原発性免疫不全症候群の診療ガイドライン改訂、診療提供体制・移行医療体制構築、データベースの確立に関する研究

文献情報

文献番号
202011085A
報告書区分
総括
研究課題名
原発性免疫不全症候群の診療ガイドライン改訂、診療提供体制・移行医療体制構築、データベースの確立に関する研究
課題番号
20FC1053
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
森尾 友宏(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 発生発達病態学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 野々山 恵章(防衛医科大学校 医学教育部医学科小児科学講座)
  • 山田 雅文(北海道大学大学院医学研究院小児科学教室)
  • 笹原 洋二(東北大学大学院医学系研究科 発生・発達医学講座 小児病態学分野)
  • 平家 俊男(京都大学 大学院医学研究科)
  • 西小森 隆太(久留米大学 医学部小児科)
  • 高田 英俊(筑波大学 医学医療系)
  • 小野寺 雅史(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 研究所成育遺伝研究部)
  • 和田 泰三(金沢大学医薬保健研究域医学系小児科学)
  • 大西 秀典(岐阜大学大学院医学系研究科 小児科学)
  • 村松 秀城(名古屋大学医学部附属病院小児科)
  • 八角 高裕(京都大学大学院医学研究科発達小児科学)
  • 岡田 賢(広島大学大学院医系科学研究科 小児科学)
  • 峯岸 克行(国立大学法人徳島大学 先端酵素学研究所 免疫アレルギー学)
  • 大賀 正一(九州大学大学院医学研究院成長発達医学分野)
  • 堀内 孝彦(九州大学別府病院)
  • 保田 晋助(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科)
  • 藤尾 圭志(東京大学医学部附属病院  アレルギーリウマチ内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
27,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
原発性免疫不全症候群のより良い診療体制・移行期医療の構築を目的として、診療ガイドラインの改訂・追補・学会承認、移行医療ガイドラインの策定・学会承認と移行医療の推進、疾患データベースの構築と運用、患者診療体制の構築と維持、患者交流・相談会の開催、予防接種相談体制の確立を本研究の目的とする。
研究方法
原発性免疫不全症候群のうち13疾患(細分16疾患)について、Mindsに準拠して診療ガイドライン案を策定した。さらに患者データの収集・解析、難病プレっとホームへの格納、診療・連携体制の構築、診断方法・重症化指標の確立、移行医療ガイドライン策定、患者相談体制構築、予防接種相談体制構築を行った。
結果と考察
改訂した16疾病とその細分類は以下の通りである。
1) 複合免疫不全症
 X連鎖重症複合免疫不全症
 アデノシンデアミナーゼ欠損症
2) 免疫不全を伴う特徴的な症候群
 ウィスコット・オルドリッチ症候群
 ブルーム症候群
 胸腺低形成(DiGeorge症候群、22q11.2次失症候群)
 高IgE症候群
3) 液性免疫不全を主とする疾患
 X連鎖無ガンマグロブリン血症
 24から30までに掲げるもののほかの、液性免疫不全を主とする疾患
(活性化PI3Dδ症候群、IKAROS異常症、NFκB1異常症、NFκB2異常症)
4) 免疫調節障害
 自己免疫性リンパ増殖症候群
5) 原発性食細胞機能不全症および欠損症
 重症先天性好中球減少症
 慢性肉芽腫症
6) 自然免疫異常
 免疫不全を伴う無汗性外胚葉形成異常症
7) 先天性補体欠損症
 先天性補体欠損症
 これらの診療ガイドラインについて日本免疫不全・自己炎症学会にて学会承認を得る予定としている。
2)患者データの収集・解析と難病プラットフォームへの格納
 難病プラットフォームでの登録項目の設定はすでに完了し、令和2年度から各分担施設において、2016年度まで稼働していたデータベースであるPrimary Immunodeficiency Database in Japan(PIDJ)休止後のデータの整理を開始した。また過去データの登録・移行、欠落データの補完の検討を行った。
3)診療・連携体制の構築、診断方法・重症化指標の確立
 原発性免疫不全症候群の原因となるすべての責任遺伝子を体系的に解析できる体制を維持し、診療ガイドラインへの掲載や、細分類・疾患毎の解析遺伝子についての確認を行った。この遺伝子解析施設を核にして、全国の原発性免疫不全症候群の診断・診療ネットワークを構築した。またAMED成育疾患克服等総合研究事業「原発免疫不全症候群に対する新生児マススクリーニング法の開発」(代表者 今井耕輔)との連携(スクリーニング陽性後の診断体制)について協議を行った。
4)移行医療ガイドライン策定
 X連鎖無ガンマグロブリン血症と高IgE症候群の移行医療ガイドラインを小児科と成人診療科が合同で策定した。
5)患者相談体制の構築
 令和2年10月に患者会(NPO法人PIDつばさの会)とkick offミーティングを開催し、12月6日には相談会(患者向け勉強会、交流会の開催)を行った。令和3年2月の班会議においても患者会と交流を行った。
6)予防接種相談体制構築
 ワーキンググループ(グループ長 高田英俊)が中心となり、令和2年度にアンケート調査を取りまとめた。一次調査では705診療科、1199人分のPID患者の情報を得ることでき、二次調査ではうち731人(61%)の患者について、詳細な情報を得た。本調査の結果を踏まえて、予防接種相談体制の構築を行った。
 今回作成した診療ガイドラインは日本免疫不全・自己炎症学会から認証を得たのちに、難病情報センターや各学会のホームページでの公開、学会講演会、一般医への印刷物の配布などで広く周知する予定である。
これまでの患者登録データ(PIDJなど)を活用するのみならず、従来データに加えて新規データを難病プラットフォームに格納することによりよりエビデンスレベルの高い疫学研究高め、国際協調を推進する。
移行医療ガイドラインを作成し、成人診療科でも安心して診療が受けられる体制を作る。
患者会と密な連携を図り、患者が抱える不安を拾い上げ、払拭できるような相談体制を構築する。
一部の予防接種は原発性免疫不全症候群患者に対して禁忌であり、問診での疑い症例や誤接種患者への対応、予防接種に関する相談体制の構築を図る。
結論
13疾患(細分16疾患)の診療ガイドラインの改訂ならびに策定を行った。本研究により原発性免疫不全症候群の適切な診療が可能となり、難病診療レベルの向上および難病支援の構築に貢献した。

公開日・更新日

公開日
2021-07-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
その他
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2021-07-01
更新日
2021-08-31

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202011085Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
36,010,000円
(2)補助金確定額
36,010,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 16,949,203円
人件費・謝金 6,404,856円
旅費 0円
その他 4,351,826円
間接経費 8,310,000円
合計 36,015,885円

備考

備考
自己資金 5,885円

公開日・更新日

公開日
2021-07-01
更新日
2022-02-07