網膜脈絡膜・視神経萎縮症に関する調査研究

文献情報

文献番号
202011061A
報告書区分
総括
研究課題名
網膜脈絡膜・視神経萎縮症に関する調査研究
課題番号
20FC1029
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
坂本 泰二(国立大学法人鹿児島大学 医歯学域医学系)
研究分担者(所属機関)
  • 飯田 知弘(東京女子医科大学 医学部)
  • 大野 京子(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科眼科学)
  • 古泉 英貴(琉球大学 医学研究科)
  • 近藤 寛之(産業医科大学 医学部)
  • 近藤 峰生(三重大学医学部)
  • 園田 康平(九州大学大学院医学研究院)
  • 高橋 寛二(関西医科大学医学部)
  • 辻川 明孝(京都大学 医学研究科)
  • 中村 誠(神戸大学大学院医学研究科外科系講座眼科学分野)
  • 柳 靖雄(旭川医科大学 医学部)
  • 池田 康博(宮崎大学 医学部 )
  • 山本 修一(国立大学法人 千葉大学 大学院医学研究院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
12,308,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究はオールジャパン体制での希少疾患研究であり、視覚障害の原因疾患のうち、指定難病3疾患(網膜色素変性症、黄斑ジストロフィ、レーベル遺伝性視神経症)、ならびに指定難病候補の希少疾患であるが十分な情報が集積されていない4疾患(萎縮型加齢黄斑変性、家族性滲出性硝子体網膜症、黄斑部毛細血管拡張症2型、急性帯状潜在性網膜外層症)、さらに類縁疾患である近視性脈絡膜萎縮を対象とし、各疾患の医療水準の向上を目的として、客観的な指標に基づく疾患概念の確立、診断基準や診療ガイドラインの策定および疫学調査を実施する。また、難治性眼疾患の多くは視覚身体障害の原因疾患と関連があるため、視覚身体障害の認定状況の全国調査を行い、難治性眼疾患患者に対する福祉行政の現状を把握する。
研究方法
本研究の対象とする疾患は多岐にわたるため、疾患毎に研究グループを形成して研究計画を進める体制とする(さらに各専門分野の研究協力者を募る)。並行して、全国視覚障害認定の実態疫学調査を実施する。研究代表者は研究全体を統括する。また、班会議を年に2回開催し、各グループの進捗状況を報告する。
(倫理面への配慮)
 アンケート調査は個別の患者情報を抽出しないため倫理的問題は生じない。レジストリに関する研究にあたっては、疾患毎に代表機関における倫理委員会承認のもと登録を行った。また、遺伝子診断についても同様に、各施設での倫理委員会承認のもと解析を行った。疫学調査は、倫理委員会で審査を受けた上で実施した。なお、本研究で扱うデータは個人を特定できないデータのみである。
結果と考察
網膜色素変性症のレジストリには約3000症例のデータが登録されている。登録された症例の解析により、遺伝形式の分布や、病因遺伝子の診断率や分布などが明らかとなった。また、難病プラットホームへの移行に関連する倫理審査は、京都大学大学院医学研究科・医学部お呼び医学部附属病院 医の倫理委員会で令和3年3月に承認を受けた。引き続き、データ移行の準備を進めている。また、レーベル遺伝性視神経症のレジストリフォームを構築し、神戸大学の倫理委員会での承認を得たので、可及的速やかに共同研究施設の倫理委員会への申請を行う予定である。
 黄斑ジストロフィと急性帯状潜在性網膜外層症では全国規模の患者数調査を実施し、それぞれの患者数が明らかとなった。また、レーベル遺伝性視神経症では全国規模で2019年の新規発症患者数の調査を実施中である。
 萎縮型加齢黄班変性については、現在まで分析できた症例データを論文化する。家族性滲出性硝子体網膜症については、4大学病院(産業医科大学、近畿大学、慈恵医科大学、福岡大学)をコア施設として、これまで蓄積された症例について、臨床所見の再確認を行った。近視性脈絡膜萎縮については、メンデル遺伝形式に沿う家族集積性を有する症例が5家系抽出された。また、黄斑部毛細血管拡張症2型については、診療ガイドライン(案)を作成した。
 視覚障害認定の実態調査実施し、全国の全ての福祉事務所から回答を得た。現在、データ解析を行っている。
診療ガイドラインの策定によって、施設間による診断のばらつきが小さくなり、患者の見落としが減るなど、医療の標準化が進み、医療の質が向上することが期待される。また、診療ガイドラインに沿って診断された患者の疾患レジストリへの登録が進み、疾患のさらなる理解が進むことが期待される。さらに、有病率調査や視覚身体障害認定状況の全国調査の結果は有効な医療福祉資源配分につながるといえる。
結論
診療ガイドラインの策定によって、施設間による診断のばらつきが小さくなり、患者の見落としが減るなど、医療の標準化が進み、医療の質が向上することが期待される。また、診療ガイドラインに沿って診断された患者の疾患レジストリへの登録が進み、疾患のさらなる理解が進むことが期待される。さらに、有病率調査や視覚身体障害認定状況の全国調査の結果は有効な医療福祉資源配分につながるといえる。

公開日・更新日

公開日
2021-05-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2021-05-27
更新日
2021-08-19

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202011061Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
16,000,000円
(2)補助金確定額
16,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,444,817円
人件費・謝金 0円
旅費 341,130円
その他 8,522,053円
間接経費 3,692,000円
合計 16,000,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2021-05-27
更新日
2021-12-24