文献情報
文献番号
199700434A
報告書区分
総括
研究課題名
農作物における複数農薬の残留実態の把握に関する調査研究
課題番号
-
研究年度
平成9(1997)年度
研究代表者(所属機関)
豊田 正武(国立医薬品食品衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
- 加藤保博((財)残留農薬研究所)
- 前田憲二(横浜検疫所輸入食品・検疫検査センター)
- 伊藤誉志男(武庫川女子大学薬学部)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 残留農薬安全対策総合調査研究事業
研究開始年度
平成9(1997)年度
研究終了予定年度
平成9(1997)年度
研究費
9,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
農薬は単独で使用されることは希で、各種病害虫の防除のため複数農薬が同時または異なる時期に同一作物に対して処理される。更に輸入農作物ではポストハーベスト農薬が使用される場合もある。このため、複数農薬が同一作物中に残留する可能性がある。しかし特に輸入食品ではどの様な農薬が使用されたかの情報が少ないこと、また複数農薬の残留実態については必ずしも十分な情報が得られているとは言えない。本研究では、個々の農薬については個別分析法が確立されているが、不特定多数の農薬を同時に追跡するには不十分であることから、迅速多成分分分析法を開発し、国産及び輸入食品のモニタリング検査へ適用し、同一食品または同時に喫食する食品中の複数農薬の実態調査を行い、複数残留農薬に対する安全性確保の為の基礎的資料を得ることを目的としている。昨年度、有機塩素系農薬、有機リン系農薬等について同時分析法を検討したので、本年度は、GCで分析出来ない農薬についてHPLCによる同時分析法を検討し、一部輸入農作物について複数農薬の残留実態調査を行った。
研究方法
1)HPLCによるN-メチルカルバメート系農薬の分析法の検討
厚生省の告示分析法である「アルジカルブ等試験法」及び「メチオカルブ試験法」を統合して改良し、N-メチルカルバメート系農薬21種及びそれらの代謝物または異性体12種の計33種を同時に定量する方法を検討した。同時にジクロロメタンを使用せず、分析操作中に酸化される農薬をも検出出来るよう検討した。
2)HPLCによる多成分同時分析法の検討
食品残留基準が設定されている農薬有効成分の中で、GCで直接測定できない、もしくはGC分析に適していない農薬有効成分26種について、HPLCによる多成分同時分析法の確立を目指し、個別分析法の整理、精製条件の検討、検出条件の検討を行った。
3)HPLCによるバミドチオンとその代謝物等の分析法の検討
バミドチオン及びその植物体内代謝物のスルホン体の同時分析法及びアセフェートとジコホールの個別分析法を検討した。
4)輸入農作物中複数農薬の残留実態の把握
含窒素系農薬15種について、前年度の有機リン系農薬の同時分析法の応用の可能性を検討した。さらに平成9年度の有機リン系農薬(30項目)のモニタリング検査で農薬の検出を認めた71検体について、含窒素系農薬の調査を実施した。
厚生省の告示分析法である「アルジカルブ等試験法」及び「メチオカルブ試験法」を統合して改良し、N-メチルカルバメート系農薬21種及びそれらの代謝物または異性体12種の計33種を同時に定量する方法を検討した。同時にジクロロメタンを使用せず、分析操作中に酸化される農薬をも検出出来るよう検討した。
2)HPLCによる多成分同時分析法の検討
食品残留基準が設定されている農薬有効成分の中で、GCで直接測定できない、もしくはGC分析に適していない農薬有効成分26種について、HPLCによる多成分同時分析法の確立を目指し、個別分析法の整理、精製条件の検討、検出条件の検討を行った。
3)HPLCによるバミドチオンとその代謝物等の分析法の検討
バミドチオン及びその植物体内代謝物のスルホン体の同時分析法及びアセフェートとジコホールの個別分析法を検討した。
4)輸入農作物中複数農薬の残留実態の把握
含窒素系農薬15種について、前年度の有機リン系農薬の同時分析法の応用の可能性を検討した。さらに平成9年度の有機リン系農薬(30項目)のモニタリング検査で農薬の検出を認めた71検体について、含窒素系農薬の調査を実施した。
結果と考察
1)HPLCによるN-メチルカルバメート系農薬の分析法の検討
試料をアセトンとともにホモジナイズ後ろ過し、減圧濃縮後食塩を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を分取して減圧乾固後、アセトニトリル/n-ヘキサン分配及びSep-Pakアミノプロピルカートリッジで精製し、ポストカラム反応蛍光検出グラジエントHPLCで定量する方法を確立した。添加回収率は玄米、タマネギ、リンゴ等10種の穀類、果実類、野菜類で60.3~108.2%であった。なお柑橘類については妨害ピークが多く更に精製法を検討する必要があった。
2)HPLCによる多成分同時分析法の検討
GCで定量できない17種農薬有効成分についてHPLCで同時に測定する方法を検討し、うち7種(ジフルベンズロン、テブフェノジド、クロフェンテジン、ジクロメジン、シラフルオフェン、イナベンフィド及びエトベンザニド)が同時分析可能となった。みかんとりんご試料では、C18ミニカラム精製法を採用し、回収率82%以上であった。玄米では、アセトン抽出し多孔性ケイソウ土カラム、アセトニトリル/ヘキサン分配、C18+NH2ミニカラムを精製法とし、エトベンザニド若しくはイナベンフィドを除いて添加回収率72%以上であった。
3)HPLCによるバミドチオンとその代謝物等の分析法の検討
バミドチオン及びバミドチオンスルホンをアセトニトリル抽出し、アセトニトリル-n-ヘキサン分配後、フロリジルカラムで精製し、UV-HPLCで同時分析する方法を確立した。両者の添加回収率はそれぞれ、白米120.5%と81.3%、キュウリ66.3%と90.5%、リンゴ78.1%と99.4%であった。
4)輸入農作物中複数農薬の残留実態の把握
イソプロカルブ、エスプロカルブ、ジエトフェンカルブ、テニルクロール、テブフェンピラド、パクロブトラゾール、ビテルタノール、フェナリモル、フルトラニル、プレチラクロール、ペンディメタリン、メフェナセット、メプロニル、レナシルの15種農薬についてGC/MSで定量する方法を確立した。有機リン系農薬及び含窒素系農薬について、同一検体から複数農薬を検出した試料は71検体中13検体であった。即ち中国産大葉からクロルピリホス、シハロトリン及びシペルメトリン、米国産小麦からマラチオン及びクロルピリホスメチルを同時に検出した。また大韓民国産グリーンペッパーからクロルピリホス及びビテルタノール、タイ産コリアンダーからパラチオンメチル及びエスプロカルブ、米国産ブロッコリーからクロルピリホス及びエスプロカルブを同時に検出した。
試料をアセトンとともにホモジナイズ後ろ過し、減圧濃縮後食塩を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を分取して減圧乾固後、アセトニトリル/n-ヘキサン分配及びSep-Pakアミノプロピルカートリッジで精製し、ポストカラム反応蛍光検出グラジエントHPLCで定量する方法を確立した。添加回収率は玄米、タマネギ、リンゴ等10種の穀類、果実類、野菜類で60.3~108.2%であった。なお柑橘類については妨害ピークが多く更に精製法を検討する必要があった。
2)HPLCによる多成分同時分析法の検討
GCで定量できない17種農薬有効成分についてHPLCで同時に測定する方法を検討し、うち7種(ジフルベンズロン、テブフェノジド、クロフェンテジン、ジクロメジン、シラフルオフェン、イナベンフィド及びエトベンザニド)が同時分析可能となった。みかんとりんご試料では、C18ミニカラム精製法を採用し、回収率82%以上であった。玄米では、アセトン抽出し多孔性ケイソウ土カラム、アセトニトリル/ヘキサン分配、C18+NH2ミニカラムを精製法とし、エトベンザニド若しくはイナベンフィドを除いて添加回収率72%以上であった。
3)HPLCによるバミドチオンとその代謝物等の分析法の検討
バミドチオン及びバミドチオンスルホンをアセトニトリル抽出し、アセトニトリル-n-ヘキサン分配後、フロリジルカラムで精製し、UV-HPLCで同時分析する方法を確立した。両者の添加回収率はそれぞれ、白米120.5%と81.3%、キュウリ66.3%と90.5%、リンゴ78.1%と99.4%であった。
4)輸入農作物中複数農薬の残留実態の把握
イソプロカルブ、エスプロカルブ、ジエトフェンカルブ、テニルクロール、テブフェンピラド、パクロブトラゾール、ビテルタノール、フェナリモル、フルトラニル、プレチラクロール、ペンディメタリン、メフェナセット、メプロニル、レナシルの15種農薬についてGC/MSで定量する方法を確立した。有機リン系農薬及び含窒素系農薬について、同一検体から複数農薬を検出した試料は71検体中13検体であった。即ち中国産大葉からクロルピリホス、シハロトリン及びシペルメトリン、米国産小麦からマラチオン及びクロルピリホスメチルを同時に検出した。また大韓民国産グリーンペッパーからクロルピリホス及びビテルタノール、タイ産コリアンダーからパラチオンメチル及びエスプロカルブ、米国産ブロッコリーからクロルピリホス及びエスプロカルブを同時に検出した。
結論
公開日・更新日
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