健康危機管理体制における精神保健支援のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
200738040A
報告書区分
総括
研究課題名
健康危機管理体制における精神保健支援のあり方に関する研究
課題番号
H19-健危-若手-002
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 友理子(国立精神・神経センター精神保健研究所成人精神保健部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域健康危機管理研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
災害時の精神保健支援の円滑な実施を目的に、心理的応急処置法のあり方について検討した。
研究方法
1)既存の精神保健支援ガイドライン等のレビュー、2)心理的応急処置(Psychological First Aid: PFA)のわが国への導入のあり方の検討、3)災害時の精神保健支援の円滑な実施法に関するヒアリングを行った。
結果と考察
1)既存のガイドライン等のレビューの結果、国内の精神保健ガイドラインについては、i)精神保健ガイドライン、ii)精神保健専門家向きマニュアル、iii)精神保健非専門家向きマニュアル、iv)精神保健以外のガイドラインに整理された。その内容は、国内における既存のガイドラインは内容については大きな違いはみられず、臨床的支援の記述は比較的充実していたが、全体的な位置づけやそれぞれの役割分担が明確でない状況であった。国際的にはIASC(Inter-Agency Standing Committee)ガイドラインは行政、臨床支援の両面に言及しており、本指針をわが国の実情に沿うように修正して活用することが有用であると考えられた。2)心理的応急処置法(PFA)のわが国への導入について、PFAプログラムの翻訳、また使用者、使用される文脈などについて、プログラムの開発者であるMelissa Blymerらから1)PFA開発の経緯、2)米国におけるPFAの現状、3)PFAの展開について詳細な聴取を行った。日本における本プログラム導入のあり方は、本プログラム日本語版の開発のみならず、精神保健を専門としない支援者の使用を想定し、その後のアセスメント、精神保健専門家への紹介や連携体制の整備も同時に必要であり、これらの根拠となる災害後の心理的反応の自然史を明らかにする研究の展開を同時に進めることが重要である。3)災害時の精神保健支援の円滑な実施法について、近年大型災害を経験した県の精神保健福祉担当者を対象にヒアリングを行った。この結果、これらの課題を、i)連携・調整、ii)直接支援、iii)行政支援体制、iv)コミュニケーションに分類し、それらに対して可能性のある解決法を整理した。
結論
わが国では多くのマニュアルが整備されているが、大部分は精神保健専門家による臨床支援のあり方に関する記述であり、今後は行政支援や他の職種と共有できる精神保健対応法の指針の開発が望まれる。近年大型災害を経験した県の精神保健福祉担当者を対象としたヒアリングから、i)連携・調整、ii)直接支援、iii)行政支援体制、iv)コミュニケーションが課題として挙げられ、具体的な解決法が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2008-04-14
更新日
-