次世代育成支援政策における産後育児支援体制の評価に関する研究

文献情報

文献番号
200801018A
報告書区分
総括
研究課題名
次世代育成支援政策における産後育児支援体制の評価に関する研究
課題番号
H19-政策・一般-018
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
福島 富士子(国立保健医療科学院 公衆衛生看護部)
研究分担者(所属機関)
  • 中板 育美(国立保健医療科学院 公衆衛生看護部 )
  • 宮里 和子(武蔵野大学 看護学部)
  • 加藤 尚美((社)日本助産師会)
  • 藤原 佳典(東京都老人総合研究所)
  • 濱松加寸子(聖霊クリストファー看護大学)
  • 待鳥美光(NPO こども・みらい・わこう)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
7,266,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
産後早期の育児支援に関するモデル的な取組みの実態をもとに、今後の自治体に即した効果的な展開について検討を行うと共に、評価指標を作成、提言することにより、子どもを取り巻く諸問題の解決・減少に寄与することを目的とする。以下に分担研究の目的を示す。
(1)住民による乳児家庭全戸訪問事業を展開する自治体に目を向け、今後の各自治体に即した効果的な産後早期の家庭訪問事業の展開方法について提言する。
(2)世田谷区に開設された宿泊型産後母子支援施設の開始後半年経過の評価を行う。
(3)分娩後早期退院を行う施設の現状、諸外国の実情を調査し、今後必要な早期退院後のフォローアップ体制の構築方法を明らかにする。
研究方法
(1)新生児訪問と住民による乳児家庭全戸訪問事業を重層的に行う自治体の実態に関する事業担当者へのヒアリング調査。
(2)産後ケアセンターの利用状況や評価に関する質問紙をもとに利用者記録からデータを収集。
(3)①産後早期退院者10名への半構成的面接調査。②産後6日目で退院した経産婦10名への産褥不安調査並びにアンケート調査③海外在留中の看護師、助産師に対する諸外国の実情に関するメールでの調査。
結果と考察
(1)いずれの市でも、2つの事業間に明確な差別化がみられ、乳児家庭全戸訪問事業は地域と家庭をつなぐ活動、ハイリスク・虐待については専門職が対応すべきというスタンスも明瞭であった。
(2)利用者は、世田谷区からの委託が9割、35歳以上が5割、核家族が約9割で、親族のサポートが困難な者が多かった。母へのケアは概ね良好に提供できており、ケアの評価や体調面でも概ね達成できていた。
(3)①産後早期退院の決定への影響要因は、本人の認識および夫・家族の同意、早期退院のメリットであった。②産褥不安の得点は、分娩後3日目退院の経産婦、分娩後6日目退院の対象者両者とも花沢の調査による経産婦の一般不安の得点より低かった。③海外では一般的に早期退院が行われており、欧州では退院後は地域でフォローする体制を組み、アメリカ等では自らが管理する状況であった。
結論
母子保健事業全体の展開についても、虐待予防という視点を考慮しつつ、それだけではない「対面で、住んでいる地域でつながることの安心」を取り戻すこと、「ポピュレーションアプローチ」における「地域の関係性の再構築」の重要性を改めて見直すことが求められていることが示唆された。

公開日・更新日

公開日
2009-04-16
更新日
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