UMN)の全容を明らかにし、患者集団のUMNをICT(Information and Communication Technology)を活用して国際標準指標を集積、「見える化」し、地域格差を含めた把握とその解決に向け疫学研究、普及啓発、小児成人期移行医療の推進に反映させることができる方法論を確立することを目標とする。
研究方法
対象とする難治性・希少免疫疾患を、1)自己免疫疾患(成人移行若年性特発性関節炎、若年性特発性関節炎(JIA)・関節リウマチ(RA)を含む難治性自己免疫疾患)、2)血管炎症候群(高安動脈炎(TAK))、3).自己炎症疾患に分類し分担班を設置した。関連する患者会として、1)膠原病友の会、あすなろ会(若年性特発性関節炎患者会)、2)あけぼの会(高安動脈炎患者会)、3)クリオピリン関連周期熱症候群(CAPS)患者・家族の会、自己炎症患者友の会が分担班に所属し参画した。今年度は各疾患班が共同で、図書館検索によるUMN探索、想定されるUMNの検証を目的とした各対象疾患の診療実態に関する大規模データベース(DB)解析、各医療利害関係者のうち、製薬会社・保険者のUMNの把握、 本研究の患者UMN評価に使用可能かつ、将来的に活用可能な客観的評価指標の探索を行った。
結果と考察
1. 図書館検索による自己免疫疾患・血管炎症候群・自己炎症疾患のアンメットニーズ探索研究
代表的な自己免疫疾患・血管炎症候群・自己炎症性疾患においてUMNを把握すること、ならびにどのような調査が行われているのかを把握する目的で文献検索を行った。全文レビューは次年度予定であるが、現時点でそれぞれの疾患毎のUMNに関する情報をある程度収集できた。疾患やそれぞれの報告により調査内容や指標が異なるため、単純な比較は困難であると考えられた。本研究班ではある程度統一した指標によりQOL評価を行うことが必要であると考えられた。
2. アンメットニーズ(UMN)検証を目的としたナショナルデータベース(NDB)および小児慢性特定疾病・指定難病データベースによる医療実態の把握に関する研究
疾患特異的、疾患共通のUMN案を選定し、NDBのみ、小児慢性・指定難病データでのみ、双方で検証するもの、に分類し各DBの申請を行った。厚労省によるNDBの審査は、JIA/RA、TAK、CAPSは2021年3月に行われた審査結果を待っている状況である。全身性エリテマトーデスと抗リン脂質抗体症候群についても6月に審査予定である。指定難病患者・小児慢性特定疾病児童等データはデータ利用が3月に許可された。
3. 製薬会社・保険者のアンメットニーズの探索研究
日本製薬工業協会(製薬協)の医薬品評価委員とともに、成人、小児領域に分別して難治性・希少免疫疾患のUMNに関するアンケート案を作成し、調査医薬品評価委員である72社代表に委託し、各企業に属する個人に対しWebによる調査を実施した。調査に同意した製薬企業社員203名から回答を得た。記述回答について研究協力者の所属する製薬協を交えて詳細な解析を行う予定である。
4. PRO(patient reported outcome)の検討とICT化に関する研究
包括的QOL尺度について、日本語版の妥当性検証が終了しているもの、既報告との比較検討が可能であるもの、本邦における標準値が公表されているもの、などの条件を検討し、小児領域ではKINDL、EQ-5D-Y、PedsQLを成人領域では、SF36v2およびEQ-5D-3L/5Lを選定した。小児・成人領域における共通QOL尺度の適用は、年齢により最適な質問項目が異なること、小児では日本語版の妥当性検証が完了している尺度が少ないことより困難と判断された。
代表的な自己免疫疾患・血管炎症候群・自己炎症性疾患においてUMNを把握すること、ならびにどのような調査が行われているのかを把握する目的で文献検索を行った。全文レビューは次年度予定であるが、現時点でそれぞれの疾患毎のUMNに関する情報をある程度収集できた。疾患やそれぞれの報告により調査内容や指標が異なるため、単純な比較は困難であると考えられた。本研究班ではある程度統一した指標によりQOL評価を行うことが必要であると考えられた。
2. アンメットニーズ(UMN)検証を目的としたナショナルデータベース(NDB)および小児慢性特定疾病・指定難病データベースによる医療実態の把握に関する研究
疾患特異的、疾患共通のUMN案を選定し、NDBのみ、小児慢性・指定難病データでのみ、双方で検証するもの、に分類し各DBの申請を行った。厚労省によるNDBの審査は、JIA/RA、TAK、CAPSは2021年3月に行われた審査結果を待っている状況である。全身性エリテマトーデスと抗リン脂質抗体症候群についても6月に審査予定である。指定難病患者・小児慢性特定疾病児童等データはデータ利用が3月に許可された。
3. 製薬会社・保険者のアンメットニーズの探索研究
日本製薬工業協会(製薬協)の医薬品評価委員とともに、成人、小児領域に分別して難治性・希少免疫疾患のUMNに関するアンケート案を作成し、調査医薬品評価委員である72社代表に委託し、各企業に属する個人に対しWebによる調査を実施した。調査に同意した製薬企業社員203名から回答を得た。記述回答について研究協力者の所属する製薬協を交えて詳細な解析を行う予定である。
4. PRO(patient reported outcome)の検討とICT化に関する研究
包括的QOL尺度について、日本語版の妥当性検証が終了しているもの、既報告との比較検討が可能であるもの、本邦における標準値が公表されているもの、などの条件を検討し、小児領域ではKINDL、EQ-5D-Y、PedsQLを成人領域では、SF36v2およびEQ-5D-3L/5Lを選定した。小児・成人領域における共通QOL尺度の適用は、年齢により最適な質問項目が異なること、小児では日本語版の妥当性検証が完了している尺度が少ないことより困難と判断された。
結論
各研究、概ね企画通りの進捗であった。次年度、図書館検索によるUMNの報告実態、製薬企業・保険者らのUMN結果をもとに患者集団を対象としたUMN把握のための調査に向けて、すでに選定した包括的QOL尺度に加えて、疾患特異的尺度の適用についても今後検討を行う。これらの尺度を含め、患者の生活実態や満足度に関する調査のための質問票を作成する。この調査は可能なものはICT化を試みる予定である。また患者による自由記載を利用したテキストマイニング手法についても検討する。
公開日・更新日
公開日
2021-06-01
更新日
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