「生活機能」のコード化に関する研究

文献情報

文献番号
200801027A
報告書区分
総括
研究課題名
「生活機能」のコード化に関する研究
課題番号
H19-政策・一般-027
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
上田 敏((財)日本障害者リハビリテーション協会)
研究分担者(所属機関)
  • 小野喜志雄(国際協力機構・国際医療協力)
  • 楠 正(日本薬剤疫学会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
10,120,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究班の最終目的は「生活機能」のコード化を、1)厚生統計のツール、2)「共通言語」に立った連携のツールとして、ICF(国際生活機能分類)に基づいて明確化することである。今回は2008年に国連障害者権利条約が発効したことにちなんで障害統計を対象とし、ICFに立って1)同条約の検討、2)わが国の身体障害児・者調査の分析、3)ICF心身機能分類項目の障害範囲への導入を決めた台湾における障害者調査の分析を行い、あわせて4)コスタリカにおける「中核的連携ルール」の開発を行った。
研究方法
1)障害者権利条約の各条文をICFの「生活機能モデル」に沿って分析し、統計のあり方について考察した。
2)平成18年の「身体障害者実態調査票」、「身体障害児実態調査票」について分析した。
3)台湾の「2006年心身障害者ニーズ調査」結果及びその背景となる障害関連制度を分析した。
4)コスタリカにおける総合リハビリテーション強化の技術協力プロジェクトに主任研究者が参加し、「中核的連携ツール」を開発した。
結果と考察
1)権利条約の中心概念である「権利」は、ICFでは「参加」に属する。本条約の障害者や、家族のとらえ方はICFの基本姿勢に合致する。本条約が規定するのは様々な参加を実現する権利であり、本条約が重要視する障害統計においても、参加を中心として、それに影響する活動・環境因子などをICFモデルに立って総合的に捉えるべきである。
2)身体障害児・者実態調査の対象とする身体障害は法の規定する範囲に限られるため、ICFに照らして狭いのはやむを得ない。しかし活動や参加の現状把握、特に活動の範囲、「実行状況」と「能力」の区別、「普遍的自立」と「限定的自立」の区別などの点で、ICFの「生活機能モデル」と「分類コード」の両面に照らしての改善の余地が大きい。
3)台湾における調査項目が、参加に重点がおかれていることはICFの見地に合致している。
4)コスタリカにおける「中核的連携ツール」の開発に成功し、現在フィールドテスト中である。
結論
○広く国民一般の生活機能の現状を把握し、その中で生活機能低下(ICFのいう「障害」)の現状をとらえることが厚生統計として重要である。
○より狭い範囲の「障害」の統計においても、ICFのモデル・コードが、問題のより的確な把握に役立つ。

公開日・更新日

公開日
2009-04-15
更新日
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