皮膚の遺伝関連性希少難治性疾患群の網羅的研究

文献情報

文献番号
202011058A
報告書区分
総括
研究課題名
皮膚の遺伝関連性希少難治性疾患群の網羅的研究
課題番号
20FC1026
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
橋本 隆(大阪市立大学 大学院医学研究科 皮膚病態学)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
15,924,000円
研究者交替、所属機関変更
該当なし

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究班の目的は、厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患政策研究事業)の一環として、皮膚の遺伝関連性希少難治性疾患、8疾患群、22疾患について厚生労働省政策研究を中心に各種の臨床研究を進めることである。
これらの疾患のうち、本研究班が主体的に研究する疾患は、(1)コケイン症候群、(2)家族性良性慢性天疱瘡、ダリエ病、(3)化膿性汗腺炎、(4)自己炎症性皮膚疾患群としてウェーバー・クリスチャン症候群、スイート病、シュニッツラー症候群、顆粒状C3皮膚症の4疾患、(5)穿孔性皮膚症群として、反応性穿孔性皮膚症、キルレ病、穿孔性毛包炎、蛇行性穿孔性弾力線維症の4疾患、(6)掌蹠角化症、(7)ゴーリン症候群、カウデン症候群、(8)疣贅状表皮増殖異常症の8疾患群、16疾患である。このうち、コケイン症候群と家族性良性慢性天疱瘡はすでに指定難病に指定されているので、指定難病としての政策的作業も進める。
さらに、上記の4種の自己炎症性皮膚疾患以外の遺伝性自己炎症性疾患である、中條・西村症候群、クリオピリン関連周期熱症候群、ブラウ症候群、化膿性無菌性関節炎・壊疽性膿皮症・痤瘡症候群、TNF受容体関連周期性症候群の5疾患、およびスタージ・ウェーバー症候群の6疾患については、それぞれの疾患を主体的に研究する研究班と連携して皮膚科的な見地から研究を進める。疣贅状表皮増殖異常症は、他の研究班が主体的に研究する疾患に属するが、皮膚症状が主体であるため本研究班で主要な研究を進める。
令和2年度の目的としては、まず、上記全疾患について、全期間を通じて厚生労働省担当者・医療関係者・患者への医療情報提供などで厚生労働省政策に貢献する。日本皮膚科学会などの関連学会と連携し、全疾患について診断基準と重症度分類を更改・更新し、多くの疾患について患者・家族のQOLを含む全国疫学調査を行い、レジストリ・レポジトリを作成・拡充する。さらに、多くの疾患について、日本皮膚科学会などと連携して診療ガイドラインを作成して論文として公開する。
また、特に化膿性汗腺炎、掌蹠角化症、反応性穿孔性皮膚症については診療ガイドラインを作成した後、指定難病疾病追加の申請を行う。
本研究班の一つの特徴は、医療統計学の専門家である大阪市立大学医療統計学の新谷歩先生のご援助でREDCapシステムを用いたレジストリを構築できることである。

研究方法
指定難病を中心に、上記のすべて疾患について、厚生労働省担当者・医療関係者・患者への医療情報提供などで厚生労働省政策に貢献する。日本皮膚科学会などと連携し、全疾患について診断基準と重症度分類を改定・更新する。また、患者・家族のQOLを含めた全国疫学調査などの疫学研究を進める。これらの疫学調査の結果を用いて、REDCapシステムによるレジストリを作成し、同時に生体資料などのレポジトリも拡充する。多くの疾患について日本皮膚科学会と連携して診療ガイドラインを作成して公開する。特に、化膿性汗腺炎、掌蹠角化症、穿孔性皮膚症については指定難病疾病追加の作業を進める。その他、患者会の援助、遺伝子診断の補助、成果の公開などを行う。
結果と考察
結果としては、令和2年度は、指定難病のコケイン症候群と家族性良性慢性天疱瘡を中心とした多くの疾患について厚生労働省政策に貢献した。また、多くの疾患について、診断基準と重症度分類を改定・更新し、全国疫学調査の二次調査あるいは再調査を行った。
化膿性汗腺炎、掌蹠角化症、穿孔性皮膚症について診療ガイドラインを作成し、和文および英文論文として刊行した。さらに、この3疾患について指定難病疾病追加の申請を行った。
指定難病のコケイン症候群と家族性良性慢性天疱瘡およびゴーリン症候群とカウデン症候群についてREDCapシステムを用いたレジストリを構築した。同時に生体資料などのレポジトリを拡充した。
 考察としては、完成度の高い診断基準・重症度分類を作成したこと、全国疫学調査で我が国の患者の状況やQOLを把握することができたことは、今後の厚生労働省政策に重要と考えた。さらに構築したレジストリとレポジトリも今後の研究に有用となる。さらに、多くの疾患について診療ガイドライン作成の作業を進め、3疾患を指定難病疾病追加の申請を行ったことは今後の難病政策にインパクトを与えると考える。
結論
1年間を通じて、コケイン症候群と家族性良性慢性天疱瘡の指定難病を中心に多くの疾患について、厚生労働省政策に貢献できた。特に、掌蹠角化症、掌蹠角化症および穿孔性皮膚症の診療ガイドラインを作成・公開し、指定難病疾病追加の申請を行ったことは大きな成果と考える。また、REDCapシステムを用いたレジストリは、今後、本研究班だけでなく、他施設の臨床研究や厚生労働省政策事業に提供される。

公開日・更新日

公開日
2021-05-27
更新日
2021-07-01

研究報告書(PDF)

総括研究報告書
分担研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2021-05-27
更新日
2021-07-01

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202011058Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
20,700,000円
(2)補助金確定額
19,783,000円
差引額 [(1)-(2)]
917,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 6,142,944円
人件費・謝金 5,238,622円
旅費 16,560円
その他 3,609,134円
間接経費 4,776,000円
合計 19,783,260円

備考

備考
自己資金 258円
その他(利息) 2円

公開日・更新日

公開日
2021-05-27
更新日
2022-01-20