文献情報
文献番号
202012004A
報告書区分
総括
研究課題名
慢性腎臓病(CKD)患者に特有の健康課題に適合した多職種連携による生活・食事指導等の実証研究
課題番号
20FD1003
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
要 伸也(学校法人杏林学園杏林大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 岡田 浩一(埼玉医科大学 医学部 腎臓内科)
- 猪阪 善隆(大阪大学大学院医学系研究科 腎臓内科学)
- 阿部 雅紀(日本大学 医学部)
- 金崎 啓造(島根大学医学部)
- 内田 明子(聖隷横浜病院 看護部)
- 石川 祐一(茨城キリスト教大学 生活科学部)
- 木村 健(兵庫医療大学 薬学部)
- 柏原 直樹(学校法人川崎学園 川崎医科大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 腎疾患政策研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
7,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は、わが国における、慢性腎臓病(CKD)患者に特有の健康課題に適合した多職種連携とチーム医療によるCKD療養指導の実態を把握した上で、多職種連携によるCKD療養指導の有効性と有効な運用方法を実証研究によって示し、エビデンスに基づいた課題解決への提言を行うことである。最終的には、多職種連携の強化による治療目標の達成率向上、さらにCKD重症化予防とQOL改善を目指す。
研究方法
上記の研究目的を達成するため、日本腎臓学会、厚生労働省研究班(柏原・伊藤班)や日本腎臓病協会腎臓病療養指導士委員会、日本糖尿病学会よりCKD療養指導に精通するメンバーを招集し、職種横断的な体制を整えた。その上で、それぞれの課題ごとにワーキンググループを組織した。すなわち、1)多職種連携の実態調査と取りまとめ、2)多職種連携の有効性に関するエビデンス実証研究の実施、3)ホームページによる成果の公表、4)課題解決への提言の作成、5)マニュアルの作成と普及、の5つの課題について取り組む。今年度はまず1)のチーム医療に関する実態調査を行い、同時に2)エビデンス実証研究の開始にあたり、研究デザインとアウトカムの設定について検討を行う。アンケートの実施・解析は専門機関に委託する。次年度からは、実態調査の結果も参考にしつつ、研究計画を整え、エビデンス構築研究を開始する予定である。
結果と考察
(結果)
1) 多職種連携の実態調査と取りまとめ:多職種協働によるCKDチーム医療の実態調査を明らかにするため、腎臓病療養指導士評価普及小委員会と共同で、日本腎臓学会教育認定施設および腎臓病療養指導士資格取得者(看護師・管理栄養士・薬剤師)向けのアンケートを作成し、アンケート用紙を発送した。調査項目案として、多職種CKDチーム医療の実施状況、腎臓病療養指導に係るコメディカルの人数、療養指導士数、腎臓教室・教育入院の実施の有無、などが挙げられる。今後はアンケートを回収後、解析作業を進め、多職種連携による療養指導の実態を明らかにする。さらに、その結果を、次項で述べるエビデンス実証研究のアウトカム設定等の参考にする。また、必要に応じて二次調査を行い、成功事例の発掘も行う。
2) 多職種連携の有効性に関するエビデンス構築
実証研究の立案・準備を行った。前向き介入試験では研究期間中に成果を出しにくいため、後ろ向き観察研究を中心に考える。対象となるCKDのステージは早期からとする(かかりつけ医から専門医への紹介の対象になるステージが目安となる)。既存のデータベース活用(特定健診、レセプトなど)も検討する。具体的には、チーム医療が行われている施設といない施設の間のアウトカム比較、多職種介入の前後のアウトカム比較を行うこととし、ウトカム候補として、導入時の血清クレアチニン濃度、PD・腎移植選択率、継続受診率や服薬遵守率などが挙げられる。研究デザインカムアンケート調査の結果も参考にする。ステージにより多職種介入の効果に違いがあるかどうかも検討する。以上のエビデンス実証研究を次年度より実施に移す。このほかプロセス評価も行う。
3) ホームページによる成果の公表:研究班のホームページ作成の準備を開始した。厚労科研柏原班・伊藤班のホームページに加えるか、別途作成するかいずれかとする。
4) 課題解決への提言、および 5)マニュアルの作成と普及
本年度は担当メンバーを決定した。最終段階で、実態調査とエビデンス構築研究の成果を反映した課題解決への提言を班員全体でまとめ、チーム医療に基づいたCKD療養指導の在り方を総括したマニュアルの作成を行う方針とする。
(考察)
CKD診療における多職種連携の実態調査の結果を解析することにより、我が国におけるチーム医療と多職種連携の現状と課題が初めて明らかになると期待される。立案中の実証研究の実施により多職種連携の有効性に関するエビデンスが得られれば、とくにどのような多職種連携のアプローチがどのアウトカム、あるいは何の原疾患(糖尿病性腎症、それ以外)に対して有効かがわかり、チーム医療における指針や重点項目を示すことにもつながると期待される。さらに以上の取組みは、腎臓病療養指導士をはじめCKDの療養指導に取り組むメディカルスタッフのモチベーション向上にも役立つと期待される。これらを、課題解決に向けた提言とCKD多職種連携マニュアル作成に繋げてゆく。
1) 多職種連携の実態調査と取りまとめ:多職種協働によるCKDチーム医療の実態調査を明らかにするため、腎臓病療養指導士評価普及小委員会と共同で、日本腎臓学会教育認定施設および腎臓病療養指導士資格取得者(看護師・管理栄養士・薬剤師)向けのアンケートを作成し、アンケート用紙を発送した。調査項目案として、多職種CKDチーム医療の実施状況、腎臓病療養指導に係るコメディカルの人数、療養指導士数、腎臓教室・教育入院の実施の有無、などが挙げられる。今後はアンケートを回収後、解析作業を進め、多職種連携による療養指導の実態を明らかにする。さらに、その結果を、次項で述べるエビデンス実証研究のアウトカム設定等の参考にする。また、必要に応じて二次調査を行い、成功事例の発掘も行う。
2) 多職種連携の有効性に関するエビデンス構築
実証研究の立案・準備を行った。前向き介入試験では研究期間中に成果を出しにくいため、後ろ向き観察研究を中心に考える。対象となるCKDのステージは早期からとする(かかりつけ医から専門医への紹介の対象になるステージが目安となる)。既存のデータベース活用(特定健診、レセプトなど)も検討する。具体的には、チーム医療が行われている施設といない施設の間のアウトカム比較、多職種介入の前後のアウトカム比較を行うこととし、ウトカム候補として、導入時の血清クレアチニン濃度、PD・腎移植選択率、継続受診率や服薬遵守率などが挙げられる。研究デザインカムアンケート調査の結果も参考にする。ステージにより多職種介入の効果に違いがあるかどうかも検討する。以上のエビデンス実証研究を次年度より実施に移す。このほかプロセス評価も行う。
3) ホームページによる成果の公表:研究班のホームページ作成の準備を開始した。厚労科研柏原班・伊藤班のホームページに加えるか、別途作成するかいずれかとする。
4) 課題解決への提言、および 5)マニュアルの作成と普及
本年度は担当メンバーを決定した。最終段階で、実態調査とエビデンス構築研究の成果を反映した課題解決への提言を班員全体でまとめ、チーム医療に基づいたCKD療養指導の在り方を総括したマニュアルの作成を行う方針とする。
(考察)
CKD診療における多職種連携の実態調査の結果を解析することにより、我が国におけるチーム医療と多職種連携の現状と課題が初めて明らかになると期待される。立案中の実証研究の実施により多職種連携の有効性に関するエビデンスが得られれば、とくにどのような多職種連携のアプローチがどのアウトカム、あるいは何の原疾患(糖尿病性腎症、それ以外)に対して有効かがわかり、チーム医療における指針や重点項目を示すことにもつながると期待される。さらに以上の取組みは、腎臓病療養指導士をはじめCKDの療養指導に取り組むメディカルスタッフのモチベーション向上にも役立つと期待される。これらを、課題解決に向けた提言とCKD多職種連携マニュアル作成に繋げてゆく。
結論
研究成果を通じて、わが国のCKD診療における多職種連携の実態と課題が明らかになり、今後のエビデンス実証研究によってその有効性と効果的な運用法を示すことにより、チーム医療の質向上とCKD診療の浸透および水準向上、最終的にはCKD重症化予防とCKD患者のQOL改善、医療費節減を目指す。
公開日・更新日
公開日
2021-06-10
更新日
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