新医療技術が国民医療経済に及ぼす効果の計量的分析と医療の費用効果向上の観点からの政策評価と政策提言

文献情報

文献番号
200801008A
報告書区分
総括
研究課題名
新医療技術が国民医療経済に及ぼす効果の計量的分析と医療の費用効果向上の観点からの政策評価と政策提言
課題番号
H19-政策・一般-004
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
河原 和夫(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
7,584,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、新医療技術が国民医療経済にもたらす効果の評価手法を確立するとともに、当該手法を活用して新医療技術の効用分析を行うことを目的としている。この分析結果を踏まえて、医療の費用効果向上の観点からの政策評価・政策提言を行うことが本研究の最終的な目標である。
研究方法
平成20年度は、①東京医科歯科大学の医学部付属病院と連携してⅡ型糖尿病の患者QOL調査を本格的に推進した。また、②慢性6疾患を対象に、患者QOLの推測値あるいは実測値を活用して疾患患者の平均的なQOL水準を組み込んだ効用分析法を開発し分析を実践した。さらに、③新医療技術して経皮的冠動脈形成術等を取り上げ、従来技術である冠動脈形成術等と比較してどの程度の費用効果が得られたのかについて分析を行った。これらの成果を踏まえ、④医療における費用効果分析の重要性を踏まえた政策評価・政策提言を行った。
結果と考察
Ⅱ型糖尿病患者に対する患者QOL調査の結果、①患者全数については、入院治療に伴うQOLは確実に改善していること、②平均年齢以下の患者は平均年齢以上の患者に比して大きな改善の程度を示すなどの知見が得られた。また、③インスリン投薬のある患者はインスリン投与が無く内服薬だけの患者に比べてQOLの改善の程度が低く、総じてⅡ型糖尿病に患者には内服薬の投与が有効であることなど臨床的に興味あるデータが得られた。
新医療技術の費用効果に関しては、冠動脈形成術から経皮的冠動脈形成術への施術方式の主流が移行したことに伴う、短縮された平均在院日数よる生産への貢献効果、虚血性心疾患に関わる入院料の節約効果、入院料や施術料の節約効果を評価する方法論を開発した。その方法に従って評価を行ったところ、平成12年には5年前と比較して約1,300億円、平成17年には5年前と比較して約830億円の経済的効果が得られたという結果となった。
最後に、将来の保健医療ビジョン達成に必要で、医療費の増加にも増して高い効用が期待できる政策の遂行のためには医療費の増大を避けてはならない旨の指摘を財源論にまで踏み込んで行った。
結論
本研究の分析に根ざして、持続可能でパフォーマンスの高い保健医療制度を如何に構築するかという観点から、政策評価・政策提言を行っている。その内容が、我が国の医療政策、特に①高度先進医療技術の導入・活用の促進方策、②医療技術の研究開発への投資促進、③対症医療と予防医療への投資への資源配分のあり方、④如何に限られた公的財政資源を医療の分野への投資に結び付けるのかというシナリオを探る手がかりとしていただけるものと期待している。

公開日・更新日

公開日
2009-04-07
更新日
-

文献情報

文献番号
200801008B
報告書区分
総合
研究課題名
新医療技術が国民医療経済に及ぼす効果の計量的分析と医療の費用効果向上の観点からの政策評価と政策提言
課題番号
H19-政策・一般-004
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
河原 和夫(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、新医療技術が国民医療経済にもたらす効果の評価手法を確立するとともに、当該手法を活用して新医療技術の効用分析を行うことを目的としている。この分析結果を踏まえて、医療の費用効果向上の観点からの政策評価・政策提言を行うことが本研究の最終的な目標である。
研究方法
本研究では、①医療費増大の要因分析手法と我が国の医療費増大の要因分析、②患者QOL調査とその分析、③慢性6疾患に着目した医療費の効用分析、④導入された新医療技術に着目した効用分析(新医療技術の健診への応用や経皮的冠動脈形成術の導入に関する費用効果分析)、⑤今後導入が期待される高度先進医療技術(特に再生医療)のインパクト予測、⑥新医療技術が国民医療にもたらす費用効果の評価・分析、そして、これらの成果を踏まえて、⑦医療における費用効果分析の重要性を踏まえた政策評価・政策提言を行った。
結果と考察
上記の6つの分野の研究項目の一つ一つについて重要な結果が得られているが、ここでは⑥医療費全体の効用分析の結果についてのみ記す。
 平成2年度から17年度までの15年間を5年毎に区切って、全疾患あるいは疾患別に、追加的な医療費の投資に対する効用分析を行ったところ、医療費全体のこの15年間の効用は16程度になることが判明した。また、疾患毎の分析においても、虚血性心疾患や脳血管疾患については3桁という非常に高い効用が確認された。この分析によって、人口の高齢化の進展にもかかわらず、特に最近の5年間(平成12-17年度)の医療費の急激な抑制によって、医療費は減少しているにもかかわらず効用は増加している診療分野が拡大しているという問題点も明確になった。
結論
本研究の分析に根ざして、持続可能でパフォーマンスの高い保健医療制度を如何に構築するかという観点から、政策評価・政策提言を行っている。その内容が、我が国の医療政策、特に①高度先進医療技術の導入・活用の促進方策、②医療技術の研究開発への投資促進、③対症医療と予防医療への投資への資源配分のあり方、④如何に限られた公的財政資源を医療の分野への投資に結び付けるのかというシナリオを探る手がかりとしていただけるものと期待している。

公開日・更新日

公開日
2009-04-07
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200801008C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究によって、①医療費増大の要因分析手法、②患者QOL調査とその分析法、③慢性6疾患に着目した医療費の効用分析法、④導入された新医療技術に着目した効用分析法(新医療技術の健診への応用や経皮的冠動脈形成術の導入に関する費用効果分析)、⑤今再生医療等の高度先進医療技術のインパクト予測法、⑥新医療技術が国民医療にもたらす費用効果の評価・分析法などが確立された。さらにその手法に基づいた分析の結果によって、例えば医療費への投資の効用の高さの関する知見が得られた。
臨床的観点からの成果
Ⅱ型糖尿病患者に対する患者QOL調査の結果、①患者全数については、入院治療に伴うQOLは確実に改善していること、②平均年齢以下の患者は入院治療による改善の程度は、平均年齢以上の患者に比して大きな値を示すなどの知見が得られた。また、③インスリン投薬のある患者はインスリン投与が無く内服薬だけの患者に比べてQOLの改善の程度が低く、総じてⅡ型糖尿病に患者には内服薬の投与が有効であることなど臨床的に興味あるデータが得られた。
ガイドライン等の開発
本研究では、費用効果の定量的な分析と持続可能でパフォーマンスの高い保健医療体制を如何に構築するかという観点から、①持続可能な保健医療制度、②国民のニーズに応える保健医療制度、③医療の質と安全を高める保健医療制度、④医療の効率性を増大させパフォーマンスを最大化する保健医療制度、⑤高齢化社会を支える保健医療制度、⑥先進医療技術・革新的医薬品の開発を促す保健医療制度、⑦医学研究の質の向上と高度医療関係人材の育成についての政策的な指針を提示している。
その他行政的観点からの成果
本研究の分析に根ざして、投資に対する費用効果に基づいて他の行政施策との比較を行い、具体的な政策提言を行っている。その内容が、我が国の医療政策、特に①高度先進医療技術の導入・活用の促進方策、②医療技術の研究開発への投資促進、③対症医療と予防医療への投資への資源配分のあり方、④如何に限られた公的財政資源を医療の分野への投資に結び付けるのかというシナリオを探る手がかりとして、あるいは国民世論喚起の契機として活用されることを期待する。
その他のインパクト
東京医科歯科大学内部において研究報告書への記載や医歯学総合研究科での講義への活用を図った。
外部からは、例えば癌研究会有明病院、札幌医科大学総合情報センター、東京大学医学系研究科等からの照会、問い合わせに対して研究成果の情報発信を行った。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
15件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2014-05-21
更新日
-