稀少難治性皮膚疾患に関する調査研究

文献情報

文献番号
202011084A
報告書区分
総括
研究課題名
稀少難治性皮膚疾患に関する調査研究
課題番号
20FC1052
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
秋山 真志(国立大学法人東海国立大学機構名古屋大学 大学院医学系研究科 皮膚科学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 青山 裕美(川崎医科大学)
  • 天谷 雅行(慶應義塾大学 医学部 皮膚科学教室)
  • 池田 志斈(順天堂大学 医学部)
  • 石河 晃(東邦大学 医療センター大森病院)
  • 氏家 英之(北海道大学 大学院医学研究院皮膚科学教室)
  • 黒沢 美智子(順天堂大学 医学部)
  • 澤村 大輔(弘前大学医学部皮膚科)
  • 下村 裕(山口大学 大学院医学系研究科皮膚科学)
  • 鈴木 民夫(山形大学 医学部)
  • 玉井 克人(大阪大学大学院 医学系研究科)
  • 照井 正(日本大学医学部)
  • 秀 道広(広島大学大学院 医歯薬保健学研究院(皮膚科学))
  • 室田 浩之(長崎大学 医学部)
  • 山上 淳(慶應義塾大学医学部 皮膚科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
28,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
原因不明で治療法が確立していない難治性皮膚疾患に対する医療の基盤を強化するため、研究対象となっている各疾患の診断基準・重症度分類基準の策定と普及、疫学調査とデータベースの作成、全国共通で国際的に通用する診療ガイドラインの開発・改訂を目的とする。
研究方法
1.各疾患群の研究
[天疱瘡] 2019~20年に慶應義塾大学病院皮膚科を受診した、寛解歴のある患者の臨床的特徴を後方視的に調査した。
[類天疱瘡(後天性表皮水疱症を含む)] 調査票を送り、水疱性類天疱瘡(BP)と診断された時点でのDPP4阻害薬内服の有無、臨床症状スコア、抗体価等についての調査を行った。
[膿疱性乾癬] 汎発性膿疱性乾癬(GPP)患者のアンケート調査、GPPに対して生物学的製剤と顆粒球単球吸着療法(GMA)を併用した患者の報告、GPP家系について原因遺伝子解析を行った。
[表皮水疱症] 全国疫学調査を行い、一次・二次調査を終えて分析を開始した。
[先天性魚鱗癬] 集積した症例の臨床情報の詳細な検討を行った。臨床実態調査のための資料を作成した。
[弾性線維性仮性黄色腫] 重症度基準に沿って症例を分類し、解析したデータをレジストリとして構築、データベースへの登録を行った。
[眼皮膚白皮症] 診療ガイドライン補遺の医療従事者への広報を行った。国内外の眼皮膚白皮症を含む遺伝性色素異常症症例の遺伝子診断を行い、結果をレジストリに追加した。
[遺伝性血管性浮腫] 患者レジストリを拡充し、より多くの患者情報を蓄積して我が国における具体的な医療需要の種類と程度を明らかにした。
2.共通研究課題
[症例登録と疫学解析] 表皮水疱症全国疫学調査二次調査(在宅医療を含む臨床疫学像)を実施した。
結果と考察
1.各疾患群の研究
[天疱瘡] 患者が寛解に入った時点で、デスモグレインに対する抗体は、調査対象となった132例中72例で検出された。予後調査から、再発に注意しながらステロイドの減量が可能であることも示唆され、寛解中に自己抗体が検出された症例に関する重要な知見が得られた。
[類天疱瘡(後天性表皮水疱症を含む)] Baselineと薬剤中止後4週以内の好中球リンパ球数比(NLR)の高値と変動は、DPP4阻害薬中止後の予後と合併症に関連していた。DPP4阻害薬中止前ステロイド治療開始前のNLRは致死的な感染免疫再構築症候群の予測バイオマーカーになる可能性がある。
[膿疱性乾癬] 患者QOL調査を行い、2003~7年までに集めたデータと2016~19年までに集めた結果を比較したところSf-36v2の全ての項目で改善しており、4/8項目は有意に改善していた。GPP患者QOLは、前回調査結果と比較して改善しているが国民の平均よりもまだ低かった。
[表皮水疱症] 現在、重症度を構成する項目、変異遺伝子、皮膚症状、合併症の出現年齢や在宅医療に関する項目についての分析を継続中。今後は指定難病データベースの結果との比較も行う予定である。
[先天性魚鱗癬] NIPAL4変異による魚鱗癬の病態が詳細に明らかになり、SREBF1変異による魚鱗癬症候群の疾患概念を確立できた。
[弾性線維性仮性黄色腫] 診療ガイドラインを公表したことで、各医療者が本症患者に対して質の高い診療を行うことが可能になっている。
[眼皮膚白皮症] 58遺伝子のパネルを作成して網羅的にスクリーニングするターゲットリシークエンス法の運用が軌道に乗り、依頼症例が増えてきた。さらなる患者レジストリの拡充が期待される。
[遺伝性血管性浮腫] Angioedema quality of life questionnaire日本語版は、原語版に劣らぬ信頼性、妥当性をもって本邦患者のQOL障害の程度を把握するために役立つものと考えられた。
2.共通研究課題
[症例登録と疫学解析] 表皮水疱症の欄にまとめて記載。
結論
本研究班の目的は稀少難治性皮膚疾患における、1)診療ガイドライン作成・改訂、2)データベース作成・疫学解析、3)情報提供と社会啓発であり、各疾患群の研究と共通研究課題が協調しながら着実に目標に進んでいる。
本年度は、膿疱性乾癬のQoL調査の結果を、日本皮膚科学会の機関誌に公表することができた。表皮水疱症の全国疫学調査も二次調査の回収まで完了することができた。さらに、COVID-19感染拡大状況を踏まえて、天疱瘡、類天疱瘡、膿疱性乾癬の免疫抑制療法中の患者と医師向けの情報提供を、いち早く発信することもできた。来年度以降も、稀少難治性皮膚疾患の実診療に有用な成果をあげることで、対象疾患の患者をはじめとした国民生活に有意義に還元できるような研究活動を継続していく。

公開日・更新日

公開日
2021-07-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2021-07-01
更新日
2021-08-27

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202011084Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
36,000,000円
(2)補助金確定額
36,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 21,030,217円
人件費・謝金 3,395,816円
旅費 0円
その他 3,619,873円
間接経費 8,000,000円
合計 36,045,906円

備考

備考
※自己資金:45,906円

公開日・更新日

公開日
2021-07-01
更新日
2022-02-18