医療費推計モデルの開発と医療費適正化計画の評価に関する研究

文献情報

文献番号
200801013A
報告書区分
総括
研究課題名
医療費推計モデルの開発と医療費適正化計画の評価に関する研究
課題番号
H19-政策・一般-010
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
長谷川 友紀(東邦大学医学部 社会医学講座医療政策・経営科学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 長谷川 敏彦(日本医科大学・医療管理学教室)
  • 松本 邦愛(東邦大学医学部 社会医学講座医療政策・経営科学分野 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
3,487,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、(1)医療費の推計モデルの作成、(2)医療費適正化計画を策定状況を明らかにして、指標を作成し、これに基づく各都道府県のベンチマーク、(3)診療報酬支払い制度の検討、(4)医療制度改革が家計の財政負担にもたらす影響の解析を行う。
研究方法
(1)では文献調査、(2)では医療計画策定担当者に対するアンケート調査、(3)では文献および米国などでのヒアリング調査、(4)ではWHOの用いた手法に基づき官庁統計を用いて分析を行った。
結果と考察
(1)各国の医療費推計モデルでは、人口推計のみでなく、経済状況を踏まえた推計を行うことが主流となっていることが明らかとなり、将来医療費予測のための仮定、モデルが異なっていることから、各国に普遍的に適応できる一つのモデルを作成することは現状では困難である。
(2)各都道府県に対して行ったヒアリング調査、およびアンケート調査の結果から、計画策定時の問題を同定することができた。
(3)米国の医療の質に基づく支払い(Pay For Performance: P4P)の導入にいたるまでの論点、主要な出来事をレビューした。
(4)WHOの手法に基づき、全国消費実態調査のデータを用いて、医療財源の公平性に関する分析を追加した。これにより、医療制度改革の財政負担に対する影響を、年代別に明らかにした。
結論
都道府県に対するアンケート調査の結果及びベンチマークでは、都道府県が医療費適正化計画策定に関してどのような問題に直面し、どのように解決していったのかが明らかとなった。研究結果は学会等ですでに発表されているが、今後、3年後に予定されている都道府県医療費適正化計画の改定の際に、都道府県がどのように対応すべきか参考になるものと考えられる。
 P4Pでは、特に米国の現状について詳細にサーベイを試みたので、今後学会や論文発表などを通じて成果を提供する予定である。日本においてもすでにP4Pについての研究は先行して進んでいるので、その導入に向けた一つの参考例となることが期待される。
 WHO手法による財源負担の公平性の検討では、医療制度改革が自己負担の引き上げを中心に行われたため、家計の支払能力に占める医療費の割合が40%を超える破滅的医療費支払い家計の割合が、1994年から2004年にかけて倍増し、公平性の尺度も大幅に悪化したことが明らかになった。研究結果はすでに国際学会において報告されており、今後行政に対する参考となることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2009-04-08
更新日
-

文献情報

文献番号
200801013B
報告書区分
総合
研究課題名
医療費推計モデルの開発と医療費適正化計画の評価に関する研究
課題番号
H19-政策・一般-010
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
長谷川 友紀(東邦大学医学部 社会医学講座医療政策・経営科学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 長谷川 敏彦(日本医科大学・医療管理学教室)
  • 松本 邦愛(東邦大学医学部 社会医学講座医療政策・経営科学分野 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、(1)医療費の推計モデルの作成、(2)医療費適正化計画を策定状況を明らかにして、指標を作成し、これに基づく各都道府県のベンチマーク、(3)診療報酬支払い制度の検討、(4)医療制度改革が家計の財政負担にもたらす影響の解析を行う。
研究方法
(1)では文献調査、(2)では医療計画策定担当者に対するヒアリング調査およびアンケート調査、(3)では文献および米国などでのヒアリング調査、(4)ではWHOの用いた手法に基づき官庁統計を用いて分析を行った。
結果と考察
(1)各国の医療費推計モデルでは、人口推計のみでなく、経済状況を踏まえた推計を行うことが主流となっていることが明らかとなり、将来医療費予測のための仮定、モデルが異なっていることから、各国に普遍的に適応できる一つのモデルを作成することは現状では困難である。
(2)各都道府県に対して行ったヒアリング調査、およびアンケート調査の結果から、計画策定時の問題を同定することができた。
(3)米国の医療の質に基づく支払い(Pay For Performance: P4P)の導入にいたるまでの論点、主要な出来事をレビューした。
(4)WHOの手法に基づき、全国消費実態調査のデータを用いて、医療財源の公平性に関する分析を追加した。これにより、医療制度改革の財政負担に対する影響を、年代別に明らかにした。
結論
都道府県に対するアンケート調査の結果及びベンチマークでは、都道府県が医療費適正化計画策定に関してどのような問題に直面し、どのように解決していったのかが明らかとなった。研究結果は学会等ですでに発表されているが、今後、3年後に予定されている都道府県医療費適正化計画の改定の際に、都道府県がどのように対応すべきか参考になるものと考えられる。
 P4Pでは、特に米国の現状について詳細にサーベイを試みたので、今後学会や論文発表などを通じて成果を提供する予定である。日本においてもすでにP4Pについての研究は先行して進んでいるので、その導入に向けた一つの参考例となることが期待される。
 WHO手法による財源負担の公平性の検討では、医療制度改革が自己負担の引き上げを中心に行われたため、家計の支払能力に占める医療費の割合が40%を超える破滅的医療費支払い家計の割合が、1994年から2004年にかけて倍増し、公平性の尺度も大幅に悪化したことが明らかになった。研究結果はすでに国際学会において報告されており、今後行政に対する参考となることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2009-04-08
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200801013C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究の学術的成果は、以下の三点にある。一つは、内外の医療費推計モデルを比較検討することで、どのようなモデルが国際的なトレンドとなってきているのか、また厚生労働省のモデルがどのように位置づけられるか明らかにしたことである。二つ目には、都道府県に対するアンケート調査を通じて、医療費適正化計画策定プロセスのどこに問題があるかを明らかにしたことである。三つ目には、実証研究を通じて財源負担の公平性が低下していることを明らかにしたことである。これらに類する研究はこれまで少なく、成果は大きいと考えられる。
臨床的観点からの成果
本研究は臨床研究ではない。
ガイドライン等の開発
将来的にマニュアルの作成が期待されるが、現在は時期尚早である。
その他行政的観点からの成果
本研究で、特に政策に反映されることが期待されるのは、アンケート調査によって明らかとなった都道府県の医療費適正化計画策定プロセスの実情である。都道府県は策定準備の期間が短く、計画策定のために必要なデータが不十分であると感じている。可能な限りのデータの公開と政策評価が可能な医療費推計モデルを政府が提示する必要があるだろう。また、医療費財源負担に関しても実証的に公平性の低下が示されたことによって、特に医療保険の改革時にどのような負担を求めていけばいいのか議論の必要があることが示された。
その他のインパクト
研究成果は、日本医療・病院学会で報告され、専門家との間で活発な議論があった。また、タイで行われた国際学会においても研究結果が紹介された。

発表件数

原著論文(和文)
1件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
1件
学会発表(国際学会等)
1件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
松本邦愛,北澤健文,長谷川友紀,他
地域医療計画・医療費適正化計画の中の脳卒中
東邦医学会雑誌 , 55 (6) , 501-503  (2008)

公開日・更新日

公開日
2014-05-21
更新日
-