キャッスルマン病、TAFRO症候群、類縁疾患の診療ガイドラインの策定や更なる改良に向けた国際的な総意形成を踏まえた調査研究

文献情報

文献番号
202011046A
報告書区分
総括
研究課題名
キャッスルマン病、TAFRO症候群、類縁疾患の診療ガイドラインの策定や更なる改良に向けた国際的な総意形成を踏まえた調査研究
課題番号
20FC1014
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
川上 純(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科先進予防医学共同専攻)
研究分担者(所属機関)
  • 古賀 智裕(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科 分子標的医学研究センター)
  • 佐藤 俊太朗(長崎大学 病院 臨床研究センター)
  • 青木 定夫(新潟薬科大学 薬学部)
  • 中村 直哉(東海大学 医学部)
  • 井出 眞(高松赤十字病院 血液内科)
  • 中山 健夫(京都大学 大学院医学研究科)
  • 水木 満佐央(大阪大学 医学部附属病院)
  • 正木 康史(金沢医科大学 血液免疫内科学)
  • 石垣 靖人(金沢医科大学 総合医学研究所)
  • 山田 壮亮(産業医科大学医学部第二病理学教室)
  • 森 毅彦(慶応義塾大学医学部血液内科)
  • 矢野 真吾(東京慈恵会医科大学 腫瘍・血液内科)
  • 澤 直樹(虎の門病院分院 腎センター内科)
  • 佐藤 康晴(岡山大学大学院保健学研究科 検査技術科学分野)
  • 岩城 憲子(金沢大学医薬保健研究域医学系血液内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
6,923,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
キャッスルマン病、TAFRO症候群、類縁疾患を包括する診療ガイドラインの作成、新たな指定難病としてのTAFRO症候群の申請、キャッスルマン病とTAFRO症候群の診療情報の難病プラットフォームへの登録、キャッスルマン病患者会との協働、キャッスルマン病とTAFRO症候群の研究における国際協調と国際的なガイドラインの編纂を研究目的とする。そのために、1.診療ハード(地域中核病院、中央病理診断センター、中央病態解析センター)の連携強化、2.診療情報の難病プラットフォームへの登録 3.難病における国際協調、4. ガイドライン作成と患者会との協働の1.-4.の研究実施内容を設定した。
研究方法
1.診療ハードの連携強化については3つの臨床研究、病理解析体制は中村 直哉教授を中心に構築、病態解析体制は血清タンパク質とゲノムの情報を解析した。2.診療情報の難病プラットフォームへの登録については、難病プラットフォーム事務局とのWEB面談、班内の数度にわたるメール会議とWEBによる全体班会議で、内容を設定した。3.難病における国際協調については、CDCNとの情報交換、CDCNとの協働による第一回国際キャッスルマン病シンポジウムの開催形態と日程の確定を行なった。
4.ガイドライン作成と患者会との協働については、キャッスルマン病の診療ガイドライン初版の完成と公表、患者会が計画した実態調査への協力、コロナ禍での医療講演会の開催を計画した。
結果と考察
1.診療ハードの連携強化については、①特発性多中心性キャッスルマン病(iMCD)疾患調査を令和2年度は7月と10月に実施し(AMEDトシリズマブ効果不十分の特発性多中心性キャッスルマン病に対するシロリムスの医師主導治験班との共同)、10月の調査ではトシリズマブ(TCZ)治療中56例において、当研究班が提唱した疾患活動性のCHAP(CRP、Hb、Albumin、Physician global assessment)スコアで1以上(疾患活動性が残存)が19例(34%)であった。②TAFRO症候群は正木 康史教授を中心に情報を集積し、治療と経過に関する情報のある81例のTAFRO症候群患者が抽出され、iMCDとTAFRO症候群の病像の差異が治療経過からも明らかとなった。③中村 直哉を中心に、コロナ禍における病理診断システムを構築し、運用を開始した。④iMCDとTAFRO症候群の病態を反映する新たなバイオマーカー[血清Insulin-like growth factor binding protein-1(IGFBP-1)や家族性地中海熱遺伝子(MEFV遺伝子)の変異および多型情報]が明らかとなった。2.診療情報の難病プラットフォームへの登録については、難病プラットフォームへの登録準備は完了した。対象は各機関において診療情報があるMCDとTAFRO症候群(全症例)とした。3.難病における国際協調については、CDCNのキャッスルマン病に関するopen letterは研究班全体で本邦での状況を踏まえて和訳し、キャッスルマン病患者会に伝達した(患者会HPに和訳して掲載)。CDCNとの共同での第一回国際キャッスルマン病シンポジウムは、令和3年9月(15-17日)に、開催形態をhybridもしくは完全WEB(まだいずれかは未定)で開催を決定した。4.ガイドライン作成と患者会との協働については、キャッスルマン病の診療ガイドラインは、日本血液学会、日本リウマチ学会の承認を経て、令和2年11月に初版を完成し、本研究班のHPに掲載した。患者会との協働については、患者会HPへ上述のopen letterの和訳文を掲載した(先述)。患者会が実施した患者実態調査(患者会から依頼で、本研究班員で質問項目内容を確認)は患者会による調査票の回収とデータ集積は完了し、患者会が令和3年度に成果物を公表予定であるが、今後の班研究の方向性に極めて重要な内容が述べられている。キャッスルマン病患者会医療講演会を令和3年1月17日にWEBで開催し(AMEDトシリズマブ効果不十分の特発性多中心性キャッスルマン病に対するシロリムスの医師主導治験班との共同)、約60名の参加者で、非常に活発なdiscussionがなされた。
結論
診療ハードの連携強化、診療情報の難病プラットフォームへの登録、難病における国際協調、ガイドライン作成と患者会との協働は順調に進んでいる。それらを統合し、研究目的の達成を目指す。

公開日・更新日

公開日
2021-05-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-05-27
更新日
2021-08-02

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202011046Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
8,999,000円
(2)補助金確定額
8,999,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,066,957円
人件費・謝金 366,275円
旅費 0円
その他 3,519,989円
間接経費 2,076,000円
合計 9,029,221円

備考

備考
自己資金 30,221円

公開日・更新日

公開日
2021-05-27
更新日
2021-12-15