プリオン病及び遅発性ウイルス感染症に関する調査研究班

文献情報

文献番号
202011086A
報告書区分
総括
研究課題名
プリオン病及び遅発性ウイルス感染症に関する調査研究班
課題番号
20FC1054
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
高尾 昌樹(国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター 病院 臨床検査部)
研究分担者(所属機関)
  • 山田 正仁(金沢大学 医薬保健研究域医学系 脳老化・神経病態学(脳神経内科学))
  • 水澤 英洋(国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター)
  • 西田 教行(長崎大学 大学院 医歯薬学総合研究科(医学系) 感染免疫学講座 感染分子解析学分野)
  • 佐々木 真理(岩手医科大学 医学部 医歯薬総合研究所)
  • 齊藤 延人(東京大学医学部附属病院)
  • 岩崎 靖(愛知医科大学 加齢医科学研究所 神経病理部門)
  • 坪井 義夫(福岡大学 医学部 脳神経内科学教室)
  • 北本 哲之(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 濱口 毅(金沢大学附属病院神経内科)
  • 佐藤 克也(長崎大学 大学院 医歯薬学総合研究科(保健学科))
  • 大平 雅之(国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター 臨床検査部)
  • 細矢 光亮(公立大学法人福島県立医科大学 医学部 小児科学講座)
  • 長谷川 俊史(山口大学大学院医学系研究科 小児科学分野)
  • 酒井 康成(九州大学大学院 医学研究院 成長発達医学分野(小児科学))
  • 野村 恵子(熊本大学病院 小児科)
  • 花岡 義行(岡山大学病院 小児神経科)
  • 鈴木 保宏(大阪府立母子保健総合医療センター 小児神経科)
  • 砂川 富正(国立感染症研究所 感染症疫学研究センター)
  • 西條 政幸(国立感染症研究所 ウイルス第一部)
  • 三浦 義治(東京都立駒込病院 脳神経内科)
  • 船田 信顕(東京都立駒込病院 病理科)
  • 雪竹 基弘(国際医療福祉大学 臨床医学研究センター)
  • 阿江 竜介(自治医科大学医学部)
  • 鈴木 忠樹(国立感染症研究所 感染病理部)
  • 原田 雅史(徳島大学 大学院医歯薬学研究部(医学域)ヘルスバイオサイエンス研究部)
  • 三條 伸夫(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 野村 恭一(埼玉医科大学 総合医療センター 神経内科)
  • 高橋 和也(国立病院機構 医王病院 第1診療部・統括診療部)
  • 中原 仁(慶應義塾大学医学部内科学教室(神経))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
37,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
指定難病のプリオン病(23)、亜急性硬化性全脳炎(SSPE、24)、進行性多巣性白質脳症(PML、25)の研究班を継続し、新知見による早期診断等の指針改定、重症度・バイオマーカー・治療実態・感染予防・自然歴の検討、サーベイランスによるデータベース構築、診療ガイドライン(GL)改定等により医療水準向上を目指す。研究班全体と年度計画として、R2年度は既存データ、GL2020の改訂点の検証、R3年度は各研究内容を発展、R4年度は新知見によるGL改訂と診療体制提供、国民や医療関連への啓発により難病医療へ貢献をする。
研究方法
プリオン病:サーベイランス体制と連携し、臨床病態、疫学的な観点からの解析、診断基準・重症度分類の確立、治療実態評価、啓発活動を併せて行う。各分担者・分科会の研究目的として、プリオン病におけるMRIの拡散強調画像(DWI)高信号と病理所見の関連について解明、プリオン病診断のための拡散強調画像を用いた拡散異常域の自動定量化法を確立、頭皮を用いたプリオン病の診断方法の検討、サーベイランスデータの集約と問題点の洗い出し、プリオン病の脳神経外科手術器具を介した二次感染予防、本邦に多い遺伝性プリオン病V180IやGSSP102Lの検討、ヒトに感染する孤発性のプリオンがM1プリオンとV2プリオン以外にあるかどうかの検討、学生実習における解剖検体のプリオン病の検出、プリオン病のリソース構築による基礎研究への支援と法的体制の検討が目指された。SSPE:サーベイランス体制確立と発症状況、発症リスク、長期例、トランジション等の疫学的解明、診断基準・重症度分類の確立、治療実態評価、啓発活動を併せて行う。麻疹特異抗体の検討、髄液診断法の検討、長期生存例の検討、データベース作成のための準備と疫学調査のための準備、発症例の監視等が目指された。PML:サーベイランス体制確立と臨床病態、疫学的解明、診断基準・重症度分類の確立、治療実態評価、啓発活動を併せて行う。各分担者・分科会の研究目的として、国内の医療機関におけるサーベイランスと脳脊髄液中JCV検査を担当することでPMLの実験室サーベイランスを実施、データの集積と主治医への報告、病理診断の検討、薬剤使用に関連するPMLの検討と監視、文献的な検討による最新情報の集積が目指された。
プリオン病、SSPE、PMLの各分科会をさらに発展させ、分科会長3名によるウェブ会議を継続することで、コロナ禍における研究進捗を目指した。サーベイランス班、AMED班と連携し、令和3年1月18日~19日に合同研究報告会を開催し、分科会、PMLサーベイランス委員会も開催することで、対象疾患に関しての班員による成果交換と相互評価を行った。
結果と考察
プリオン病:臨床病態、疫学的、感染予防の観点からの解析を行い、新規プリオン病の覚知、画像変化の背景病理、無症候例の感染率、確定例の臨床症候、生体試料による診断法評価を施行。解剖リソースが継続され多数追加され、法的観点からも整理をした。大幅な改訂を伴う、国際基準の新しい診断基準作成のための準備・審議を合同班会議で行った。関連学会シンポジウム、ワークショップ、臨床病理カンファレンス、各病院でのカンファレンスなどで、臨床医、検査技師へ診断、感染性、トピックスに関しての啓発活動を施行した。ホームページの修正、up dateを継続し、市民公開講座も含め情報公開を進めた。SSPE:新規発症者数も少く、調査にあたっての調査項目を検討することを班会議にて、班員に諮り、調査票の調査項目候補を選定した。登録体制、サーベイランス体制の骨子が年度内に決定された。適切な診断のための、脳脊髄液麻疹抗体価の基準指針の評価による一定の結果が得られ、今後継続的に検討を行いGLに反映させることとなった。また、長期間IFN、リバビリンが投与されたトランジション例が検討された。SSPEに馴染みの少ない医師へも含めた啓発活動やホームページの修正などが行われた。PML:診断のための髄液によるウイルス解析を約200例に行うことができ、前期研究班と同様に診断支援を順調に遂行することができた。サーベイランス委員会に定期開催により、登録されたPMLを考慮される症例の診断、確定等をWeb会議による体制を構築し施行した。あわせて病理診断支援も適切に施行した。治療薬に関連が考慮されるPMLの検討を行い、班会議で班員による会議として薬剤関連PMLの定義などを検討することになった。例年通り合同研究報告会で報告され、一般医師および脳神経内科医への情報提供を行った。
結論
以上、プリオン病、SSPE、PMLの3疾患に関しての成果は、一部ではすでに成果として臨床医、基礎研究者による活用がはじまっているが、今後の研究班の最終的成果が適切に活用されるよう研究を継続する。

公開日・更新日

公開日
2021-07-01
更新日
2021-07-20

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-07-01
更新日
2021-09-07

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202011086Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
45,000,000円
(2)補助金確定額
44,793,000円
差引額 [(1)-(2)]
207,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 19,180,993円
人件費・謝金 10,864,675円
旅費 632,682円
その他 6,615,372円
間接経費 7,500,000円
合計 44,793,722円

備考

備考
自己資金722円。

公開日・更新日

公開日
2021-07-01
更新日
2022-02-22