屋内ラドンによる健康影響評価および対策に関する研究

文献情報

文献番号
200738038A
報告書区分
総括
研究課題名
屋内ラドンによる健康影響評価および対策に関する研究
課題番号
H19-健危-一般-016
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 元(国立保健医療科学院 生活環境部)
研究分担者(所属機関)
  • 杉山 英男(国立保健医療科学院 生活環境部)
  • 山口 一郎(国立保健医療科学院 生活環境部)
  • 緒方 裕光(国立保健医療科学院 研究情報センター)
  • 笠置 文善(放射線影響研究所 疫学研究部)
  • 藤原 佐枝子(放射線影響研究所 臨床研究部)
  • 米原 英典(放射線医学総合研究所 放射線防護研究センター)
  • 毛利 一平(労働安全衛生総合研究所 研究企画調整部)
  • 木村 真三(労働安全衛生総合研究所 有害性評価研究グループ)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域健康危機管理研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
16,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
以下の研究を 遂行し、屋内ラドン被ばくに対する政策決定に資する基礎資料(我が国の屋内ラドンの健康影響の推計、WHOプロジェクトの概要、介入が必要となった場合の必要な施策、屋内ラドン低減化手法、対策策定において重要と思われる事項等に関する文献)を提供することを目的とする。
研究方法
①リスク推定は、屋内ラドン濃度の平均値、我が国の年齢階級別、性別の肺癌死亡率および喫煙率、喫煙の肺癌相対リスク値を用いて、EPAの数学モデルを用いて推計する。初年度は、米国の屋内ラドンの1/2の濃度があった場合の、仮計算を行う。②ラドンとトロンを分別して測定可能な受動的ラドン・トロン分別測定器(ハンガリーRadoSys社製)を用いて屋内ラドン濃度を測定する。測定期間は6ヶ月(初年度第1回目は、4ヶ月)で、3年間で3900家屋のラドン測定を実施する。③EPAやWHOのワーキンググループ報告案、その背景となっている屋内ラドン対策の文献調査を行う。
結果と考察
①EPAの推計モデルを内製化し、日本人のパラメータを用いたシミュレーションが可能となった。②初年度として9月末より900家屋、3月より900家屋合計1800家屋の屋内ラドン測定を実施している。③文献調査では、WHOワーキンググループ報告案やEPAのラドン対策に関する消費者ガイドを翻訳し、屋内ラドン低減化に関する13文献のレビューを行った。ラドン低減に関しては、WHOやEPAは、国や州のラドン対策に関する体制に言及している事が注目される。すなわち、(イ)国としての屋内ラドン対策レベルの策定、(ロ)国内の高ラドン地域の同定(ラドン・リスク地図)、(ハ)国民に対するラドンの健康リスクに関する情報提供、ラドンと喫煙との相乗作用、(ニ)ラドン測定法の標準化と検査機関の精度管理、(ホ)既存家屋ラドン低減化技術の標準化(米国では州による低減化工事請負業者の登録制度や認可制度を実施)、(ヘ)ラドン高リスク地方での新築家屋に関する耐ラドン建築基準の策定や建築中の家屋のラドン濃度測定の義務化などである。上記(ニ)以降の項目は、個々の家のラドン対策は家主の責任とし、他方、ラドン測定業者や低減化工事請負業者を政府が管理するという官民の分担の思想の表れである。
結論
初年度は、ラドン測定家屋の登録と、調査体制整備に重点を置き、平行して文献調査を行った。研究計画は順調に実施されている。

公開日・更新日

公開日
2008-06-02
更新日
-