公衆浴場におけるレジオネラの消毒方法に関する研究

文献情報

文献番号
200738037A
報告書区分
総括
研究課題名
公衆浴場におけるレジオネラの消毒方法に関する研究
課題番号
H19-健危-一般-015
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
遠藤 卓郎(国立感染症研究所 寄生動物部)
研究分担者(所属機関)
  • 倉文明(国立感染症研究所細菌第1部)
  • 秋山茂(北里大学 医療衛生学)
  • 高鳥浩介(東京農業大学 衛生微生物)
  • 坂上吉一(近畿大学 農学部 公衆衛生学)
  • 神野透人(国立医薬品食品衛生研究所 衛生化学)
  • 縣邦雄(アクアス㈱ つくば総合研究所 )
  • 泉山信司(国立感染症研究所 寄生動物部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域健康危機管理研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
14,062,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
入浴施設は『浴槽水の有機物 → 細菌繁殖 → 細菌捕食性微生物(アメーバ等)の繁殖 → レジオネラ汚染』という汚染の構図が成立しており、最も汚染の起きやすい環境である。現行の残留塩素による消毒を中心とした汚染防止対策には多くの問題を抱えている。そこで、新たな浴槽水の消毒方法ならびに浴槽システムの洗浄・消毒について検討する。
研究方法
塩素系の消毒剤であるクロラミン消毒に着目し、レジオネラ属菌、宿主アメーバ、従属栄養細菌等に対する消毒効果を検討する。本年度はクロラミン-Bを用いて各種微生物に対する消毒効果(Ct値)を求める。併せて、既刊の微生物制御方法の中からレジオネラを含むバイオフィルム形成菌に対する洗浄・消毒方法について整理する。また、公衆浴場内空気中及び浴槽水中の塩素消毒に伴う副生成物による暴露評価を実施する。
結果と考察
市販の消毒剤は多様であるが、浴槽水の消毒には塩素剤にほぼ限られる。一方、浴槽システムの洗浄・消毒方法は整理が必要である。塩素由来の消毒副生成物は施設により軽減措置等の必要性が指摘された。民間検査機関での検査では未だに多くの施設で高濃度のレジオネラ属菌が検出されていた。遊離残留塩素による消毒では不連続点処理が基本となるが、泉質、入浴者による有機物の持ち込み、ろ過漕や配管系などの構造的な問題から不連続点処理は事実上不可能である。同じく塩素系のモノクロラミン(クロラミン-B) による消毒効果は、アメーバ類に対してCt値675?4,000の範囲で3-log10以上の不活化、レジオネラ属菌に対する消毒効果は3.5mg/L、40℃、pH ≒ 8?9で、3時間以内の接触時間で4-log10以上の不活化が期待された。また、3mg/L程度に維持されたモデル浴槽では従属栄養細菌の2?3-log10程度の抑制効果が認められた。
結論
未だに浴槽水やろ過漕試料からは高濃度のレジオネラ属菌が検出されている。塩素による消毒副生成物の濃度は施設により軽減措置等の必要性が指摘される。モノクロラミンは化学的に安定で、消毒副生成物が産生されにくいこと、微臭気などの特徴を有し、米国等では水道水への使用実績がある。当該年度の検討において、レジオネラ属菌、宿主アメーバ、従属栄養細菌に対して一定の消毒効果が確認された。今後は実機レベルにおける消毒効果の検討、安全性の検討など検討を行う。

公開日・更新日

公開日
2008-06-02
更新日
-