希少難治性筋疾患に関する調査研究

文献情報

文献番号
202011068A
報告書区分
総括
研究課題名
希少難治性筋疾患に関する調査研究
課題番号
20FC1036
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
青木 正志(国立大学法人東北大学 大学院医学系研究科 神経内科)
研究分担者(所属機関)
  • 西野 一三(国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 神経研究所疾病研究第一部)
  • 林 由起子(東京医科大学 病態生理学分野)
  • 小牧 宏文(国立精神・神経医療研究センター病院 小児神経科)
  • 高橋 正紀(大阪大学大学院 医学系研究科 機能診断科学)
  • 平澤 恵理(順天堂大学 大学院医学研究科老人性疾患病態・治療研究センター(脳神経内科兼務))
  • 大野 欽司(名古屋大学 大学院医学系研究科)
  • 杉江 和馬(公立大学法人奈良県立医科大学 脳神経内科学)
  • 山下 賢(熊本大学 大学院生命科学研究部 脳神経内科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
19,220,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究班は1. 周期性四肢麻痺、非ジストロフィー性ミオトニー症候群といった筋チャネル病、2. 先天性筋無力症候群、3. Schwartz -Jampel症候群、4. Danon病や過剰自己貪食を伴うX連鎖性ミオパチーなどの「自己貪食空胞性ミオパチー」、5. 封入体筋炎、6. 先天性ミオパチー、7. 縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー(GNEミオパチー)、8. 眼・咽頭遠位型ミオパチー、9. 三好型ミオパチー(およびその他の遠位型)、10. マリネスコシェーグレン症候群、11. べスレムミオパチー・ウルリッヒミオパチーの11の希少難治性筋疾患を調査研究の対象としている。各疾患の検体の収集・診療の手引きの策定と学会承認、診療の手引きの検証、予後・治療効果の評価、レジストリ構築、エビデンス向上のための調査研究を行っていく。
研究方法
1.チャネル病では本邦で遺伝子検査を実施されてきた症例を集計した。
2.先天性筋無力症候群に関しては、難病情報センターホームページの情報の正確さ即時性の確認を行った。
3.Schwartz -Jampel症候群では診断基準を見直した。
4.自己貪食空胞性ミオパチー(AVM)では2011年と2017年の本邦の実態調査で得られたAVSFミオパチーの日本人患者の解析を行った。
5.封入体筋炎については新たな診断基準に基づき患者登録、患者検体の集積およびそれを利用した解析研究を行った。
6.先天性ミオパチーでは倫理申請、登録体制の整備、構築を行い、診療の手引きの作成をすすめた。
7.縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチーについては疾患概要、疫学、病因・病態等についてデータを収集し要約した。
8.眼・咽頭遠位型ミオパチーでは全ゲノム解析やフラグメント解析を行い、OPDMの新規遺伝子を検討した。
9.三好型ミオパチーについては次世代シークエンサーを用いた診断も継続した。
10.Marinesco-Sjogren症候群に関しては追跡調査を実施した。
12.ベスレム・ウルリッヒミオパチーについては臨床情報を解析した。
結果と考察
1.筋チャネル病に関しては本邦の低カリウム性周期性四肢麻痺(HypoPP)例では、SCN4A遺伝子に変異をもつHypoPP2が相対的に多いことが明らかになった。
2.先天性筋無力症候群に関しては、2例の新規先天性筋無力症候群疑い症例の解析を行った。
3.Schwartz Jampel症候群ではこれまでに、研究分担者のグループおよび諸外国で行われた研究成果を検証した。
4.自己貪食空胞性ミオパチーではLAMP-2遺伝子変異を有するDanon病患者20家系39例(男性17例、女性22例)、VMA21遺伝子変異を有するXMEA患者4家系12例、多臓器障害を伴う成人発症AVM 1例、無症候の女性1例を見出した。
5.封入体筋炎に関しては臨床情報および骨格筋・血清・DNAなどの生体試料を全国の協力施設での蓄積を継続している。
6.先天性ミオパチーに関しては2016年9月より登録開始とし、これまでに61名の登録があった。
7.縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチーに関しては日本人334家系357名の遺伝プロファイルを作成した。
8.眼・咽頭遠位型ミオパチーに関しては一部はGIPC1遺伝子の5' UTR領域のGGCリピートの異常伸長によって発症することを同定した。
9.三好型ミオパチーをはじめとしたdysferlin異常症の症例も全国から依頼を受けて次世代シークエンサーを用いた遺伝子解析を継続している。
10.Marinesco-Sjogren症候群はSIL1変異によるMSSでは、幼児期発症の両側急速進行性の白内障、小脳萎縮と小脳症状等が診断価値の高い項目であった。
11.ベスレム・ウルリッヒミオパチーはCOL6A1、COL6A2、COL6A3の変異は、それぞれ60例、48例、22例に認めた。
結論
各疾患に関して、新規患者の診断を行うと共に、診断基準の整備と学会承認、自然歴の調査、レジストリの発展などに寄与してきている。各患者会との連携も進んできている。これらの基盤を元に将来的には各疾患において、臨床試験・治療法開発へとつなげていきたい。そのためには今後も継続した診断・患者調査が必要である。海外を含めた治験の動向もアップデートしていく。公費負担を含めた社会的支援も重要であり、指定難病制度の実際の運用やレジストリRemudy・Rudy Japanの運営にも協力していく。

公開日・更新日

公開日
2021-07-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2021-07-01
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202011068Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
24,986,000円
(2)補助金確定額
24,986,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 13,531,143円
人件費・謝金 3,240,163円
旅費 0円
その他 2,456,233円
間接経費 5,766,000円
合計 24,993,539円

備考

備考
自己負担金:7,539円

公開日・更新日

公開日
2021-12-23
更新日
-